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株式会社グループSNEオフィシャルサイト

タルギ 完全日本語版

タルギ拡張セット完全日本語版 エラッタ
プレイ人数 2人 Targi_box
対象年齢 13歳以上
プレイ時間 60分
ゲームデザイン アンドレーアス・シュタイガー
パッケージイラスト 秋津たいら
翻訳 安田均/柘植めぐみ
価格 2,800円
発売 2013年10月1日

『タルギ』をやったるぎ!

 まもなく完全日本語版が発売される『タルギ(Targi)』。ちょうどドイツの印刷会社から「8月12日に着くように送るけどいいかい、ベイビー?」というメールが届いて返事をしたところ。JGC2013発売はまちがいないので、お楽しみに。
 『タルギ』は本格的な2人対戦ゲームだ。コマを置いてアクションを行う「ワーカープレイスメント」と呼ばれる類のゲームでもある。
 デザイナーは新進気鋭のアンドレーアス・シュタイガー。これを書いているわたし、柘植めぐみとは、「ハイ、アンディ!」「ヘイ、メグ!」と呼び合う仲。
 そう、彼は通称アンディ

エフィ「お兄ちゃん?」

 違う、もっと大きなお兄さんだよ。ゲームが大好きな幼稚園の先生で、奥さんと遊べるようにって2人用ゲームを研究しているオタクなおじさんさ。

エフィ 「お兄ちゃん? いつからそんなにゲームに詳しくなったの?」

 ……アンディという響きに反応してしまったキャラクターがここに約1名(エフィ&アンディという名前に聞き覚えのないみなさんはグループSNEの歴史を紐解いてみよう)。
 というわけで、せっかくなので会話形式でゲームを紹介することにした。アンディ、ちょっと名前を借りるけどよろしく!

●準備
エフィ (箱を開けて)わあ、カードがいっぱい!
アンディ このゲームには3種類のカードがあるんだ。まずはこの外周カード
エフィ ぐるっと四角く置くんだね。
アンディ 1~16の数字が書かれているから、その順番に並べるんだ。言ってみればこれがボードの代わり。この上を、盗賊コマが歩いていく。
エフィ 盗賊コマって嫌な響き。『カタン』だってそうだし、きっと持ってるものを盗まれるんだ。
アンディ (『カタン』とはよく知ってるなと思いつつ)当たり。こいつが四隅のカード上に来るたび、「略奪」が起こって商品トークンか勝利点トークンを盗まれる。
エフィ ぶーぶー。
アンディ まあまあ、そこのやりくりも面白いから。さて、ゲームは最大12ターン行う。この盗賊コマが、四隅以外の12枚のカード上を移動したらゲームは終わりだ。
エフィ ターン?
アンディ このゲームの単位みたいなものだよ。お互いがコマを置いて、やりたいアクションを全部やって1ターン。
エフィ コマってこの青と白のやつ? 人の形をしたのが3個ずつと、筒みたいな形のが2個ずつあるけど?
アンディ コマを説明する前に、場の準備を終わらせておこう。外周カードの内側は3枚×3枚カードを置けるようになってるから、こうやって……。
エフィ へえ、2種類のカードを代わりばんこに置くんだ。
アンディ うん。こっちの、絵しか描かれていないのが商品カード
アンディ 3つの商品――ナツメヤシ、胡椒、塩――のどれかや、ときには金貨や勝利点がもらえるカードだよ。
ナツメヤシ 胡椒 金貨 勝利点
エフィ わかりやすいね。
アンディ もう1種類は部族カードで、左にシンボルが描かれてる。シンボルは、ラクダ乗りオアシスタルギアテントの5つ。
ラクダ乗り オアシス タルギア テント
エフィ タルギア? タルギじゃなくて?
アンディ タルギっていうのはもともと、砂漠にすむトゥアレグ族の男性のことなんだ。で、女性はタルギア。
エフィ なるほど。
アンディ 部族カードの右上に書かれているのが、このカードを取るために支払わなきゃいけないコスト。中央がカードの効果。右下がゲーム終了時に得られる勝利点だ。たとえば……。
アンディ このカードなら、シンボルはオアシス。コスト(塩、胡椒、金貨)を支払えば、カードを自分の前に置くことができる。そうすることで使えるようになる効果は、“「略奪」による支払いを行わなくてよい”。
エフィ めっちゃええやん!
アンディ (なぜ関西弁……)そしてこのカードは、ゲーム終了時に1勝利点になる。
エフィ ……えっと、こんなカードが45枚もあるの? とても覚えられないよ。
アンディ 部族カードのうち3分の1はとくに効果はないから安心して。とりあえず、場に出たものだけ見るといいよ。ただ、カードの効果はわりと絶大だよ。
エフィ ふむ。部族カードを制する者がゲームを制す、と。
アンディ さて、プレイヤーは最初から各商品を2個ずつと金貨トークン1個、勝利点トークンを4点分持っている。
エフィ わ~い、これだけあればいろいろできそうね(わくわく)。
アンディ 続きはじっさいにプレイしながら説明していこう。
●コマの配置
アンディ ぼくが青。エフィは白いコマを持って。
エフィ は~い。
アンディ ターンが始まったら、まず盗賊コマが1歩動く。最初は①の外周カードの上に置くだけだけどね。その後、各自が交互に1個ずつタルギコマを置いていく。タルギコマというのはこの人の形をしたコマ。
エフィ どこに置けるの?
アンディ 外周カードの上だ。ただし、すでに誰かがコマを置いていたり、盗賊コマが置かれていたりする外周カードには置けない。
エフィ 盗賊、邪魔っ!
アンディ それと、“相手のタルギコマの真向かいには置けない”というルールがあるから気をつけて。タルギコマを置くと、あとでそのカードのアクションができるよ。
エフィ 商品がもらえたり、商品を交換できたり、カードを引けたりするところがあるのはわかるけど……この“蜃気楼”ってなに? あたしが得意な幻覚魔法?
アンディ ……相手をけむに巻くっていう意味じゃ、似たようなものかな。詳しくはあとで説明するとして……じっさいにタルギコマを置いてみよう。
エフィ 相手の真向かいに置けないから、2個目、3個目のコマを置くころにはずいぶん選択肢が減ってるのね。
アンディ 自分がやりたいアクションを優先するか、相手がやりたそうなアクションをつぶすか、悩むところだね。
エフィ こっちの筒の形をしたマーカーはいつ置くの?
アンディ これらは部族マーカーといって、タルギコマが置かれると自動的に場所が決まるんだ。
エフィ ???
アンディ 自分が置いた3個のタルギコマから、内側に向かって架空の線を引いてごらん――そうすると、線が交わる場所2か所できるだろう?
エフィ ……あっ、ほんとだ!
アンディ その2か所に部族マーカーを置くんだ。こうして青白5個ずつのコマが置かれたことになる。これら5つのアクションを、これから全部できるんだ。
エフィ すごい! 不思議!。
エフィ でも先手のほうがちょっとだけ有利よね。先にアクションを1つ選べるもん。
アンディ 後手は後手で、相手の動きを見られるという利点があるよ。まあ、ターンのたびにスタートプレイヤーは交代することになってるから。
エフィ 平等ってことね。
アンディ さて、では5つのアクションを……。
エフィ ちょっと待って。さっき、相手の真向かいにはタルギコマを置けないって言われたけど、自分の真向かいには置いていいのよね。となると、架空の線が1本少なくなるんだけど……。
アンディ よく気づいたね。その場合、交点が1つになるから、部族マーカーは1個しか置けない。
エフィ アクションが1つ少なくなるってこと? 絶対やらないなあ。
アンディ よほど背に腹が変えられないときは別だけどね。
●アクション
アンディ アクションは、先手プレイヤーが先にしたいことを全部やる。
エフィ 商品が描かれてるカードはトークンをもらえばいいんだよね。でも部族カードのアクションってどうやるの?
アンディ 部族カードは、コストを支払って自分の前に置くんだ。そうすると、以降、カードの効果を使えるようになる。たとえば、特定の部族カードを置くコストが安くなったり、ゲーム終了時に勝利点のボーナスが入るようになったりするんだ。
エフィ もし、置くためのコストが支払えなかったら?
アンディ その場合は部族カードを放棄しても(すなわち捨てても)いい。あるいは1枚だけなら手札としてキープして、あとで外周カードの〈貴族〉を使って置くこともできる。
エフィ 部族カードってどう置いてもいいの?
アンディ 自分の前に横4列×縦3列の“部族エリア”があると考えてくれ。つまり、置けるのは最大12枚まで。一度置いたカードの場所は動かせないからよく考えて。ちなみに、どちらかのプレイヤーが12枚置き切った場合も、そのターンでゲームは終了
エフィ わかったわ。じゃあ、お兄ちゃん、お手本を見せて。
アンディ よし。
  1. 右上の外周カードから塩1個をゲット。
  2. 右下の商品カードから胡椒1個をゲット。
  3. 左の外周カードの〈隊商〉で、商品カードの山から1枚引いて金貨1個をゲット。
  4. 下の外周カードの〈銀細工師〉で塩2個を1勝利点に変換。
  5. 中央下の部族カードを「ナツメヤシ1個、胡椒1個、金貨1個」支払って前に置く。
アンディ ざっとこんな感じ。5つのアクションは好きな順番に行えるし、キャンセルしてもいい。ちなみに外周カードの〈蜃気楼〉の効果を使うと、内側の部族マーカー1個を動かして別のアクションに切り換えられる
エフィ うわっ、強っ
アンディ 1人のアクションがすべて終わったら、もう1人が同じようにして1ターンが終了。使われたカードはなくなって、代わりに別の種類のカードが置かれる。商品カードがあった場所には部族カード、っていうふうにね。外周カードはなくならないけど。
そしてスタートプレイヤーが交代し、ゲーム続行。ちなみにつぎのターンに持ち越せる商品と金貨の数には限りがあるから気をつけて。
エフィ ゲームは確か、12ターン経つか、かたっぽのプレイヤーが部族カードを12枚置いたら終わるんだったと思うけど、勝負はどうやって決まるの?
アンディ 最後に勝利点を計算するんだ。部族カードの右下に描かれた勝利点、ゲーム中にトークンの形で獲得した勝利点、部族カードの効果によるボーナス点。さらに、自分の前に部族カードをどう置いたかでもボーナスが入る。
エフィ 置き方に意味があるの?
アンディ うん。横1列に4枚まで置けるんだけど、その4枚がすべて同じシンボルならボーナス4点すべて違うシンボルなら2点
エフィ 同じシンボルを並べるほうが断然よさそうね。
アンディ うん、そうだね。ゲームが進むと、こんな感じで並ぶことになる。
アンディ すべての勝利点を合計して、多いほうの勝ち!
エフィ なんだ、意外とシンプルじゃん。じゃ、初めからやり直そう!
アンディ え?
エフィ だって、タルギコマはそのあとの部族マーカーの配置も考えて置かなきゃいけないんでしょ? それに取ってくる部族カードはシンボルをそろえたほうがいいってわかったし……ずいぶん作戦が違ってくるもん。
アンディ 真剣だなあ。たかがゲームじゃないか。
エフィ (ジロリ)たかがゲーム? 負けたほうが、今日の晩ごはんを作るのよ。
アンディ ええっ? 家族仲よく遊んでもらうために、このゲームを作ったのに……。

 細かなルールは割愛したが、『タルギ』がどういうゲームか、だいたいつかんでもらえたと思う。かけ引きあり、プロッティングあり、ちょっぴりだけど運の要素もあり……小ぶりだけれど、ドイツゲームらしいドイツゲームと言えるだろう。
 ぜひ発売を心待ちにしてほしい。