本文へスキップ

株式会社グループSNEオフィシャルサイト

パグマイアの世界Pugmire

■パグマイアの世界
・善き犬たちの王国
・これが知性化された善き犬だ!
・汝、善き犬なりや?
・ライバルと宿敵
・“見えざる者”
■パグマイアの世界で遊ぼう!
・カードゲーム
・書籍
・サポート雑誌


 レックス・ピレニーズは鼻面についた血を拭い、剣を握り直した。襲撃者を求め辺りを見回すが、見えるのは周囲の森の木々――陰鬱な、黒い樹皮ばかり。
 邪霊(デーモン)の存在を示すのはその嗤わらい声だけだ。微かなくつくつという狡猾そうな嘲笑が、風にのって彼を取り囲む。
「シスター、君の鼻が必要だ!」
 嘲笑が聞こえたと思しき場所を手応えなく薙ぎ払いながら、レックスは吼えた。
 シスター・ピカサ・コリーは着ていたローブのフードを下ろした――窮屈なフードはいつも彼女のたっぷりとした毛をもつれさせ、敬虔なヒトへの祈りの邪魔になるのだ。少しの間、囁くように祈りの言葉を唱えると、邪霊の強烈な悪臭が 牧師 ( シェパード ) の鼻孔に充満した。悪臭は脳内に色として認識され、右手側へ固まりとして結実する。
「そこです!」
 悪臭の塊を指差し、彼女は叫んだ。
 彼女が指し示した空間に向かって、レックスは剣を振り抜いた。白刃が“見えざる者” の肉を裂き、嗤い声が悲鳴へと変わる! どす黒い色の血が飛び散り、レックスの輝く鎧を汚した。
「地獄に送り返してやる! 薄汚いバケモノめ!」
 勝利の確信とともに、レックスは咆哮をあげる。
 次の瞬間、2本の巨木の影からパン・ダックスフントがするりと姿を現した。狩猟者(ハンター)は囁きの如く静かであり、その弓は最適の瞬間を求めて、すでに引き絞られている。彼は低く邪霊へ挑戦の声を放つと、空中から滲み出るかのようにしたたり落ちる血めがけ、矢を解き放った。不可視の邪霊はまた悲鳴をあげ、そして静かになった。
 ヨーシャ・パグはおそるおそる目を隠していた ( ポー ) をおろした。
「もう、いなくなったの……?」
 顔のしわをわななかせながら、彼女は聞いた。
 その巨躯で小柄なヨーシャを守るように立ちながら、レックスは愛剣の柄に隠されたボタンを押した。刃にべっとりとついた邪霊の血が瞬時に沸騰し、異臭を放つ黒煙と化す。
「もう目を開けても大丈夫ですよ、マイレディ」
 傷がないか確かめながら、彼は言った。
「フン!」
 弓を背中に戻し、座り込みながらパンは鼻を鳴らす。
「ったく、大層役立つ姫様だなあ、ええ!」
 レックスは振り向き、パンを睨みつける。
「言葉に気をつけるんだな、ダックスフント。邪霊の存在を我々に知らせたのは、姫様だっただろうが」
「クソったれの仔犬みてえにキャンキャン泣き喚くことでな! あの邪霊をここに呼び寄せといて、後始末はワシらにお任せときた。ワシが言ったとおり、パグマイアに置いてくるべきだったろうが」
 レックスの喉奥から唸り声がこぼれだす。が、ヨーシャに腕を引かれ、彼はきまり悪そうな表情を浮かべ彼女の隣に座りこんだ。
「彼の言うことは正しいわ。あたし、みんなを危険な目に遭わせてしまった……」
「いいえ、マイレディ」
 唸るようにレックスは答えた。
「恐れながら、我らはみな気がたっているのです。悪いのはこの森……邪霊どもが跳梁跋扈するこの呪われた森でしょう。まったく、こんな悪に満ち満ちた場所とは。どおりで 死霊呪術師 ( ネクロマンサー ) が塔を建てるに選んだわけだ」
「あら、それは少し違うわよ!」
 立ち上がりながら、ヨーシャは興奮気味に言った。彼女は、邪霊から逃げていた間に放り投げたリュックサックを求めてぐるぐると駆け回ると、やっとみつけた鞄の中から古い革で装丁された薄い本を取り出した。
「伝説によると、死霊呪術師の塔はこの一帯が“恐怖の森”と呼ばれるようになる遥か以前からここにあったらしいの」
 彼女は手早くぱらぱらとページを 手繰 ( たぐ ) ると、とあるページを指差し叫んだ。
「ほら、ここよ!『かくして死霊呪術師たちは塔を己おのが領土と定め、死者の秘奥を守らんとしたのである』」バン、と音を立ててヨーシャは本を閉じた。
「邪霊は猫の死霊呪術師たちが召喚したと言う者もいるけれど、ミューラ伯父さまは、邪霊はヒトさまに追い払われ、長い年月の後にこの世界へと戻ってきたのだ、と言っていたわ」
 シスター・ピカサは古くから邪悪や病を避けると伝わる仕草の通り、手で鼻に触れた。「あなたの伯父御様が、悪意あってそのような冒涜的なことを言ったとは思いませんが」彼女は慎重に言葉を選びながら続けた。「教会の教えは明白です――ヒト様は、邪霊についてなにもご存じにあらせられなかったのです。私たちの祖先が、昼も夜も絶えずその危険性を伝えんとしたにもかかわらず、ね。“ヒトの規範” が“見えざる者” よりすべてを守るよう説くのは、そのためですから」
 パンは四足状態で立ち上がると、ぐるぐると一行の周囲を回りだした。
「いいか、“古き者” が何を知ってたかとか、塔を誰が作ったかとか、果てにゃなんでそれがこの森ん中に呑まれたのかとか、んなこたあどうでもいいんだ。大事なのは中に何があるかだろうが。ワシらの目的は――」
「“若返りの器”」
 ヨーシャが呟いた。
「失われしヒト様の遺産――そしてパッキントン王を癒せる唯一の品……」


パグマイアの世界

“ヒトの時代” の終焉から幾星霜――地球を受け継いだのは、犬たちでした。かつてヒトによって知性化された犬の子孫である彼らは、道具を使い、言葉を喋り、「パグマイア王国」とよばれる一大帝国を築いたのです。そんな彼らの目的は、“ 古き者 ( ヒト ) ” の遺跡に残された過去の遺産を回収すること。

ヨーシャ みなさん、はじめまして! あたしはヨーシャ・パグ姫。読書と冒険が大好きで、魔法で善き犬たちを支援する 魔工師 ( アーティザン ) よ!

パン ワシはパン・ダックスフント。世界一の 狩猟者 ( ハンター ) さ。冒険中にはヨーシャの世話を焼いておるわい。

ヨーシャ いつもありがとう! 今日はふたりでパグマイアの世界を紹介しましょう!

善き犬たちの王国



 パグマイア王国は数百年前に、“見えざる者”を匂いで感知する能力に目覚めたヴィンセン・パグが、行き場のない犬族を導いて建国した善き犬の王国です。パグマイアの多くの善き犬たちはヒトを神として崇める“ヒトの教会”の教えに従いながら、ウィルフレット・ハウンドが提唱した「“ヒトの遺産”を発見し保持する家門は貴族に列せられる」のルールを維持しています。そして遺産の回収任務の主役である存在が、王立開拓団の開拓者です。“善き犬の都市”と呼ばれているものの、王国のために尽くしてくれるなら、種族に関係なく受け入れます。

・恐怖の森:恐ろしい異形の存在が徘徊する森。どこかにヒトの遺跡が眠っているとか。
・ハウンドトン自治国:ハウンド家の分家が丘群に建てた自治領。パグマイア王国の属国。悪霊が彷徨う廃城があるらしい。
・ザッシュタウン:文明の外枠で生きる自由犬の村。
・ウォータードッグ港:世界の交易の中心である都市国家。海賊行為が公然と行われている。
・エレンドンク村:北の山脈に位置するドーベルマン家門所有の鉱山村。最近猫の盗賊たちが村の倉庫を襲ったという噂が流れている。
・猫たち?: 恐怖の森の向こうには、猫の都市国家の連合体、マウ連合君主国がある。

ヨーシャ あたしのご先祖様が数百年前に建国した王国なの。今はお父さまのパッキントン・パグ王がミューラ伯父様の助言の元に治めているわ!

パン ワシはぬくぬくした家に住む王都の犬よりも、草と土の感触を感じながら生きるザッシュタウンの自由犬の方に共感できるぞ。

これが 知性化 ( アップリフト ) された善き犬だ!

 パグマイアの主役は善き犬の開拓者たち。人間は、動物たちを 知性化 ( アップリフト ) して2足歩行の知性ある種族を作り出しました。近縁種の ( いぬ ) から進化した犬は、ヒトの最良の友であり、ヒトの遺産と知識を受け継いでいます。

A.身長:平均身長はヒトとあまり変わらないものの、犬種による身長差は激しい。120㎝から2mまで色んな犬が存在する! その中でもヨーシャ姫はもっとも小さい犬のひとりだ。
B.目:赤緑色盲である ( いぬ ) と違い、犬族はすべての色を認識できるように進化した!
C.鼻: ( いぬ ) 程ではないが、優れている。ヨーシャ姫を含めた一部の犬たちは宿敵“見えざる者”の存在を嗅覚で感知する能力を持っている。
D.口:ヒトの言葉が喋れるように進化した。 ( いぬ ) にとって毒だった玉ねぎ、アボカド、チョコレートも食べられるように進化した!
E. ( ポー ) 道具を持ち操ることのできる5本指を持った手と化した。緊急時には4足歩行の前足として働く!
F.尻尾:ヨーシャの短い尻尾は隠れているが、犬族の尻尾も残っている。時間の概念があいまいな犬たちは尻尾1振りで時間を数える!
G.足:直立歩行ができるように進化した足!
H.家名:人がつけた ( いぬ ) の犬種の呼び名がそのまま苗字になった! 別家門の犬族と婚姻して犬種とは異なる苗字を持つ者もいれば、家名を捨てて“ザッシュ”を名乗る自由犬も存在する。

ヨーシャ あたしたちの寿命は40~50年。10歳までが仔犬、15までは青年、25までは 成犬 ( おとな ) 、35までは成熟した成犬、そしてそれ以降は老犬とみなされるわ。

パン 冒険に歳は関係ねぇ。ここだけの話、ワシが狩猟者になったのは老犬になってからさ。ヨーシャだってまだまだ青年と言えない仔犬だが、一犬前の開拓者として冒険しているんだぜ。

汝、善き犬なりや?

 犬の中には、残された人類の超テクノロジーの使い方を学んだ者もいますが、そういった者もそれらを失われた神々によって与えられた魔法だと信じています。またある者は、回収された太古のヒトの文献の切れ端などから構築された “ヒトの規範”を使って、よりよき世の中を作らんとしています。世界には危険と不思議がいっぱいですが、犬たちはその中を一生懸命生きていくのです。

善き犬であれ 主人に従え 危害を加える存在のみを噛むべし 家を守れ 正しき者には忠実であれ 見えざる者からみなを守るべし 残されし聖なる遺物を取るべし

ヨーシャ “ヒトの規範”はとても大事だわ。それはあたしたちにどうすれば“ 古き者 ( ヒト ) ”の目に善き犬に見えるか教えてくれるもの。

パン 正直言って、なんでこんな風にいいアドバイスを、宗教の威厳で飾り立てて命じる必要があんのか、ワシにゃあちっともわからねえ。が、それがパグマイアってもんよ。

ライバルと宿敵

 パグマイアはハイ・ファンタジー世界で飼い犬たちが活躍する冒険を描いています。主役は遺物、知識、冒険を求めて失われた遺跡を探検する開拓者たちです。犬族に立ち向かうものは恐ろしい魔獣かもしれないし、誤解で対決することになるマウ連合君主国の猫族かもしれません。

猫族
 猫族は犬の好敵手とよべる種族で、マウ連合君主国と呼ばれる巨大な都市国家連合体を持っている。猫族は個性主義かつ秘密主義で、犬に対して奇妙なそぶりを見せ、その十重二十重に策を巡らす性質はすぐにトラブルの種となる。中でも死者との繋がりを持つ死霊呪術師(ネクロマンサー)は犬がもっとも警戒する猫だ!

ネズミ族
 ネズミ族は独自の都市を持たず、猫族や犬族の文明社会の余白に生きていながら、“キラキラ”する物品を集める種族。ラボ=トール秘教団に属したネズミたちはより高みを目指して、狂気に満ちた実験を繰り返している。白いローブを着たこれら“白いネズミ”たちは下等生物に生体実験を行うことでヒトの知性に近づけると信じているのだ!

アナグマ族
 文明を造ることをせず、他者から食料や土地を略奪して生きる種族だ。いつか“赤のキブ”が現れ、アナグマ族を1つの軍勢にまとめると言われている。

トカゲ族
 故郷を失い、キャラパンを組んで非定住の生活を送りながら、交易や情報のやり取りをする不思議な種族だ。塩を大事にして、塩を使う魔法を操るものもいる。

野獣と魔獣
 都市の外には様々な危険が待ち受けている。巨大生物、生きている樹木、実験の失敗で生まれた化け物、ヒトが残した自立型機械装置までが、勇敢な冒険者の命を狙う!

ヨーシャ 残念ながら、あたしたちが連合君主国について知っていることはあまり多くない。数世代前、あたしたちのお祖父さまやお祖母さまたちといくつかの君主国との間に恐ろしい戦争があったの。それ以来、両国の関係は緊張が続いているわ。

パン ワシも猫野郎を嫌って、疑っとる犬のひとりだ。ヤツらがどんだけ“誇り”だか“気品”だかについてニャアニャア言おうが関係ねえ。ワシは戦争にゃ参加しとらんが―― 流石にそこまで歳じゃねえ――自分なりの結論を導き出すに充分なほど、猫野郎の陰謀にゃ巻き込まれてきたからな。

 文明化した犬族には“善き者”と“悪い者”を見分ける道徳指針があります。“悪い”からといって“敵”とは限りません――“敵”は盲目的に破壊と混沌をもたらす狂気の魔獣に相応しい称号です。この世界には脅威と秘密に満ちています。そして善き犬たちはどんな危機も乗り越えるでしょう。

“見えざる者”


 邪霊。宿敵。“見えざる者”。その古の存在は名前の通り、目に見えぬ存在である! 時には善き犬を狂わせ、仲間へと襲いかからせる病として顕現する。それらは文明社会の中に潜み、邪悪な意図を発揮する機会を虎視眈々と狙っている。

パン ワシの答えはこれだ:魔物は狩る。なんでもかんでも“邪霊”に祭り上げんでも、なにが危険で止める必要があるかは見りゃわかる。魔物が出す被害に、文明の犬も自由の犬も関係ねえ。暴れまわる魔物の心臓に矢を撃ち込む過程で命を落としとしても、ワシの人生に悔いはないわい。

ヨーシャ だからこそ、貴方は善き犬なのよ、パン。

パグマイアの世界を遊ぼう!

『パグマイアの世界』(Realm of Pugmire)はオニキス・パスのエディ・ウェブが造り上げた物語の世界です。ロールプレイングゲーム『パグマイア』『マウ連合君主国』を中心に、デック構築ゲーム『フェッチクエスト』や小説にも展開しています。グループSNEはその日本語版を制作しており、TPRG専門雑誌『ウォーロック・マガジン』にその最新情報を載せたりサポートを行ったりしています。貴方も一緒に楽しい犬の世界へ冒険してみませんか?

■カードゲーム

『フェッチクエスト』
パグマイアの世界を存分に楽しめるデック構築ゲーム。

▼商品ページ ▼amazon

■書籍

『パグマイアRPGルールブック』
 犬の開拓者になって、ヒトが滅びた世界を冒険するロールプレイングゲーム『パグマイア』を遊ぶのに必要なすべてが入った1冊。
『ダンジョン&ドラゴンズ』第5版のシステムをベースに独自の世界観と追加ルールを加えたロールプレイングゲーム。

▼商品ページ ▼amazon
『パンの新米開拓者ガイド』
『パグマイアRPGルールブック』の1レベルキャラクターのための長編シナリオ。初心者ガイドにおすすめの1本。

▼商品ページ ▼amazon

■サポート雑誌

▼ウォーロックマガジン公式Twitter

『ウォーロック・マガジン』Vol.5
 長く続く冬を終わらせるために、ヒトの遺跡を探しに行くヨーシャたちの冒険を描いた小説『ヒトの冬』を収録。建国王の墳墓を探す隻眼の猫を追うパグマイア1レベルシナリオ『ヴィンセン王の墳墓の秘密』のフルカラー冊子付録!

▼エラッタ ▼amazon
『ウォーロック・マガジン』Vol.6
 パグマイアガイドスクリーン収録! 『パンの新米開拓者ガイド』を前半部を収録。

▼amazon
『ウォーロック・マガジン』Vol.7
 王都パグマイアを舞台に犬の貴族アリスターと彼に仕える猫の執事ダーシーが陰謀を解き明かす冒険をする短編小説『ありがとう、ダーシー・キャット』収録

▼エラッタ ▼amazon