――氷刃が舞った。 　視認できないほどの斬撃は、氷の欠片をともなって相手を切りつける。 　傷口は凍りつき、血の一滴も流れない。ドワーフは、凍った傷口を押さえ膝をついた。 　それを見た氷の騎士が剣をしまい、ドワーフに背を向ける。興味を失ったように無表情のまま歩き始めた氷の騎士の背中に、ドワーフが獰猛な笑みを向けた。 　巨大な戦斧を構えなおし、ドワーフがその背中に切りかかる。 　だが、その戦斧は氷の騎士に届かない。 　傷口の氷がドワーフを侵食し、その身体を氷の彫像に変えてしまったのだ 　氷の騎士は二度殺す。 　この戦いの後、そう囁かれるようになる。