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TOP > 製品情報 > ソード・ワールド > SW2.0『ルールブックT改訂版』への注釈

SW2.0『ルールブックT改訂版』への注釈


■ はじめに ■


 2012年7月20日に、『ソード・ワールド2.0ルールブックT改訂版』(以降『改訂版』と略記します)が、発売となりました。これに至る経緯は、インタビュー記事にある通りです。こうした経緯を取ったため、『改訂版』は、少し特殊な製品となっています。本記事では、それに対する補足を行います。



目次




1.位置づけ

「SW2.0」では、「後出し優先」の法則があります。「ルールの適用や解釈において、書籍などで、矛盾するものが現れた場合、原則的に、より後に発表されたものを正しいとする」というものです。ルールやデータの追加、改変において、いちいち、それを断っていったら、非常に冗長なものになってしまうのを避けるための処置です。
 ただし、『改訂版』は、この法則から一部除外されます。この本は、戦闘ルール部分を置き換える製品であり、その他の部分については、ほぼ手をつけられていません。「それがあれば、とりあえずゲームを始められる」というのが、『ルールブックT』を名乗る作品に求められるポジションだと、我々は考えています。そのために、『改訂版』であっても、今までに出版された『ルールブックU・V』や、各種のサプリメントを前提とした記述はできませんでした。これに、「コスト」や「時間的制約」という条件もあり、戦闘ルール以外には、手をつけないという形を取ったものです。
『改訂版』における、「戦闘ルール以外の部分」は、旧『ルールブックT』と同じであり、これと同等の優先度しかありません。「後出し」には、該当しないものとしてください。

 具体的には、以下の優先順位に従ってください。


『改訂版』は、旧『ルールブックT』のすべてに対し、優先する。
 戦闘ルールにおいては、『改訂版』は、従来のルールブック、サプリメントのすべてに優先する。
 戦闘以外のルールにおいては、『改訂版』より、『ルールブックU・V』や、各サプリメントのものが優先する。


 なお、8月発売の
『カルディアグレイス』は、こうした制約のない、純然たるルールとデータの強化作品です。発売された時点で、それ以前のすべての作品(むろん、『改訂版』も含みます)に優先します。



2.ルール改訂部分

『改訂版』では、「ルールのどこを改訂したか」を記述することをあえて行っていません。
 理由の一つは、かなり厳しいページの制約が存在していたことです。書き進めた結果、大幅にページオーバーすることが明らかになってしまいました。
 加えて、『ルールブックT』である以上、読者には、完全なルール初心者も想定しなければなりません。そうした人には、「改訂部分の注釈」は、まったく無意味なものであり、掲載しても、いたずらに混乱を招くだけなのではという懸念もありました。
 この2つの理由から、改訂部分の指摘は、あえて『改訂版』からは省略しました。
 しかし、従来ルールで遊んでいた人には、これは、是非ともあって欲しいものだと思います。『カルディアグレイス』には、当然掲載されますが、ここでも、それを一覧にしておきます。

2−1.レギュレーション
「簡易戦闘」「標準戦闘」の2つのレギュレーション提示は、旧ルールからの大きな改訂です。
 それぞれのルールとも、従来ルールとはキャラクターの位置管理の方法が異なります。従来ルールでは、二次元でキャラクターの位置を管理することが前提でしたが、『改訂版』で示される2つのレギュレーションは、それより簡単な
「3エリアのみの管理」または「一次元での管理」に留められています。
 従来ルールと同等の
二次元管理における戦闘ルールは、不明瞭だった部分に手を加え、厳密性をより増した形で、「熟練戦闘」レギュレーションとして、『カルディアグレイス』に収録されます。我(ら)こそは達人と自負し、より戦術的に遊びたい人たち向けのレギュレーションです。
 
2−2.乱戦宣言の削除
 従来ルールにあった「乱戦宣言」は、改訂戦闘ルールでは削除されました。乱戦は、自動発生し、キャラクターによる宣言を必要としません
「簡易戦闘」においては、敵味方が同時に1つのエリアに存在すれば、自動的にそこが乱戦です。
「標準戦闘」では、同一座標の、敵対的なキャラクターへの攻撃や、特殊能力の使用により、自動的に乱戦が発生します。
 
2−3.投擲攻撃の変更
 改訂戦闘ルールでは、射程を持つ攻撃(射撃攻撃)を、「射出武器攻撃」「投擲攻撃」に分割します。そして、投擲攻撃において、大きく扱いが変わります。次の2点が変更点です。

1.通常移動時でも行うことができる。
2.命中力判定と追加ダメージ計算にファイター技能およびフェンサー技能も用いることができる
(むろん、フェンサー技能は、武器の必要筋力が自身の筋力の半分以下でなければならない制限を伴う)。

 
非常に大きなルール改訂となります。注意してください。
 
2−4.ダメージという言葉
 従来ルールでは、「特に説明のない状態で『ダメージ』と説明されているものは、物理ダメージとなります」という記述がありましたが、これは、改訂ルールでは削除されます。「ダメージ」は、広く、HP(MP)が減少する効果の総称です。
 なお、前述の文は従来ルールでも、ほぼ適用されることのない定義でした。既刊のルールブックやサプリメントにおいて、「物理ダメージ」とまったく同じ意味で「ダメージ」という言葉を使ったものは、実際には存在していません。逆に、総称としての意味で「ダメージ」を使ったケースのほうが少数ながら存在しています。
 そのため、このルール改訂は、既刊のルールブック、サプリメントでの記述に対しても、そのまま適用されます。それらに現れるダメージという言葉は、HP(MP)が減少する効果の総称です。
 
2−5.金属鎧によるクリティカル値上昇
 改訂戦闘ルールでは、金属鎧を着たキャラクターに対する攻撃は、それが物理ダメージを与えるものか、魔法ダメージを与えるものかで、クリティカル値の上昇が発生するかを定めます
 武器攻撃に限らず、どのような魔法・効果でも、
物理ダメージを与えるものならば、金属鎧に対するダメージ決定では、クリティカル値は+1されます。
 一方、武器攻撃であっても、魔法ダメージを与えるものでは、金属鎧によるクリティカル値上昇は発生しません。
 
2−6.「とどめルール」の削除
 従来ルールでは、気絶などで戦闘不能に陥ってしまったキャラクターに止めを刺したい場合、30秒狙いをつけてそれを行う、いわゆる「とどめルール」が存在しました。しかし、このルールは、本ルールでは削除されました。止めを刺したい場合は、単純に更なるダメージをHPに与えてください
 
2−7.誤射は乱戦エリア内同一座標のみ
※「標準戦闘」でのみ、意味を持ちます。
 従来ルールでは、誤射が起こる条件と対象は、「乱戦エリア内のすべてのキャラクター」でしたが、これが、「乱戦エリア内で同一座標にあるすべてのキャラクター」に改訂されます。
 
2−8.「最小サイズ」の変更
※「標準戦闘」でのみ、意味を持ちます。
 従来ルールでは、乱戦状態のキャラクター数が「2」のときは、乱戦エリアのサイズを半径2mとし、これが最小でしたが、改訂戦闘ルールでは、
乱戦エリアの最小サイズは、半径3mであり、キャラクター数「2」の場合も、これで処理することになっています。
 
2−9.移動妨害に付随する乱戦エリア形成の削除
※「標準戦闘」でのみ、意味を持ちます。
 従来ルールでは、手番キャラクターに対して、移動妨害に相当する行為が行われたとき、乱戦エリアが自動発生する処理になっていました。
 改訂ルールでは、この処理は行われません。
移動妨害は、あくまで手番キャラクターの移動を妨害するだけの効果に留まります
 選択ルールも参照してください。
 
2−10.PCによる不意打ちの削除
 実質的に機会が少ないという理由で、『改訂版』では、PCによる不意打ちのルールは割愛されています。『カルディアグレイス』に、改訂の上、選択ルールとして収録されています。



3.選択ルール

 改訂戦闘ルールは、なるべく従来ルールやデータと齟齬を起こさないよう作成されましたが、どうしても、すり合わせのきかなかった部分も存在しています。これらの選択ルールは、ルールの改定に伴って発生した不都合を解決するためのものです。
GMとプレイヤーの相談のもと、導入を検討してください。


3−1.〈閃光石〉の変更
 投擲攻撃で用いられる〈閃光石〉(⇒『AW』85、104頁)は、投擲攻撃がシューター技能のみ、移動も制限移動に限られるという、従来ルールを前提にゲームに導入されたアイテムです。改訂戦闘ルールにより、投擲攻撃は、ファイター技能やフェンサー技能で、そして、通常移動でも可能となりました。そのため、カテゴリ〈投擲〉の武器の価値は全般に高くなりましたが、〈閃光石〉の有用性は、その中でも群を抜いており、ゲーム・バランスに著しい影響を与えるに至っています。
 改訂戦闘ルールにおいては、
〈閃光石〉の「効果」を次のように変更することを強く推奨します(要は、「直接に命中させられたら自動」だった部分を、そのキャラクターも生命抵抗力判定を行えるという変更です)。

 直接に、あるいは、〈スリング〉を利用して投擲する〈矢弾〉です。ダメージは、〈ストーン〉、もしくは、〈スリング〉のそれに準じます。
 この石は、着弾したときに砕け散り、強烈な閃光を発します。直接に命中を受けたキャラクターと、そこから10m以内にいたキャラクターは目標値14の生命抵抗力判定に失敗したら、光を直視して眼が眩んでしまいます。種族特徴[暗視]を持つキャラクターや、知覚が「五感(暗視)」とあるキャラクターは、生命抵抗力判定において、−2のペナルティ修正を受けます。
 眼が眩んだキャラクターは1分間(6ラウンド)の間、盲目として扱います。事前に目を閉じておいたキャラクターや、抵抗判定に成功したキャラクターは特に影響を受けません。
 知覚が「魔法」「機械」のキャラクターには効果がありません。
 
3−2.移動妨害に伴う乱戦エリアの自動形成
※「標準戦闘」でのみ、意味を持ちます。
 すでに述べたとおり、改訂戦闘ルールでは、移動妨害だけでは、乱戦エリアの自動発生は伴わないと改訂されています。
 これは、ゲーム・ルールをより簡素化し、処理を簡便にするためのルールの改訂ですが、それにより、細かな部分で従来ルールとの齟齬や、ルール自体の脆弱性も発生しています。
 これらが気になる人は、以下の選択ルールを利用してください。

複数部位キャラクターに対する同時攻撃
 移動妨害が乱戦エリア発生を伴っていた従来ルールでは、複数部位のキャラクターが移動妨害を行った場合、そのすべての部位がまず乱戦状態になります。そのため、移動妨害を受けたキャラクターが、戦闘特技《薙ぎ払い》や《テイルスイング》を習得しているなら、すべての部位に対して、これらの特技により、近接攻撃を実行することができました。
 一方、移動妨害だけでは乱戦エリア発生を伴わない改訂戦闘ルールでは、どれかの部位1つを選んで攻撃するしかありません。
 この「下方修正」をよしとしない場合、
複数部位のキャラクターや複数のキャラクターが共同して行った移動妨害に対し、それらの戦闘特技や類似の能力により、複数の部位、キャラクターを攻撃してもよいとしてください。
 
手番終了時の自動発生処理
 移動妨害が乱戦エリアの自動発生を伴わない改訂戦闘ルールでは、移動妨害を行ったキャラクターは、さらに制限移動範囲内で移動妨害を続けることが可能な状態です。
 通常は、移動妨害を受けた手番キャラクターが、移動妨害を行ったキャラクターに対して近接攻撃などを行い、乱戦エリアが発生して、この状態は解消されます。
 しかし、手番キャラクターが全力移動であるなどで、それが行われなかった場合、移動妨害可能な状態は継続し、キャラクターは次の敵手番キャラクターに対して、移動妨害を行うことが可能です。
 極端例を挙げるなら、全力移動で突進してくる敵兵をすべて、1人のキャラクターで食い止め続けるということが発生しうるのです。加えて、そのキャラクターは、3mずつ前進していくことすら可能です。
 これを避けたい場合、
手番キャラクターが移動妨害を受けた場合、たとえ近接攻撃を含め、いっさいの動作が行われなくとも、手番終了時に、自動的に乱戦エリアが発生し、手番キャラクターと移動妨害を行ったキャラクターの双方が乱戦状態になるとしてください。これにより、当該キャラクターの移動妨害可能な範囲は、その乱戦エリア内に制限され、かつ、それを行っても自身の座標は変化しなくなります。さらに、人数比2:1の移動妨害制限から、無限の移動妨害も不可能化します(通常、2体止めたら終了です)。
 繰り返しになりますが、通常移動に対する移動妨害では、妨害された手番キャラクターが、近接攻撃などを行い、乱戦エリアを形成してしまえば避けられる現象に過ぎず、これは、実際のゲームの場では、ほぼ発生しない状況に対する解決策です。


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