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TOP > ユーザーコンテンツ > 著者インタビュー > 『明かせ! へっぽこ大冒険/ソード・ワールド・サポート1/ゲームを斬る』(2006年04月)
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明かせ! へっぽこ大冒険
ソード・ワールド・サポート1
ゲームを斬る

 今回のかわら版は豪華3本立て!
 小説ともリプレイとも違うけれど、ゲーム好きならぜったい手もとに置いておきたい3冊をばば〜んっと取り上げちゃいます!
 1冊めは、3月18日(ちょっと昔でごめんなさい)に発売された富士見ドラゴンブック『明かせ! へっぽこ大冒険。もうお持ちの方も多いかもしれないけれど、「あれれ、まだ買ってないっ」とお思いの方のために、この本の見どころを秋田みやびにビシッと語ってもらいます。
 2冊めと3冊めは、4月28日にいっしょに発売されたRole&Roll Books『ソード・ワールド・サポート1ゲームを斬る。どちらもゲームファン必携の手引き書です。詳しくは、著者である清松みゆき安田均へのインタビューをどうぞ。
 それでは、めくるめくゲームの世界へご案内しましょう。
2006年04月 発行
記事作成 柘植めぐみ


1.『明かせ! へっぽこ大冒険 新ソード・ワールドRPGリプレイ集ガイドブック』
富士見ドラゴンブック
監修:清松みゆき
著:秋田みやび/グループSNE
イラスト:浜田よしかづ


「へっぽこ」
 技量の劣った者、役に立たない者をののしっていう語。
 例:「〜医者」(広辞苑より)
 へっぽこへっぽこと言われつづけ、巻を重ねること10冊。気づくとイリーナたちも6レベルになりました。これだけの冒険者、アレクラスト大陸広しと言えどもそうそうはいないはず。なのにどうしてへっぽこなのか。
 その謎は、このガイドブックを読めばわかるはず……だよね、秋田みやび?

柘植:  あれ? 秋田、どこ行った……
秋田:  (こそこそこそ)。
柘植:  こら、机の下に隠れてないで出てきなさい! まったく照れ屋さんなんだから(引きずりだす)。さあ、この本のウリをみなさんにお話するのよ。
秋田:  は、はい(かしこまる)。
柘植:  それでは、この本の構成から紹介してもらえるかな。
秋田:  ええと、まず最初にワールドガイドがあります。アレクラスト大陸の歴史から、へっぽこの舞台となるオーファン王国までざっと解説が載ってます。
柘植:  冒険者の宿『青い小鳩亭』の見取り図はじっさいのプレイでも使えそうですね……本物は燃えちゃったけど(苦笑)。
秋田:  次にストーリーガイド。リプレイだけじゃなく、短編集やコミックの内容も、これを見れば一目瞭然です。
柘植:  きみの長編もね(ニヤリ)。
秋田:  (照れ照れ)で、キャラクターガイドです。へっぽこの面々の設定と関係者のコメント。それにチョイ役のキャラクターまであいうえお順に紹介してあります。
柘植:  たしかに"これ誰だっけ?"という人まで登場していますな。
清松:  (次のインタビューに備えて待機中)
 そのわりに、BBたちが抜けちゃったんだよねえ。
秋田:  そうなんですよ〜。かわいそうなことをしました。
柘植:  あら、ほんとだ。ちなみにBBというのは、魔術師ヒースクリフのパペットゴーレムのお友だちです。
秋田:  そのあとのゲームガイドでは、ドラゴンマガジンに連載されていた旅の扉』『旅のお宿』『旅のしるべがまとめてあります。
柘植:  シナリオの作り方とかプレイのアドバイスとか、ゲームに役立つ情報が満載ですね。これは便利ですよ。
秋田:  それに当時の浜田よしかづさんのイラストが大判になって再録されていますので、見逃した方には朗報ですね。
柘植:  そしていよいよ最後に、2本の書き(描き)下ろし
秋田:  はい、まずは浜田さんのコミック1P漫画がなんと8本
柘植:  そういえば各章の冒頭にも描き下ろしコミックが載っていて、口絵にもカラーイラストが5点! これだけでもこの本を買う価値がありますね。
 あ、もちろん、書き下ろしのリプレイもだよ。
秋田:  はい、番外編瀬戸際の花嫁を書かせていただきました。
柘植:  あいかわらずナイスなタイトル。これはどういうお話?
秋田:  そうですね……もし本編に採用されたら、マウナはいったいどこに流れていくんだろう、というお話です。
柘植:  ??? まあ、それは読んでのお楽しみということで。時期的にはいつごろを扱ったもの?
秋田:  1巻の直後くらいに、雑誌に掲載することがあるかもしれない、と何回かお試しのセッションをしたんです。その1本ですよ。
柘植:  ということは、収録しながら発表していないリプレイがまだまだあるんだね。それは読みたいなあ。
秋田:  はい、機会があればぜひ。でもどちらかといえば、イリーナたちの未来のお話もやりたいです。
柘植:  それはきっと読者さんたちも同じ気持ちだよ。みんな、要望のお便りを出そう!
 というわけで、この本をざっと紹介してきましたが、秋田としてはどこがいちばん気に入ってる?
秋田:  はじめて明かされた、それぞれのキャラクターのパーソナリティ――個人情報ですかね、やっぱり。
柘植:  プレイヤーや浜田よしかづさんの裏話とか、読むとへえ〜って思えておもしろいね。
秋田:  キャラクターの趣味とかプレイヤーに聞いたりもしたんですけど、誕生日はけっこうその場で決めちゃいました。
清松:  マウナが不幸なんだよね(大笑い)。
柘植:  えっ、そうなの? (ぱらぱら)……うわっ、ほんまや。ひどい……。
清松:  詳しくは本文をどうぞ。まあ、アレクラスト大陸だからいいかって。
秋田:  まずイリーナの誕生日を決めて、マウナはその1週間後前後くらいで……と考えていたら、こうなりました(苦笑)。あとの人はプレイヤーの誕生日そのままだったり、年とったころを逆算したり、季節がばらけるように調整したり。
柘植:  ヒースの誕生日にプレゼントが来ちゃったりなんかして。リプレイは終わったけど、まだまだ人気だもんね、へっぽこ。
秋田:  ドラゴンマガジンでは浜田さんのコミック連載が始まってますし、応援してくださる方が多くて嬉しいです。
柘植:  それに……ほら、もう書き上がったんだよね、アレ
秋田:  は、はい! じつは7月に、書き下ろし長編が発売になります! へっぽこたちがまだぺーぺーの時代のお話。
柘植:  ということは、ノリスやガルガドがいるころ?
秋田:  というか、出会いのころのお話です。めったに見られない乙女ちっくなイリーナが見られると思いますよ。
清松・柘植  ウ、ウソだ〜っ!
秋田:  ほんとです〜。初恋物語なんですよ。
柘植:  真偽を確かめたい人は、7月に本屋さんに走ってね!
 リプレイファン必携の『明かせ! へっぽこ大冒険』。リプレイファンも、ゲームファンも、ぜひ1冊お手元に置いてやってください!


2.『ソード・ワールド・サポート1 異種族、組織、信仰(光の神々)』
Role & Roll Books(新紀元社)
著:清松みゆき/グループSNE
イラスト:緒方剛志


「サポート」
 支えること。助け。例:「登頂を〜する」(広辞苑より)
 新紀元社さんから創刊されたばかりのRole&Roll Booksシリーズ。ちょっと大きめの新書サイズです。内容はリプレイから評論、はてはルールブックまで、これからどんどん出ていく予定とのこと。こうご期待! ということで……

柘植:  ひと言でまとめると、どういう本なのでしょう?
清松:  その名のとおり、サポートだよ。ソード・ワールドに登場する種族や神さまを1つ1つ取り上げて解説してるんだ。
柘植:  同じタイトルでTRPG専門誌「Role&Roll」に連載されていましたよね。そのまとめと考えてよいのですか?
清松:  いや、書き下ろしもけっこうあるよ。
柘植:  ほほう。では、章を追って見ていきましょう。
 まず第1章は「異種族」。エルフグラスランナーなどおなじみの種族が紹介されていますね。
清松:  ドワーフは完全な書き下ろし。エルフもそう言っていいかな……「Role&Roll」に書いたのはダークエルフだから(笑)。
柘植:  内容はどういうものでしょう?
清松:  各種族の起源とか、ロールプレイの指針とか、パーティ内での役割とか。ちょっとしたコラムもあるよ。ドワーフと言ったら"酒"だけど、どんなときに飲むのか、といったもの。
柘植:  第2章は「各種組織」。盗賊ギルド賢者の学院役割や構成が、例をあげて書かれているようですね。
清松:  こちらは連載のものがほとんどだけど、神殿についてはかなり構成し直して手を加えてる。
柘植:  あ、こちらにもおもしろいコラムがありますね。たとえばこの"魔術師ギルドでのキャラクターの立場"。へっぽこヒースクリフは、この俺様、特待生。ひれ伏せってやつですね。むむっ、パパの推薦で特待生って、バブリーズフィリスですか。
清松:  それは4〜5部の……いや、あくまで例だから(苦笑)。
柘植:  ええと、第3章は「信仰」。光の神さまたちの名前がずらりと並んでいます。
清松:  ファリスと、ヴェーナーたちマイナーな神さま以外は、全部書き下ろしたんだ。
柘植:  うわっ、それはお疲れさまでした。教義とかサンプル・キャラとか、よくここまで……。
 読み物としても、ひじょうにおもしろそうな本ですね。
清松:  そうなってるといいな。ひととおりこういう形で種族や神さまをまとめたのは、ソード・ワールドでは初めてだから。
柘植:  そうですね。ワールドガイドやリプレイを読めば、ある程度はプレイの指針がつかめていましたが…。
清松:  そういうところを、細かく決めるのには消極的だったんだけどね。
柘植:  でもプレイヤーとしては、やっぱりあったほうが嬉しいです!
清松:  細部を決めるのが、ロールプレイの促進になる人もいれば、制限になる人もいるからね。情報を増やしすぎてGMやプレイヤーの自由度を奪うことはしたくないから。もっとも、そんなこと言ってるわりに、聖印(ホーリー・シンボル)を全部決めたりもしたけど。
柘植:  うわ、ほんとですね。チャ・ザの聖印は天秤とか。
清松:  じつは、『イラストレーターさんが困ってます』という編集部からの要請という理由もあったりするけど(笑)。身分証明や逆に詐称、場合によっては誤認・誤導という、ゲームで役立つ面もあるから、水野良と相談して一気に決めた。ラーダとか抽象的すぎてよくわからないだろうけど、じつは、これはまだこちらでは具象化していない。
柘植:  していない?
清松:  まだ具体的な絵はないんだ。ラフすらない(笑)。説明文見て最初に描いたイラストレーターさんのものになるかも。
秋田:  (横で話を聞いてた)
 早い者勝ちってことですね!
清松:  そうそう。たとえば、いまのラーダ神官って……うわっ、ふぃぎゅあマニアのドワーフだ(注:「Role&Roll」に連載中の「猫の街」に出てくるズン)。そのあたりでひょっとしたら決まっちゃうかも……。
柘植:  ぐはっ。彼が売ってるフィギュアに聖印が彫りこまれてるかもしれないわけですね。
 (気を取り直して)と、とにもかくにも、これはプレイヤーには必携の書だと思います。
清松:  でもまだ連載ぶんで残ってるものがあるからねえ。
柘植:  今回の本にはとありますし、もちろん「2」も出るんですよね?
清松:  うん。取り上げるのは、まずモンスター。それから、ファラリスと追加した邪神たち。あとは旅と街道についての話かな。半分は連載時のもの、半分は付け足す感じになると思う。
柘植:  1巻めはプレイヤー向けでしたが、2巻めはゲームマスター向けということですか?
清松:  そういうことになるかな。ありきたりだけど。
柘植:  いえ、使いやすいと思いますよ。その2巻めはいつごろの予定でしょう?
清松:  今年度の下半期の作品になるはずだよ。
柘植:  ということは、秋から冬にかけてですね。みなさん、楽しみにお待ちください。
 最後に、これからのソード・ワールドの展開についてお話いただけますか?
清松:  今年も7月から8月にかけて、ソード・ワールドのフェアが開催される。リプレイでは、ぺらぺらの新刊山本弘さんのスチャラカ冒険隊の復刊。小説では、秋田の長編サーラの完結編。ゲーム的なものではSWツアーの新しいものなど、とにかくずらりと本屋に並ぶことになると思う。
柘植:  では、夏になったらこのコーナーでまた取り上げましょう。みなさん、お財布の中身をしっかり準備しておいてくださいね!

3.『ゲームを斬る』
Role & Roll Books(新紀元社)
著:安田均


「斬る」
 (1)結びついているもの、続いているものなどを分かちはなす。
 (2)閉じていたものを開く。転じて、悪事をただす。例:「政界を〜」(広辞苑より)
 さて、残る1作品は、グループSNEのボス、安田均による『ゲームを斬る』です。帯に「21世紀に入ってアナログゲームはどう変わったのか?」とあるように、ゲームに関する評論・エッセイ集のようですが……

柘植:  さっそく著者である安田均にインタビューしてみましょう。
 今日はよろしくお願いします。(本を手に持ち)この『ゲームを斬る』ですが……
安田:  すごい表紙だね。
柘植:  ええ、ビジネス書かとみまがうような(笑)。これはどのような人たちに向けて書かれた本なのでしょう?
安田:  まずなによりゲーム好きの人たちに、ボードゲームはおもしろいと伝えたかった。それにRPGのファンにも、いまのRPGがどんなふうにボードゲームと関わっているかを知ってもらいたかった。もちろん、じっさいに遊んでもらえたらもっといい
柘植:  TRPG専門誌「Role&Roll」に同じタイトルでコラムを連載しておられると思うのですが、どうやらそのまとめというだけではないようですね。
安田:  連載をまとめるにあたってどうしようかと考えたとき、21世紀に入ってからアナログゲームについて書いたものがたまっていたことに気づいて、いっしょに載せようと思ったんだ。
柘植:  過去にもゲーム紹介の本をたくさん出版されていますが。
安田:  最初はコンピュータゲームの創世期のころ――80年代後半から90年代前半までを取り上げて、『幻夢年代記(アスキー)を書いたんだ。これは当時、雑誌「ログイン」に連載していた記事をまとめたもの。あっ、そういえばその前の86年に、SFファンタジィゲームの世界(青心社)も書き下ろして、こんなRPGがあるよ、と紹介したっけ。ボードゲームについても書いてるけど、どちらかというとシミュレーションゲームが多かったかな。それから「ドラゴンマガジン」で連載していたものを96年にまとめたのが、安田均のFANTASY GAME FILE。この本ではTCGについても書いてるよ。
柘植:  コンピュータゲームからシミュレーションゲーム、RPGにTCGと、これまでのゲーム界の流れがうかがえますね。
安田:  ただ21世紀に入ってからのゲームについては、紹介はしていたんだけどまとめられていなかった。
柘植:  それが今回の本なんですね。
安田:  そういうこと。2000年以降、ここで書いたものの流れを見ると、2つに分けられる。まず、2000〜2003年にWebで書いていた主にボードゲームの紹介。そして、2003年から始めたRPGまでを含めた紹介。後者は「RPGamer」「Role&Roll」という2つの雑誌が創刊されてからのものになるね。
柘植:  前者がこの『ゲームを斬る』の第一部「ビバ! ボードゲーム!、後者が第二部「RPGとボードゲームというわけですね。
安田:  2002年に出たボードゲーム大好き!(幻冬舎)は書き下ろしだったから、あれが『SFファンタジィゲームの世界』につながるものだとすると、この『ゲームを斬る』は『FANTASY GAME FILE』の流れということになる。ぼくのゲーム評論の歴史における位置づけはそんなところかな。
柘植:  なるほど、よくわかりました。
安田:  これまでボードゲームに興味のなかった人にも、こんな本があるんだなあ、と思ってもらえたらいいと思う。海外のゲームが中心だけど、もともとぼくがはじめたのは翻訳家だからね。
柘植:  はい。海外のおもしろいゲームを日本に、というコンセプトで、RPGやTCG、ボードゲームを紹介されてきたわけですよね。
安田:  昔はゲームと言えばアメリカだったけど、いまはドイツが元気で、それがアメリカにも伝わってるね。
柘植:  この本には、オーストラリアに行かれたときのお話もあるようですが。
安田:  内容については、ずいぶん手を加えたよ。雑誌は違えども重複している部分もあるから削ったり、改稿したり、くっつけたり。けっこう手間がかかった。それで締め切りに追われたせいか、誤植が何か所か残ってしまって申し訳ない。いい機会だからエラッタを載せておいてもらえるかな。
柘植:  はい、わかりました。現在判明している主な間違いは次のとおりです(単純な誤植は省かせていただきます)。

 ページ  訂正
 28〜30ページ  『アクワイア』の写真の新旧が逆です。
 120ページ  2行めの改行は不要です。
 123ページ  「GAMES」誌の写真。第1号とあるのは1982年12月号最新号とあるのは2005年12月号です。
 138ページ  『プエルトリコ』についての最後の文章。「大口となる」は不要です。
 143ページ  1行めが前ページの最後の行と重複しています。
 326ページ  「2005年の代償『ナイアガラ』」とありますが、大賞の間違いです。
 カバーの著者紹介  AME→AME


安田:  こういう本って、自分でも好きだったんだよねえ。
柘植:  こういう本?
安田:  ご存じないかもしれないけど、昔は植草甚一さんの雨降りだからミステリーでも勉強しようという本があってね。ミステリーの評論というより、こんなのがあるよ、という紹介本。あるいは都筑道夫さん(「エラリー・クイーンズ・ミステリー・マガジン」の初代編集長)も、雑誌にそういう記事を書いていた。それから野田昌宏さんのSF英雄群像伊藤典夫さんの本にはなってないけどSFスキャナー。そういうのが大好きだったから、同じように好きな人のためにぼくもこのタイプを書いてきたんだ。
柘植:  いつか単行本にまとめようと考えておられたんですか?
安田:  いやいや(笑)。そのわりにはきちんとまとめられたかな。まえがきも力を入れて書けたし。まずこのまえがきを読んでもらえたら、いまのアナログゲームの流れが明快にわかると思うよ。
柘植:  ところで、なぜタイトルは『ゲームを斬る』なんでしょう?
安田:  なんでだろう(笑)。本来、斬るといえば、批判するという意味合いになるけどね。ぼくとしてはそうじゃなく、"いろんな角度から見る"という意味をこめたつもり。バッサバッサと斬りたおして、というわけじゃないよ。
柘植:  ボードゲームを小説の面から見たり、RPGの面から見たり、いろんな角度から見てほしいということですね。この本でとくに読んでほしいところは?
安田:  第一部の前半で取り上げた"ボードゲーム ベスト10"は、間違いのないものを選べたと思う。ボードゲームを遊んでみたいなと思った人は、ここから選んでもらうといい。2人用ゲームで『バベル』を取り上げているけど、本当に遊んでほしいのは『ボーナンザ』というカードゲームのほうかな。
柘植:  わたしも大好きですよ、あのゲーム。たしかにここにあげられている作品は、いずれ劣らぬ名作ばかりですね。
安田:  第二部ではRPGとの関連を書いてるけど、いま、新しいタイトルで目立ったものがないのが気がかりだね。d20シリーズやリメイクが多くて。とはいえ、最近はRPGとボードゲームが融合したようなものも出てきている。この本以降の流れについては、ぜひ「Role&Roll」に連載しているぼくのコラムを読んでほしい。先日書いたもの(21号に掲載予定)では、ブルー・ムーンというTCG風カードゲームがボードゲームになった、という話を書いてる。しかも小説まで出ているようで、1つの世界であらゆるジャンルに広げていこうというスタイルがドイツでも生まれてきている。いっぽうアメリカでは、もともとRPGをはじめとしてストーリー志向が強かったけれど、いまはルーンバウンドのようなボードゲームの新しい形が生まれたりしている。
柘植:  RPGやTCGと融合したような感覚のボードゲームですね。
安田:  さらにはその『ルーンバウンド』では、Midnight』という別のRPGを遊ぶバージョンも出ているんだ。
柘植:  へええ。これからが楽しみですね。
安田:  70年代のRPG、90年代のTCGのように、20年に1つのゲームがぼくはあると思う。それが今後、どんな形で出てくるのかも要注目だね。『マジック』の次はなんなのか。『ゲームを斬る』ではまだ芽しか見つけられなかったけど、この本はその中間報告というふうに考えてもらったらいいと思う。
柘植:  最後になにか一言お願いします。
安田:  この本で取り上げたマンチキン(スティーブ・ジャクソン・ゲームズのカードゲーム)は、今年の夏にアークライトさんから発売になるよ。現在、鋭意翻訳中。ストームブリンガーもだ。Role&Roll Booksでは12月『トンネルズ&トロールズ』第7版のルールブックも出る。ソロ・シナリオリプレイもね。みなさん、お楽しみに!。
柘植:  今日はお忙しいところ、どうもありがとうございました!

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