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TOP > ユーザーコンテンツ > 著者インタビュー > ソード・ワールド2.0 春の突撃インタビュー(2009年03月)
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ソード・ワールド2.0 春の突撃インタビュー 2
リプレイ編「新米女神の勇者たち」

 
 みなさん、お待たせしました。
『ソード・ワールド2.0 春の突撃インタビュー』 第2弾、リプレイ編の登場です!

 今回インタビューされるのは、秋田みやび。ソード・ワールド2.0に移行後、ルールブックと共に、先陣を切って投入されたリプレイ『新米女神の勇者たち』シリーズの、GM兼筆者です!
 1stでは、リプレイでありながら、全10巻という偉業を成し遂げた人気シリーズ「へっぽこーず」を執筆。「ほのぼのブラック」と言われる、秋田節を世に知らしめました。

 そんな秋田みやびが、ソード・ワールド2.0で執筆するにあたって心がけたこととは?
 担当するフェイダン地方、特にがっつり取り組んだ小国ルーフェリアに篭めた思いとは?

 せっかくなので、2月に発売された4巻だけでなく、1〜3巻についてもお話を聞いちゃいました!
 当時を振り返りながら語られるセッション秘話や、これからの展開についてなど、見どころたっぷりとなったこのインタビュー、どうぞお楽しみください!


※ ややネタバレを含みます。まっさらな気持ちで『ソード・ワールド2.0 リプレイ 新米女神の勇者たち』シリーズを楽しみたい方は、読後にお読みになることをおススメします。
2009年3月 発行
記事作成 篠谷志乃


■ ソード・ワールド2.0 リプレイ 新米女神の勇者たち4 ■

 ――ルーフェリア。
 それは、小神ルーフェリアを奉る信仰を国教とする、フェイダン地方にある湖畔の小国。
 数年前まで他国との交易がほとんどなく、半ば鎖国同然だったルーフェリアに、ジークソラエアメッシュムーテスの5人の冒険者が集いました。
 縁あって、小神ルーフェリアと深く関わることとなったジークたちは、その導き(?)で、フェイダン地方の国々を旅します。
 あるときはおつかい、あるときは宗教戦争の回避に奔走したりと大忙し。最近は陰謀の影もちらついてきて、油断がなりません。しかし、ジークたち〈ぞんざい勇者団〉一行は、今日もにぎやかにマイペースで旅を続けます!

○ 表紙を飾るのは誰?
篠谷: それでは、ソード・ワールド2.0 リプレイ『新米女神の勇者たち』4巻のインタビューを始めたいと思います。本日はよろしくお願いします。
秋田 よろしくお願いします。
篠谷: 2月に最新刊である4巻が発売されたわけですが。(リプレイ1〜4巻を並べて)せっかくなので、今までの冒険のお話も交えつつ、お話を聞かせてください。
秋田 わかりました。それにしても、パーティメンバーじゃない子が表紙の中心にいるリプレイシリーズですよねえ(笑)。
篠谷: のっけからそこをおっしゃいますか。ええ。1巻以降、新刊が発表されるたびに「こいつは誰だ」とか、「胸が大きくなっているぞ?」とか、「某神官キャラクターはメンバー交代か?」とか物議をかもしているシリーズですとも!(笑)
秋田 あはは(笑)。でも、いろいろあったなあ。
篠谷: こうやって改めて表紙を見ると、何だか懐かしい感じがしますね。おさらいの意味も兼ねて、先に1〜3巻のお話をおうかがいしましょうか。

○ 1巻 〜冒険におでかけ
 
 小神ルーフェリアがおわす、湖畔の小国ルーフェリア。その冒険者の店「水晶の欠片亭」から、ジークたちの冒険は始まりました。
 人族の奴隷となっているコボルトの奪回や、操霊術師(コンジャラー)のタビット兄弟の秘密、成功し飛行船を持つ冒険者ムーテスとの出会いなど、人間以外のNPCがいっぱい詰まった1冊となりました。
 
篠谷: このころのジークたちって、まだ専業の冒険者という印象ではなかった気がしますね。お休みの日に友だちと連れ立って出かける、土地に根っこが生えた日曜冒険者っぽい。
秋田 ルーフェリアに自宅があるキャラクターがいたからかな? 国外へ出かけて行っても、家(小国ルーフェリア)に戻ってくるというイメージが強かったのかもしれません。
篠谷: そういえば、秋田さんの前リプレイシリーズ、1stの「へっぽこーず」も、オーファンという国を拠点に動くパーティーでしたよね。だからでしょうか、ちょっと懐かしい感じがしました。
秋田 そこは意識した部分ですね。1巻は、あまり劇的に雰囲気を変えないようにしようと心がけました。1stのフォーセリア世界から変わったけれど、ソード・ワールド2.0のラクシア世界でも、同じように遊べるんだということを伝えたくて。
篠谷: なるほど。
秋田 フェイダン地方を担当しているわけですし、いろいろ巡ることも考えたのですが、まずはどこか見たことのある、よくある冒険から始めることにしたんです。この際、オリジナリティは2巻以降に回そうと腹を括りました。その反動か、異種族のNPCをたくさん出してしまいましたが(笑)。
篠谷: 個人的には、大変嬉しかったです(笑)。

○ 2巻 〜ルーとの出会い
 
 1巻でNPCだったリルドラケンムーテスが仲間に加わって、戦闘面でも交渉的な面においても安定してきたジークたち。
 眠れる女の子ルーを拾って、強い蛮族と出会うことになりました。その関係で、ルーフェリアの大司教バトエルデンとも知り合いになり、小神ルーフェリアがちょっと不思議なことになっていることを知ることになります。
 
秋田 このへんから、私の「ソード・ワールド2.0らしさを出してやろう」というのに、容赦がなくなってきました。
篠谷: 「小神(マイナーゴッド)」という、ラクシア世界を特徴づける存在の1つを、全面に出した展開になってきましたね。
秋田 まあ、小神の中でも、ルーフェリアは変わった存在だと思うのですけど(笑)。
篠谷: そこが小神の魅力なんじゃないでしょうか? 小神は、大神(メジャーゴッド)や、古代神(エンシェント・ゴッド)ほど安定していない。だから、GMの見せ方次第でいろんな話の展開があるのだと思いました。
秋田 そうですね。自作の小神を設定して遊ぶのも、楽しいと思います。
篠谷: イヤな言い方ですが、小神は「倒そうと思えば、倒せる」存在ですよね? ルーフェリアを見ているとそう思えるんですが。
秋田 敵が15レベル以下ならまず負けないですけど、それ以上になると、神さまでも危ないでしょうね。人間でも、すっごく強くなれば倒せるかも。
篠谷: ソード・ワールド2.0では、キャラクターをアイテムでかなり強化できますしね。そういえば、メッシュが能力増強の指輪やら腕輪(それぞれ能力値を1、2点を増加する装備品。壊すと瞬間的に13、14点増加する)を壊して先手を取る戦法を身につけたのも、この2巻でしたよね。
秋田 おかげで、未だにお金がないと言ってます。毎回1人5000ガメルぐらい報酬で得ているはずなんですが、メッシュは常に3つぐらい指輪を備えているから(笑)。

○ 3巻 〜ルーフェリアを離れて
 
 蛮族に連れ去られたルーを追って、お隣の年輪国家アイヤールに向かったジークたち。
 飛行船に乗ったはいいが墜落したり、行き場をなくした奴隷と出会い助けたりと、道中でも問題が発生。しかしそれも何とか解決し、やっとのことでアイヤールに潜入します。
 敵と味方の見極めが難しく、周囲に心が許せない状況下での奪取劇となりましたが、蛮族との激しい戦いの末、ジークたちは無事ルーを取り戻しました。
 
篠谷: この3巻では、かなり大きくお話が動きましたね。ルー誘拐の影には蛮族の姿……大掛かりな展開に、どうなるんだろうとドキドキしました。
秋田 小神をテーマと決めたとき、やりたいと思っていた「信仰という力の強さ」「小神の危うさ」みたいなものをお届けできたかと思います。
篠谷: ええ、いろいろ考えちゃいました。信者というか、教義の重要性とか。
秋田 ニヤリ(笑)。
篠谷: 小神といえば、ジークが不敵にも小神の一部を「オレの嫁」宣言した巻でしたね。
秋田 帯にも書いていただきました(笑)。言われた瞬間、衝撃が走りましたよ。
篠谷: ジークたちとルーがそれだけ親密になったということでしょう(笑)。実際、単なる庇護者としてではなく、パーティの一員としてルーを守ろうとしているのが伝わってきましたもん。
秋田 そうですね。きっかけは、ルーが嫁その1になったからのような気がしますが、この辺りから完全にみんなの心が1つになって、目標を達成するために動くようになったと思います。
篠谷: 嫁その1って(笑)。確かこの巻で、パーティの名前がついたんですよね。〈ぞんざい勇者団〉というすごいのが(こぼれ話 1)。
秋田 なかなかインパクトのある名前ですが、彼らによく似合ってるんじゃないでしょうか。

○ そして4巻 〜アイヤールを西へ東へ
篠谷: それでは、今回の4巻についてお話をおうかがいしますね。
秋田 はい。
篠谷: やっとのことで蛮族の手から取り戻したルー。彼女を連れて、お家であるルーフェリアに帰るのかと思いきや……。
秋田 アイヤールに留まりました。そして、初めて別の国に行きませんでした。悔しい〜。
篠谷: そのぶん、アイヤール国内の領を移動しまくっているじゃありませんか(笑)。領から領が、他国間の移動と同じぐらいボリュームがありましたよね。おかげで、ルーフェリアが本当に小さな国だったんだと実感しました。
秋田 ルーフェリアは、アイヤールの領1つぐらいの大きさというイメージですからねぇ。
篠谷: 気候や風土の異なる領が複数あるアイヤールは、とても魅力的でした。歩き方ガイドが欲しいところです。
秋田 各領独特の習慣とかもあるんですよ。いつかお届けしたいな。
篠谷: ぜひお願いします。4巻は、「白峰領ゼス」「赤砂領レザナード」「石街領アイール」に立ち寄ったあと「青嵐領デラルザ」での冒険でしたよね。
秋田 はい。第10話が女神誘拐事件の完結編で、第11話、第12話は、またおでかけ風の冒険になりました。
篠谷: 第12話では、親しくなったホーリエルが、ライフォス神殿の秘蔵っ子というだけでなく、そういえばお姫様だったっけと改めて思いました。美人の姉姫ミスティンも、たおやかなれどしたたかっぽくて、今後の活躍が楽しみです。

○ 見どころは、パジャリガー?
篠谷: 秋田さんから見た、この4巻の見どころやおススメのシーンはどこですか?
通りすがりのエアのプレイヤー (ボソリと)パジャリガー
秋田 ああ! うん、それですね(笑)。
 
 注:4巻、第12話には、そんなステキなお名前の勇者さまが登場なさいます。
 
篠谷: 本当にそれでいいんですか?(笑) 絶対に聞こうと思ってた部分なので聞いちゃいますが、あの珍妙な名前はどこから来たんですか?
秋田 セキセイインコからです。セキセイインコの英名「バジャリガー(budgerigar)」をもじってつけました。第12話のNPCの名前は、鳥に関連する用語から取っています。「pulcino(プルチーノ)」もそうですね。あれはイタリア語で、ひよこ
篠谷: なんて動物好きの秋田さんらしいネーミングなんだろう。いやあ、あのダメっぽさ漂う名前はすごいですね。思わず笑ってしまう。
通りすがりのメッシュのプレイヤー (小首をかしげながら)今後を占う偉大な勇者さまの名前なのに、どうしてみんな笑うかなー?
篠谷: いや、笑うでしょうに(笑)。大きな流れの合間の一休みという感じで、とても楽しませていただきました(こぼれ話 2)。あと第12話と言えば、秋田さんの「ほのぼのブラック」を久しぶりに垣間見た感じがしましたよ。敵の性格と戦法がとにかくひどい。
秋田 誉め言葉として受け取っておきます(笑)。私が挑戦したヤンデレです。楽しんでいただけたでしょうか?

○ シリーズを通してのお話
篠谷: これはシリーズ全体を通しての質問なのですが。ジークたちは小神の信仰に深く関わるお話や王族の後継者問題など、いろんな事件に関わっていますよね。シナリオを作成されるときに参考とされたものや、刺激を受けたものってありますか?
秋田 質問の意図とは少し違うかもしれませんが、ルーフェリアは、日本の鎖国をモチーフにしました。
篠谷: なるほど。ルーフェリアは、250年閉じていた国ですもんね。
秋田 国を開いたばかりで右も左もわからないのに、外圧力で望んでいた方向とは変えられそうになるところとか、ちょっと歴史の授業を思い出しながら考えてみました。
篠谷: とすると、蛮族は黒船ですか?
秋田 かもしれない(笑)。実は、4巻の展開によっては、ジークたちを蛮族の国に連れて行っちゃおうかとも考えていました。足を踏み入れて、肝を冷やしてもらおうかと。GMは1人ぐらいは殺っても良いかと思っているんですが、なかなか倒れてくれません。
篠谷: わー(汗)。ジークたちは引き際を知っていますからね。ムリをしない。私はそこも彼らの魅力だと思います。でも、平均レベルも7になりましたから、戦闘がよりエキサイティングになりそうですね。
秋田 ええ(ニヤリ)。ルールブックとにらめっこして、がんばります。

○ 今後の展開は?
篠谷: では、気になる今後の展開について教えてください。メインストーリーはひとまず落ち着きましたが、この先はどうなるのでしょう?
秋田 シナリオは、今までの積み重ねをそろそろ出してもいいころかな、と思っています。アイヤールやアイヤール以外での細やかな冒険が、話の展開しだいではメインストーリーに絡んでくるかもしれません。
篠谷: 秋田さんは、大きな流れの合間合間に小さな事件をはさんで、それが実は……とされるのがお得意ですもんね。楽しみです! そういえば、ジークはルーを嫁に取れる可能性はあるんですか?
通りすがりのメッシュのプレイヤー もちろんです! 可能性というか、決定事項です!
秋田 さらっと言った(笑)。まあ、がんばって名誉点を貯めてもらうんでしょうね。
篠谷: お? GMとしても、お手伝いをしてやらんわけではない、ということですか?
秋田 そうですね。ひたすら、たくさん、モンスターを出すことで助けてあげます(にっこり)。
篠谷: 大変そうだ(笑)。気になる次の5巻は、いつごろ発売になりそうですか?
秋田 収録は終わっていますので、今年の夏初旬にはお届けできるかなーという状態ですね。
篠谷: 楽しみに待ってます。最後になりましたが、読者のみなさんへ一言お願いします。
秋田 これからもどんどん積み重ねて、フェイダン地方の地図を埋めていきます。すでに遊んでいただいている方、これから遊ばれる方の助けになれれば、ありがたいと思います。今後のジークたちの活躍を楽しみにしていてください。
 
篠谷: ――はい。といったところで、お開きにしたいと思います。お忙しいところ、ありがとうございました。
秋田 ありがとうございました〜!

 駆け足に、ジークたちの冒険を振り返った今回のインタビュー、いかがでしたでしょうか?
 ジークたちの意外な接点が見え隠れする、アイヤール。これからの冒険も目が離せません。
 この先、ジークたちにどんな冒険が待っているのか。知っているのはGMばかり。
 蛮族との決戦も近い(?)5巻を、お待ちくださいね!

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