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TOP > ユーザーコンテンツ > 著者インタビュー > ダークブレイズ(2009年06月)
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ダークブレイズインタビュー

■はじめに
タンクライフRPGダークブレイズ
表紙イラスト


イラスト:Ryojiさん

 平成21年5月30日に発売された、『タンクライフRPGダークブレイズ(以下・『ダークブレイズ』)
「タンクライフRPGってなんやねん!」と思わず興味を引かれてしまった、僕こと大井雄紀。ここはもう、著者たちを呼び出して、根掘り葉掘り聞くしかない!
 というわけで、『ダークブレイズ』の著者にして、『モンスター・コレクションTCG』や『六門世界RPGセカンドエディション』など様々なゲームを手がけたゲームデザイナー、加藤ヒロノリ
 その加藤ヒロノリの相方にして、『ダークブレイズ』のディベロップやデータを手がけた杉浦武夫
 さらに、『ダークブレイズ』のリプレイを執筆している番棚葵
 この豪華3名を迎えてインタビューを開始しました。
2009年6月 発行
記事作成 大井雄紀


■ダークブレイズとは
大井雄紀(以下・大井): というわけで、本日は『ダークブレイズ』を丸裸にする感じで、インタビューを行いたいと思います。みなさん、よろしくお願いいたします!
一同 よろしくお願いします。
大井: まずは平成21年5月30日に発売されました『ダークブレイズ』のお話をお伺いした後に、番棚さんのリプレイと今後の予定についてインタビューさせていただきます。では、まず『ダークブレイズ』はRPGとのことですが、どのようなゲームなのでしょうか?
加藤ヒロノリ(以下、加藤) Role&Roll』56号(新紀元社)を参照していただくと、わかりやすいですね!
大井: ちゃんと説明してください(笑)。
杉浦武夫(以下、杉浦) 簡単に説明させてもらうと、汚染された世界を戦車に乗って旅するゲームです。
番棚葵(以下・番棚) その世界を汚染している物質「ダークブレイズ」なんです。

「ダークブレイズ」
 タイトルにもなっているこれは『ダークブレイズ』の世界の、謎のエネルギー物質のことである。太陽光を遮光することから、「ダークブレイズ」と呼ばれている。
「ダークブレイズ」は非常に効率的なエネルギーなのだが、人体にとって有害だ。一時期文明はこの「ダークブレイズ」を使い、目覚しい進化を遂げた。

大井: いわゆるファンタジー世界なのでしょうか?
加藤 素直にファンタジーってわけじゃないかなー。かといってスチームパンクてわけでもなく……イメージ的には、某有名ジブリ作品『風の谷のナウシカ』の、腐海に飲まれている蟲がいっぱいいる世界の感じが近い。でも、あれをファンタジーと言うのかどうか……
杉浦 でも、「エルフ」「ドワーフ」。あと、獣の耳や尻尾を持った獣人「モノミミ」とかいますし、ファンタジーっぽくはあります。
加藤 そうだね、ファンタジーでいいような気がしてきた。
大井: じゃあ、そのまま書きます(笑)。では続いて、『ダークブレイズ』はタンクライフRPGと銘打たれていますが、これはどういうことなのでしょうか?
加藤 PCは「ダークブレイズ」に汚染された世界を旅するわけだけど、そのとき必要になるのが「シャーウッド」っていう戦車なんだ。この「シャーウッド」に乗らないと「ダークブレイズ」の中を旅できない。だから、戦車生活RPGということだね。
大井: なるほど、ナウシカにも戦車出てきますもんね。
加藤 でもシャーウッドは、ちょっとばっかり普通の戦車じゃなくって、どっちかっていうと「大砲のついた移動拠点」が近い。ここらへんは、イラストレーターの速水螺旋人(はやみらせんじん)さんとイラストの打ち合わせをさせていただいたときに、「こういう感じのも面白いですね」って進んでいって、一風変わった戦車になりました。

イラスト:速水螺旋人さん
ルールブックP129にはシャーウッド内部図解もあります!
大井: すっげー! イラストすっげー! PCはこの「シャーウッド」に乗り込むわけですね。
杉浦 はい。そしてPCは「ブレイズ探索隊」という組織に所属して、「ダークブレイズ」に汚染された世界に出て行きます。なぜ外に出て行くかといいますと、「ブレイズコア」「ユグドラシル」の周りでは使えないためです。

「ブレイズコア」
「ダークブレイズ」を抽出し、エネルギーに変換できる旧文明技術の遺産。だが、ある日この「ブレイズコア」が暴走してしまい、世界に「ダークブレイズ」が溢れてしまった。そして、一度世界が滅んでしまったのである。


「ユグドラシル」
『ダークブレイズ』世界にある、巨木。原因は不明だが、「ユグドラシル」の周りには「ダークブレイズ」が侵入してこない。そのため人々は「ダークブレイズ」が溢れてしまった後、「ユグドラシル」の周りに街を作り、なんとか生き延びた。
番棚 「ブレイズコア」は、昔の文明を発展させた技術の塊なんです。ところが、「ブレイズコア」は「ユグドラシル」の近くでは使えないんですよ。
大井: 「ユグドラシル」の周りには「ダークブレイズ」がないからですね。
杉浦 はい。そのため、「ユグドラシル」の周りの文明の発展は非常に遅い。それで、手っ取り早く文明を発展させるため、旧文明の遺産を持ち帰らせようと、「ブレイズ探索隊」はPCたちを外の世界に送り出すんです。
番棚 もちろん自分たちの勢力圏を広げることも目的の1つですよ。
加藤 「ブレイズ探索隊」は民兵組織だけど、ちゃんと給料はもらえる。扱いとしては公務員に近いうえ、生活費は必要ないのだ。
大井: ほほぅ、加藤さんのゲームでは非常に珍しい。

 加藤ヒロノリの手がけるゲームの多くは、PCに赤貧プレイを強います。
加藤 もちろんお金の使い道は山ほどあるよ。生活費に使う必要がないだけ。
杉浦 フレーバーレベルではどんなに豪華な生活をおくっていてもよいのですが……やっぱり、装備品を買うとお金がなくなります。
大井: いわゆる冒険者ではないので、生活のためにお金を稼いでいないってことですね。
杉浦 そういうことです。
番棚 でも、PCは公務員なのに健康保険とかきかないんですよね?
加藤 いや、きっと保険が降りてて、治療費があの値段なんじゃないかな。
大井: ん? どういうことですか?
加藤 さっきも言ったけど、「ダークブレイズ」が身体に蓄積していくと、どんどん汚染されていくんだよ。で、この汚染には3つの段階がある。1つ目の汚染段階は、軽い注射で治るんだけど、2段階目には1か月程度の入院。3段階目には廃人決定。
杉浦 その治療費、入院費が高いんです。
大井: なるほど、戦車乗りも大変ですね(笑)。では、続いて『ダークブレイズ』の売りをお教えください。
加藤 ロールプレイが必要ない!
杉浦 いや、いろいろ誤解が生じそうなので、ちゃんと説明してください(笑)。
加藤 ええーと、ロールプレイ部分はあくまでフレーバーであって必須ではないってことだね。ゲーム部分は「街での買い物や武具改造」から「冒険の道中の戦車ライフ」、それに「ダンジョンのルール」から「戦闘全般と素材の出現率」にいたるまで、ゲーム的に完全に管理してある。
杉浦 ようするに、純粋にゲームだけを楽しむこともできるということですな。そのうえで、ロールプレイはPCやGMのできる範囲でやってもらえれば。
加藤 例えばシナリオを進行していく上で、PCからの提案があったとき、だいたいのゲームはGMとPCの口プロレスが始まることが多いよね? これも例えばだけど、アイテムを店から半額で買える能力があったとして、それで買ったアイテムをPC以外の戦車乗りに、定価の7割の値段で売ることができるのか、できないとか。
大井: そうですね。その例えが可能だと、無限にお金が増えることになりますもんね。
杉浦 ようは、PCの思いつきで、GMが想定してない状況になるときとか、口プロレスになるってことです。
加藤 そこらへんの余地を必要としないようにデザインしたんですよ。全体的に「まずゲームありきの抽象化」と言いますか。そういう意味で「ボードゲーム風RPG」とも銘打ってます。
大井: ロールプレイしないほうがいいってことですか? するとむしろゲーム部分を邪魔しちゃう?
加藤 いや、ゲームバランスを管理できるGMとPCがやる分には、思う存分やってもらって大丈夫。そこでルールブックが保証していない動きをしたら「卓ごとに管理してね」っていうだけ。そういったTRPG熟練者の行動って、ある意味の才能がいるというか、誰でもできることじゃないよね?
大井: 誰しも、リプレイのプレイヤーみたいな動きはできないってことですね。
加藤 なので、そういうことをしたくない人やできない人でも、ゲームが平等に成立するように作っている。
杉浦 『六門世界RPG』のサプリメント『海賊都市クロスボーン』『迷宮都市メルラルズ』を知っている人は、それを想像してもらえればわかりやすいですな。
加藤 そうだね、あれらはすべて「その環境下でルールに従って遊ぶ分には、モンスターバランスから合成バランスまで保障しますぜ。ロールプレイはそれ以外のフレーバーなんで、ゲーム要素に影響しないようにやるのがオススメ」っていうスタンドアローンなゲームになってる。
杉浦 『ダークブレイズ』の場合は、あらかじめそれを見据えてデザインしてあるので、その範囲で遊ぶ分にはGMオリジナルのシナリオでもバランスを保障できるんですよ。
加藤 ちょっと変な例えをするなら――コンシューマのRPGをみんなでガヤガヤとチャットを交えてマルチプレイする感じ、かなあ。
杉浦 またわけのわからん例えがきた(笑)。。
加藤 ほら、ゲーム部分はプログラムされている部分なんでどうやっても変更できないけど、それに対するロールプレイ的なやりとりはチャットでできるというか、どれだけやってもゲーム部分には影響しないよね。
大井: なるほど(笑)。
加藤 その流れでもあって「GMするのにめっちゃ楽なゲーム」にしてあります。
杉浦 究極言うと、GMが無理にいらない。それくらい、GMの負担が軽く、遊びやすい仕様になっています。戦車で移動するフィールドや、PCたちが直に冒険するダンジョンなどは、すべてランダムで構成されています。
加藤 シナリオをつくるときは、これらを使えば「導入」と「追加イベント」と「結末」を考えるだけでいい。フィールドからダンジョンの部屋の構成とか、まったく考えなくてもOK。
番棚 RPGを遊んだことがない人にも、敷居が低い仕様になっていますよね。
大井: おぉ! GMなしでも遊べるんッスね! すっげー! それはたしかに売りの1つですね。他にはなにがありますか?
番棚 あとは、やっぱり「シャーウッド」ですよね。タンクライフRPGですし。
加藤 PCは基本的に「シャーウッド」に乗って旅をするんだけど、冒険中に敵とかイベントとかでどんどん「シャーウッド」が壊れていくんだ。
番棚 「シャーウッド」は自分の家のように、いろいろ改造できるんですが、それが壊れていくのがだんだん楽しくなっていきます(笑)。
加藤 そして、「シャーウッド」を語る上で忘れちゃいけないのが、「ドライアド」
大井: ぬ、その単語ははじめてお聞きしますね。

「ドライアド」
 「シャーウッド」を動かすための「ユグドラシルエンジン」の動力源である「ユグドラシル」の精霊のこと。「ユグドラシルエンジン」に「ドライアド」を入れることにより、「シャーウッド」は「ダークブレイズ」の影響を受けずに、世界を旅することができる。
加藤 基本的に小さな女の子の容姿をしている精霊だ。だけど、「ドライアド」の見た目はサイコロで決まる。98歳のじじいになることもある。
杉浦 最高は144歳までいきます。
大井: それはもう、ドン引き(笑)。
加藤 で、この「ドライアド」にはそれぞれの個体ごとに性格がある。自信過剰とかロマンチストとか。で、PCも性格を決めなきゃならない。そして、その決まったお互いの性格によって、「ドライアド」がPCを好きになるか嫌いになる
杉浦 『ダークブレイズ』では、それをゲーム的に表現しています。
加藤 例えば、「ドライアド」に好かれているPCがクリティカルすると、彼女はご機嫌になる。逆に嫌われているPCがクリティカルすると「おい、空気読めよ」と不機嫌になる。
杉浦 ドライアドの機嫌は、満足度と不満度っていう表になっていて、満足度が溜まるとボーナスをもらえたり、逆に不満度が溜まるとゲーム的に不利になったりします。
加藤 みんなのマスコット的存在で完全NPCなんだけど、自然と愛着がわくというか、存在感を強く感じるはず。
大井: おおー、ドライアドはいろんな意味でエロイということですね。今までの話をまとめると。PCは「ダークブレイズ」に汚染された世界を旅しながら、「ドライアド」のご機嫌を伺いつつ、「シャーウッド」を壊されることに快感を覚えると。
番棚 それだけ聞くと、とってもマゾいゲームみたいですね。間違いじゃないですが(笑)。
加藤 あとは勲章だね。『ダークブレイズ』はひどい目にあうと、勲章がもらえる。全滅したとか、「ダークブレイズ」に汚染されたとか。
杉浦 勲章をもらうと、階級が上がってシャーウッドの装備が充実するので、悪いことばかりではありませんよ。
加藤 そして、『ダークブレイズ』でPCが死亡(廃人化)することは、二階級特進扱い。
杉浦 たとえ自分のキャラクターが死んでしまっても、二階級特進した、わーいって喜んでいただければ(笑)。
番棚 そしてキャラクターシートを破り捨てて、新キャラを作ると。
杉浦 それ用のルールもあるくらいですからな。
番棚 そういえば、このゲームにはちょっと変わった武器がいっぱいありますよね。
加藤 うん、剣と銃が一体になった「ガンブレード」とか、斧の先にチェインソウが着いた「チェインアックス」とか。まあ、どっかで聞いたことのあるような武器ばっかりなんだけどね。あと、ガンランスが……。
杉浦 ガンランスじゃありません(笑)。槍の先にロケットがついた「ロケットランス」です。
大井: ガンランスだと、どこかのモンスターをハントする有名ゲームになってしまいます(笑)。
加藤 ほかにも「ルーンロッド」っていう電池で動く魔法の杖があったりするな。
大井: 電池で動く魔法の杖……魔法少女変身グッズみたいですね。
杉浦 違います(笑)。


■■リプレイ
大井: では、続いてリプレイのお話をお聞かせいただいてもよろしいでしょうか? では、番棚さんに質問です。
番棚 ……(無言で加藤さんに助けを求める)。
加藤 いやいや、自分でしゃべりなはれ(笑)。
大井: 執筆者は番棚さんなんですよね。
番棚 はい、私が書かせていただくことになっています。
大井: タイトルなどはお決まりですか?
番棚 確定はしていませんが、現在は『災い起こすテンブラー』となっています。
大井: そういえば、『Role&Roll』57号に番棚さんのリプレイが載るという噂をお聞きしましたが?
番棚 特集でリプレイの第1話が掲載されます。このリプレイを再録し、書下ろしを加えて、単行本になる予定です。
大井: どういった内容のリプレイなのでしょうか?
番棚 そうですね。『ダークブレイズ』は4種類の種族があります。「人間」「エルフ」「ドワーフ」、そして「モノミミ」ですね。私のリプレイのPC4人は、バラバラの種族になっています。
大井: 番棚さんは「モノミミ」という種族に、非常に愛情を注いでいるという噂があるのですが?
番棚 それにはまず猫耳と狐耳の違いを説明しなくてはいけませんね。猫耳というものは……。
大井: やっぱり、長くなりそうなんでいいッス(笑)。で、リプレイの内容は?
番棚 くそぅ(笑)。詳しくは『Role&Roll』57号を読んでいただければと思います。まぁ、わりとドタバタな感じでPCがひどい目にあいつつ、物語が進んでいく感じですね。
杉浦 第1話目からひどい目にあっていましたね(笑)。
大井: では、そのリプレイの売りはなんなのでしょうか?
番棚 『ダークブレイズ』の基本に忠実なリプレイなところです。私のリプレイを読んでもらえれば、すんなり『ダークブレイズ』を遊ぶことができますよ。
大井: なるほど。では、発売日は決まっていますか?
番棚 現在は9月頭の予定で作業を進めています。
大井: 間に合いそうですか?
番棚 がんばります(汗)。


■■今後の予定
大井: では、『ダークブレイズ』の今後の予定などは、決まっていますか?
加藤 2ヵ月後の7月の末にサプリメントの第一弾を予定しています。
杉浦 タイトルは『ヴァルキリータワー』です。
加藤 このサプリの目玉は、タイトルにもなっている新種族の「ヴァルキリー」。そして、新クラスや新武器、新ダンジョンなど盛りだくさんな内容となっている……はず!
杉浦 このサプリさえあれば、しばらく遊び続けることができる! ……を目標にがんばっています。
大井: その「ヴァルキリー」について、お聞きしてもよいのでしょうか?
加藤 今の予定では、いわゆる戦乙女とは違ったものにしようかなぁーと思ってます。女性しかいないのは変わらないけど、卵から生まれてきたりする
大井: 卵生ですか(笑)。
加藤 そして、もあり、太もももあり、絶対領域もある!
大井: 絶対領域があれば、何でも許せてしまう僕がいる。
加藤 でしょう。あと新クラスは「ドレッドノート」という暗黒騎士風のクラスを追加しようかなぁーと考えてます。
大井: このサプリにつくということは、ヴァルキリー向きのクラスってことですよね? それが暗黒騎士風ッスか(笑)。
加藤 だって、ヴァルキリーって魂集めてるんだし、死神とやってること同じやん? だから思いきり皮肉ってやろうかと。
杉浦 まぁ、現在製作途中なので、変更があるかもしれません。また『Role&Roll』など、様々なところで情報をお伝えできればと思います。
大井: では、本日はこのへんで。ありがとうございました。
一同 ありがとうございましたー。

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