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ファインディングストーリー ミズキ、はじまりの魔法(オラクル) (2012年03月)
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『ファインディングストーリー
ミズキ、はじまりの魔法(オラクル)』
 春です。ぴっかぴかのランドセルがまぶしい季節。
 心浮き浮き、新しいことにチャレンジしたくなります。

 『
ファインディングストーリー ミズキ、はじまりの魔法(オラクル)』は、そんないまの季節にぴったりの「はじまりの物語」。

 ファインディングストーリーってなに?
 そう思ったみなさん、ぜひこのインタビューを読んでください。
 グループSNEが新たに手がける、ストーリーパズル融合がここにあります。
 著者はグループSNEの隠し玉、これが小説家としてはデビュー作になる
りゅう紫月(しづき)。
 さっそく、この本を書くことになったきっかけや裏話などをインタビューしてきました。聞き手はパズル(とくにジグソーとナンプレ)大好きの柘植めぐみです。
ファインディングストーリー
ミズキ、はじまりの魔法
(オラクル)
りゅう紫月・作
中村哲也・絵
角川つばさ文庫
2012年3月 発行
記事作成 柘植めぐみ

                                                                         

◆ 1. ファインディングストーリーって? ◆
―― それではグループSNEの大型新人、りゅう紫月先生にお話をうかがいたいと思います。
りゅう紫月 せ、先生はやめて〜。
―― じゃあ、りゅうさん?
紫月 ……紫月で。
―― では紫月さん、よろしくお願いします。
紫月 よろしくお願いします!
―― いよいよ4月15日に発売ですね。
紫月 角川つばさ文庫さんは毎月15日が発売日なんですが、4月は日曜日なので、その前の金曜日土曜日に本屋さんに並ぶと思います。
―― 本が出ましたらプロフィールをご覧いただき、紫月さんの正体を推測していただきたいと思います。すでに「りゅう紫月って誰?」って思っている人もいるでしょうから。みごと的中された方には、紫月さんから素敵なプレゼントが(ニヤリ)。
紫月 ありますよ、ほんとに! 抽選で5名さまに。
―― ふるってのご応募、お待ちしております。それにしても……どうして「りゅう紫月」なんですか?
紫月 だって占い師っぽいもん(笑)。
―― そ、そりゃ、この物語は占いがテーマでもありますが……占い師の前に「怪しい」って言葉がつきそうですよね。(コホン)
では、本の話に入りましょう。まず気になっていたのですが、タイトルにある「ファインディングストーリー(発見の物語)」ってなんでしょう?
紫月 それを説明するには、そもそもこの企画が始まったきっかけについてお話しないといけませんね。
このごろ、パソコンなどデジタルの媒体で間違い探しアイテム探しといったものがとても人気なんですが、SNEでは、それを紙媒体に載せたいとずっと考えていました。
本書をパラパラめくっていただいたらわかると思うんですが、なかにいっぱい「パズル」が入っています。パズルを解きながら、主人公と一緒に手がかりを見つける、ということで「ファインディングストーリー」という副題がついています。
―― 確かにたくさんパズルがあるのですが、どれもストーリーに結びついていますよね。いなくなった犬の足跡をたどるとか、脱出ルートを探すとか。なので読者も主人公のミズキと一緒に前に進んでいっている感じがします。
紫月 その場でパズルを解かなくても、イラストとしても楽しめます。先にストーリーだけ追いかけて、あとから戻ってパズルを楽しむこともできますよ。
―― いままでにない、ちょっと変わった楽しみ方のできる本ですね。
紫月 能動的というか、読者参加型というか、そういうものをやりたいと思いました。というか、ボス(安田均)に「やれ」と言われたんだけど(笑)。
―― グループSNEでは2010年くらいから、先ほど紫月さんが言われたような探し物のアプリ(主にiPad版やPC版)が大流行りで、「これをアナログでできないか」という課題がずっとあがっていました。
紫月 アイテム探し、間違い探しは昔からあるものですが、それらをストーリーと結びつけたアプリがすごく面白かったんですよ。だからぜひ小説とか本の形でやりたいと思いました。
―― 探し物のアプリについては、SNEのホームページで笠井道子が記事を書いています。「I Gotta iPad!」をぜひお読みください。
紫月 SNEでは、すでに河端が……河端先輩が(笑)、クイズやパズルを取り入れた『モンスタニア』(集英社みらい文庫)という作品を書いていて、小学生の読者さんにずいぶん楽しんでいただいているようです。わたしの作品はもっとイラストに寄った、いわゆる「イラストパズル」が多いのが特徴かな。
―― パズル/クイズブックといえば、『妖怪コロキューブ』(学研)もそうですよね。でもここまで間違い探しとアイテム探しを取り入れたものは、日本でも初めてじゃないでしょうか。
紫月 小さな子ども向けにはあったかもしれません。ただ、上の年齢層でも楽しめるものは少なかったんじゃないかと思います。
―― そういうわけで、イラストレーターのみなさまがとてもがんばってくださいました。メインは中村哲也先生ですよね。
紫月 はい、『モンスター・コレクションTCG』でも描いていただいている大先生です。パズルだけでなく、表紙や口絵、本文のイラストと、ものすごい量を描いていただきました。本業が漫画家さんというだけあって文章を丁寧に読みこんでくださって、「そうそう、これ描いてほしかってん!」というものがたくさんあったんです。
―― (ニヤリ)その中村先生にずいぶんわがままな注文をされたと聞いていますよ?
紫月 うっ……そ、その話はあとで(汗)。
―― では、のちほど。中村先生の他にも、お二人のイラストレーターさんが参加していらっしゃいますよね。なんと豪華な。
紫月 はい、ソード・ワールド2.0でもおなじみの雪風ななつ先生には、パズルをたくさん描いていただきました。とても大変だったと思います(恐縮)。
―― それに、グループSNEと縁の深い合鴨ひろゆき先生ですね。
紫月 合鴨先生にはスケジュールの都合でパズルを3点だけ描いていただいたんですが、そのうち1点のタロットを使ったパズルがすごいんですよ。10枚のカードをすべて描き下ろしてくださって。感動しました! もったいないので、タロットを使ったパズルをまたやりたいね、と2人で話しています。
―― その素敵なタロットは本書の33ページにあります。ぜひご覧ください!

◆ 2.物語へのこだわり ◆
―― ではつぎに、お話の内容についてお聞かせいただきましょう。ついでに「アノ話」もね。
紫月 しなきゃダメ?
―― ダメ。
紫月 ……(恥)。
―― まず、読者のみなさんのために、ストーリーをざっとおさらいしておきましょう。

 主人公の周防瑞妃(ミズキ)は、ちょっと不思議な力をもった女の子。占い師をしているママの横暴で、ある日とつぜん、占い師としてデビューをするはめに。
 謎めいた猫のココアや、紗波、祈里の仲良し三人組で身近なできごとを解決するうちに、アイドルがらみの事件に巻きこまれます。
 女の子どうしの友情、成長、初恋の物語にパズルの楽しさを加えたファインディングストーリー。

―― とまあ、そういうお話です。さて、「アイドル」という言葉にご注目! 作中には男の子3人組のアイドルユニットが出てきます!
紫月 (小声で)はい……。
―― この3人組の「R(アール)」なんですが、やけにリアルというか、力が入っていますよね?
紫月 こ、これは編集さんからの要望で……。
―― いいから、もうカミングアウトしなはれ(笑)。
紫月 ううっ……ええと、このお話は元々小学5、6年生〜中学生をターゲットに書いたんですが、そのくらいになるとやっぱり「恋愛」は外せないテーマなので、カッコいい男の子をたくさん出してください、という要望があったのは事実です。で、それならアイドルユニット3人を出したらどうだろう、と。
―― なるほど。
紫月 それで……(もぞもぞ)話がずっとさかのぼるんだけどいい?
―― いいですよ。
紫月 昨年、例によってボスがこういう企画をやろう、とSNEの女性陣に無茶振りをされたとき、わたし、第1話だけで5、6回書き直したんです。導入のお話だし、まずなによりもボスにOKをいただかないといけないということで、すごく遠慮がありました。それで書き上げたものを編集さんにも送ったんですけど、なにせ新しい企画なのでなかなかお返事が来ない。それなら待っているあいだに好きなものを書いてみよう、ボツになってもいいし――そう思って、自分のお気に入りのアイドルを登場させたんです。
―― 覚えていますよ。もじもじしながらわたしのところに原稿を持ってきましたよね。
紫月 2週間くらいで書き上げたんですけど、どうしよう、どうしよう、とずっと悩んでて。それじゃいけない、と意を決して柘植さんに見せたんです。
―― わたしが最初の読者だったんですよね。いやはや、びっくりするくらい面白かった! わたし、そう言いましたよね?
紫月 違う! 第一声は、「恥ずかしかった!」だった!
―― えへ。だってわたし、紫月さんがどれだけアイドルに熱をあげてるか、よ〜く知ってますから。でも面白かったのは本当ですよ。
紫月 ありがとうございます。そう言ってもらえたので、じゃあ、第3話も、って気持ちになりました。ただ、アイドルのことはよく知ってるけど、アイドルの実態はよく知らないので、そこに主眼を置くわけにはいかなくて。アイドルをどう印象的に使おうか、と考えました。それで、主人公がとても苦労して壁にぶち当たる――そこにアイドルがぴゃっと現れて、ぴゃっと去っていく。そういうのを書きたかった!
―― うん、ああいうシーンってカッコいいですよね。読者のみなさんもきっと、「ああ、わたしもこんな体験してみたい」と思ってくださるでしょう。
紫月 だといいんだけど。
―― それでこだわりの紫月さんは、アイドルのイラストにあれこれ注文をつけた、と(笑)。
紫月 コアなファンにしかわからないことだけど、白黒チェックのパンツとか、泣きぼくろとか。当然、ラフには入っていなくて、恥ずかしながら編集さんに「泣きぼくろの話は中村先生に通っているんでしょうか」とメールを送って、「大丈夫、通ってます。安心してください」って返事をもらったり。
―― 中村先生、しっかり再現してくださいましたよね。
紫月 うん、本当に物語どおり。わたし、主人公はすごく普通の女の子にしたかったんです。親友の2人はお嬢さまとオシャレで活発な女の子なんだけど、主人公はどちらかというと地味な女の子。アイドルユニットのなかでも、ミズキと絡むのは3人のなかでいちばん普通の感じの男の子というふうにお願いしました。そうしたらまったくその通りに描いてくださって、編集さんから、主人公だからもうちょっとだけ華やかにしませんか? と相談されて。それでリボンをつけたり――あくまで目立たないやつですが――髪の毛もポニーテールだったのをもう少しボリュームを持たせたり。
―― すごくかわいくなりましたよね。わたし、ママのイラストも大好きです。
紫月 ママは最初、ごく普通のおとなしくて控え目な女性だったんです。でもみんなから意見をもらっていたときに、柘植さんに「もっとはっちゃけさせたら?」と言われて。さらにゆうみんからも、「いっそミズキがたまにママの代わりに占いをしたらどうですか?」と言われて、その2つのアイディアをもらっていまのママになりました。
―― 自由奔放でお茶目なママになりましたよね。
紫月 イラストも、いかにも中途半端なエセ占い師に(笑)。
―― カッコいいのは(あまね)さんですよね。高校生のお兄さん的存在。
紫月 周さんは最初女性だったんだけど、もっと男性を出してほしいと言われて。これ以上登場人物は増やせないので、ママが務めている占い館のオーナーを男性にして、ミズキを陰日向なく支える存在にしました。周さんの毛がはねているのは、編集さんのご希望です(笑)。
―― ちなみにわたしのお気に入りはオトメ妖怪(というご近所のおばあさん)です。初稿のときには台詞もあったんだけどなあ。いまは名前だけ。
紫月 第1話はほんと、何回も書き直したもんね。
―― でも第2話、第3話はほぼ初稿のままですね。
紫月 第3話のラストだけはかなり直しました。敵役の占い師がいるんだけど、わたしのアイドルへの思い入れが強いせいか、書いているうちにその占い師までアイドルにぽ〜っとなって、すごくいい人っぽくなっちゃったんですよ。それで編集さんのアドバイスもあって、ぽ〜っとなりながらも突っぱねる感じにしました。
―― ツンデレですよね、あの占い師(笑)。ということで、紫月さんがどのアイドルをモデルにこの小説を書いたのか、推測してください。
紫月 みごと当てた方には、抽選で5名さまに素敵なプレゼントを差し上げます(笑)。

◆ 3.これからのお話 ◆
―― 話がちょっと女子会っぽくなってしまいました。もう少し、この作品に対する思い入れなど聞かせてもらえますか?
紫月 まだまだ書きたいことはあります。あくまでわたしのなかだけのことなんですけど、本書はTRPGのシナリオとして考えたとき、第1話が「導入シナリオ」、第2話が「ダンジョン」、第3話が「シティ・アドベンチャー」という構成になっています。そんなふうに自分のなかで区別をして、少しずつ毛色の違うものをやろうと思いました。つぎをやるとしたら、オカルトっぽいものとか入れてみたいかな。
―― ほう、1話1話にそうしたテーマがあったんだ。
紫月 今回、初めて小説を書いたんだけど――まさか書くなんて思ってもみなかったけどね――本を読むことが好きなので、いままで読んできた本や漫画を思い出しながら書きました。
―― 紫月さんは、SNEのなかでもずば抜けて本読みだから。
紫月 読んでいるジャンルは、誰ともかぶらないけど(笑)。
―― そういうバックグランドがあってのデビュー作になったと思います。ゲームも好きで、本書のパズルのアイディアもほとんど自分で作ったんですよね。
紫月 絵は描けないので、エクセルでクリップアートとか使ってこんな感じ、というものを作りました。なのでイラストレーターさんたちに負うところは本当に大きいです。間違い探しのなかに、1人だけ踊りが違うというのがあるんですけど、ちゃんと「下手な方向に」違ってて。プロってすごい
―― そういえば「どうして角川つばさ文庫なのか?」という話を忘れていましたね。
紫月 この企画の前に藤浪智之さんが書かれた『バニラのお菓子配達便』というゲームブック風の小説がつばさ文庫から出ていて、きっとここならやってくれる! と企画を持ちこみました。そのあとも寺田とものりさんの『ユメミサカ恋愛探偵団』という、数字パズル満載の小説も出ていますし。
―― 最初に企画を提出したのが2011年5月でしたから、1年かけてようやく発売ですね。
紫月 大変でした。編集さんも初めての試みでしたし、よく間に合ったと思います。これがうまくいけば、今後もいろいろやりたいですよね。
―― はい、グループSNEはこれからも、パズルブック、ゲームブックをどんどん出していきたいと思っています。『モンスタニア』や『妖怪コロキューブ』だけでなく、他にもいくつか企画があります。パズル雑誌で有名な出版社さんと新たに組んで、低年齢層向けのパズルブックが夏に発売予定ですよ。詳しくは近日中に発表できると思います。
紫月 すごい!
―― それはそうと、○○さん(秘密の本名)はりゅう紫月として、これからどうしていきたいですか?
紫月 不思議なもので、これを書いたときもそうなんだけど、PCの前に座って「さあ」と思ってもまったく書ける気がしない。それでも仕事だからって、1行1行書いていくんです。だから、つぎはこんなものを書いてみよう、と思ってPCの前に座っても、きっと同じだろうな。
―― それでも書き上げるパワーはすごいですよ。やりたいことはたくさんあると思いますし、つぎの作品に期待しています。「こんなん書きました!」ってわたしだけにこっそり見せてくれるのでもいいし(笑)。
紫月 ミズキに関して言うなら、同世代のライバルの話を書きたいかな。それでまたミズキが苦境に陥って、さっそうと現れるアイドル(うっとり)。あるいはアイドルが苦境に陥って……。
―― ミズキが元気づける?
紫月 というか、不思議な力でちょっとなにかしてあげる。でも振り向いてもらえない。
―― あれ? ミズキと彼はうまくいってるんだと思っていました。
紫月 ううん、振り向いてもらえていません。いまはかわいい妹のような感じ。アイドルもこれから大人になって、恋をするんじゃないかな。
―― なるほど、他の女の子と噂になるとかですね。
紫月 あと、アイドルが舞台の道に進んだはいいものの、そこで酷評されるとか。
―― ……前から思っていましたが、紫月さん、登場人物にやさしくないよね?
紫月 いやいや、それがカタルシスというもので……(苦笑)。
―― ミズキはほんと苦労性です。小学生なのに。
紫月 わたしのなかでは中学3年生まで構想があって、すてきな女性に成長したミズキを見てみたいと思っています。ミズキのお父さんは全財産を人に貸して大変なので、そのへんも絡めて、南の島で一攫千金の大冒険……という話もいいかな。
―― 宝探しの物語って、パズル探し物を取り入れやすそうでいいですね。
紫月 もちろん! 宝の地図とかね。
―― では、最後に一言お願いします。
紫月 小学生から中学生が対象の本ですが、親子でも楽しめると思います。大人のみなさんには「お子さんにどうぞ」としか言えませんが(笑)。とても素敵な本にしあがっていますので、どうぞよろしくお願いします!



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