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株式会社グループSNEオフィシャルサイト

ドレッドノートChapter5 インタビュー

超ド級TCG(トレーディングカードゲーム)「ドレッドノート」がリリースされ約1年、2016年3月26・27日にはその年度の総決算である「GrandChampionship2015(GCS2015)」の決勝大会が開催されました。

今回は「ドレッドノート」の新たな1年のスタートをきる最新弾、スターターデッキ
『「刻印」ノ槍』ブースターパック Chapter5『グリンウィンド・サガ』について「ドレッドノート」開発チーム、通称「まるデ班」(デザイナー:加藤ヒロノリ、ディベロッパー:杉浦武夫、ワールドデザイン:河端ジュン一)にインタビューしてきました。
今までプレイしてきた方だけでなく、これから始めてみようという方にもオススメな今作、ぜひご注目ください!

ドレッドノート スターターデッキ 刻印ノ槍
  監修=安田均
  制作=加藤ヒロノリ、杉浦武夫、河端ジュン一/グループSNE
  KADOKAWAメディアファクトリー
  価格:各1500円(税抜)  カード52枚入り(構築済みデッキ)
  プレイマット(裏面デッキ解説書)、ルールブック付
ドレッドノート ブースターパック Chapter5
グリンウィンド・サガ

  監修=安田均
  制作=加藤ヒロノリ、杉浦武夫、河端ジュン一/グループSNE
  KADOKAWAメディアファクトリー
  価格:1パック 319円(税抜) 1パック7枚入り/全84種

「ドレッドノート」公式サイト
 ゲームの用語やルールについてはこちらをご覧ください。

※ まるデ班
ドレッドノートのゲームデザイン&ワールドデザインの「デ」を○で囲んだマークから、ドレッドノートTCG開発班を「まるデ班」と呼んでいます。 → Twitter
2016年05月
記事作成 西岡拓哉


「ドレッドノート」リリースから1年、GCS2015を終えて
―― Chapter1スターターデッキ『紅蓮ノ剱』『蒼穹ノ盾』&ブースターパック『神をも恐れぬ者たち』の発売から1年、おめでとうございます。
まるデ班一同 ありがとうございます!
―― まずはその「ドレッドノート」(以下「ドレノ」)の1年を振り返ってみて、賞金制大会であるChampionshipや、多少カジュアルなFestaといったイベントなどありましたが、そういった中で「ドレノ」という作品自体の印象というのはこの1年で変化しましたか?
加藤 カードの種類が増えてきて、ゲーム中における1アクションの重みがより増してきた印象が実感としてありますね。プレイングにおけるハッタリの効き具合も含めて、継ぎ足し熟成ならではのいい味出てきたんじゃないかと。
河端 それは確かにありますね。開発チームだけではなかなか見つけづらいものとかありますもんね。こちらの意表を突くプレイングが出てきたり。
杉浦 それに互いのプレイヤーが常に本気を出し尽くして遊べるので、1ゲームの満足感が高い作品になっていっていると思います。
加藤 発売前の開発にいそしんでいたときよりも、さらに深くなってきた気がします。喩えるなら、1フロア4ルーム10階建てマンションを建てたつもりが、なんか見たことのない部屋や隠し通路が時々見つかって――1フロア基本4ルームだけどときどき5ルームの12階建てくらいになっている感じ?
河端 わかりやすいような、わかりにくいような喩えですね(笑)。
杉浦 ユーザーの皆さんも「自分のデッキを究める」という気持ちを強く抱いてくれているみたいですね。これまで参加させていただいた大会でのガンスリンガーでは、こちらの予想を良い意味で裏切ってくれるデッキの登場をよく楽しませていただきました。
河端 そうそう。例えば同じ色のデッキ同士が対戦したとしても、デッキ構成のこだわっている点は互いに違う、なんてこともよく見かけるようになりました。
加藤 うんうん。皆さんのおかげで、しみじみと奥深いゲームになってきたなぁと1年を通じて感じました。

※ ガンスリンガー
開発スタッフがいくつかデッキを用意し、挑戦者である何人もの参加者と対戦を行うイベント。「ドレノ」の大型イベントではまるデ班とのガンスリンガーがよく開かれている。


新勢力「緑」のモチーフは北欧神話!
―― では、すでに各所で話題となっている新色「緑」についてうかがっていきたいのですが、まずモチーフが北欧神話になった経緯をお聞かせ願えますか?
加藤 ここだけの話――でもないけど、制作初期の段階ではカードは7色を考えていて各色にモチーフとなる神話を割り当てていたんです。
―― 7色!?
加藤 今思えば多いよね(笑)。まあ最初から全部というつもりはなかったんですが、その時点ですでに緑は北欧神話というのは決定していました。
杉浦 結局、初期セットのカード種類やデッキの組みやすさを考えて4色におさめることになりましたが、1年後に満を持してこの緑を出そうということも決まっていました。
河端 ちなみにスタートは「赤(日本神話)」「青(ギリシャ・ローマ神話)」「黒(悪魔全般)」「緑」にしようかという話もあったので、もしかしたらインド神話の黄色が5弾の新色になっていた未来もありえたかもしれない。
加藤 神話のメジャーさでいえば緑を後に取っていて正解だったかな。いや、黄色も好きだけどインド神話はちょっとマニアックな感じ? カレーだし。
杉浦 インド好きに怒られますよ(笑)。
加藤 個人的には北欧神話が中二病臭さ……あ、これは褒め言葉ね――では神話界でも1、2を争うと思うので、追加するときのインパクト的にもよかったんじゃないかと。
河端 カードイラストに注目してみると、どのカードも格好良くてかなり気合の入ったものになっています。いわゆるモブみたいなカードですらインパクトがある徹底ぶりでつい手に取りたくなるような華がありますね。
―― GCS2015の体験会でお披露目となった緑特有の新システム「刻印」「直接攻撃」についてお話をうかがっていきたいと思います。
加藤 まず「刻印」からですかね。これは「強化」「衰弱」と同じく、捨札からカードを1枚表にしてバーストっぽく配置できる効果です。「刻印」になったカードをチェックすることで、ログコストが(1)でます。
杉浦 ただしバーストと違い、一度チェック状態になってしまうと、エンドフェイズに捨札になってしまいます。もちろん「刻印」をゴッドドローすることもできません。
加藤 でもチェックにさえならなければ次のターンに持ち越せるので――まあ、貯金できるバーストみたいな感じかな。
―― なるほど、バーストっぽく増やすことができ、1度きりながら大技が使えるチャンスも増えるのですね。
加藤 フレーバー的には北欧神話に登場するルーン文字をシステムに落としこんだ形です。さきほど制作当初は緑もあったとお話しましたが、もちろんそのときに緑の原型となるカードのテストも行っていたんですね。戦場にルーン文字を刻みつけるというイメージがあって、それが1ターンに1枚必ず戦場に置く「バースト」を増やすことの親和性(より戦いで優位に立つため多くのルーンを戦場に刻むこと)をつなげて……試行錯誤の末、こういった形に落ち着きました。
杉浦 プレイ中に他のカードと混ざらないよう、バーストエリアの左端に「刻印」となったカードを配置するエリアが追加になります。
河端 「刻印」を貯めるには1コスト使わされることが多いものの、実質プラスマイナスゼロなので貯められるときに貯めておくことをオススメします。
―― たしかに強力だとは思いますが、それだと《オオクニヌシ》《サラスヴァティの琴の音》にもあるバースト追加の効果と大きな違いはないように思えるのですが。
加藤 その疑問はもっともですね。そこで緑の特色として、「刻印」のカードをコストとして要求するアビリティやコードカードがあります。言わば、「刻印」専用効果みたいな感じ。
杉浦 これらには一般のアビリティやコードの効果よりも強力なものや、ユニットが窮地に陥った際の助けとなるものばかりなので、使用感は結構違うと思いますよ。
河端 「ドレノ」においてアクションの選択肢の幅と手数が増えることはとても大切なので、対戦者のバーストエリアに「刻印」が置かれているといつも以上に相手への警戒心が増しますよね。
杉浦 たとえば《生命のルーン イング》を例にすると、「刻印」をふたつ使えばユニット1体はブレイクしなくなったり、《オーディン》「ルーンフォース」というアビリティならば「刻印」をひとつ使えばBPが+20されるうえにエンチャントされている「衰弱」を1枚捨札にできる効果があります。
―― つまり対戦相手からしてみると「刻印」コストの効果を使ってくるのか、それとも大技を放ってくるのかというプレッシャーがあるわけですね。
河端 この「刻印」を上手いタイミングで使われると対戦者はこの上なく厄介なはずなので、みなさんも自分なりに「刻印」を使うベストタイミングを探っていってほしいです。
―― 続いて「直接攻撃」とそれに伴ってアームズを活用したギミックがあるとのことですが。
加藤 アームズ自体は第3弾から登場した、神話に登場する人物たちの武具であったり装飾品を象ったカードですね。ふつうキャスターはユニットを召喚するだけで攻撃はしないのですが、「直接攻撃」の効果をもつアームズをエンチャントすることで、アタックにも参加できるようになるのです。
―― ということは戦場にいるユニット4体にキャスターも加えて5回ものアタックが可能となったという驚くべき効果ですね。
杉浦 《魔剣 グラム》だと70ダメージ《魔槍 グングニル》はなんと100ダメージも発生するので無視できない存在となります。
加藤 もちろんアームズをキャスターにエンチャントするためにコストは必要だし、アタックする際はキャスターをチェック状態にするわけだからコスト管理が重要になります。
河端 ただ相手が直接攻撃できることをつい忘れてて、うっかり負けてしまうなんてミスが起こりうるので盤面の状態には注意してください(笑)
加藤 単体では敵を倒せないユニットと組ませて攻撃させると、強力な相手にも勝ち得るほどの戦力になるので気が抜けないのは確かだね。
杉浦 そして質問にもあったように「直接攻撃」だけではなくアームズを活用したギミックが増えています。
―― というと?
杉浦 主に「武器」に関するアームズがキャスターにエンチャントされていると強くなるユニットがいくつか存在します。つまりキャスターも戦えて、ユニットも強くなるというシナジーが発生します。
加藤 そんなのいたっけ?
河端 (ぼそ)ヒント、魔剣。
加藤 ああ! ブースターの看板ユニットやん!(答:《シグルト》
杉浦 これまでアームズがデッキに採用される枚数は少なかったのですが、今回はアームズを主軸としたデッキが作れます。そして爆発力のある打点が叩き出せるのでガンガン攻めることが好きな方にぜひともオススメです。
―― 緑単色のデッキを組むだけでも「刻印」主軸のデッキ、アームズ主軸のデッキに分かれているようですね。
杉浦 はい、どちらも強いと思いますので、これから始めてみようという方にも使っていただきたい色ですね。
加藤 そうだね、緑はなんというか……分厚い感じ?
河端 分厚い……まあ、分厚いですかね。シングルシンボルの緑のコードカードにはコスト(1)で使えるものはないですし、1発が威力的にも重い感じなのはそうですね。
杉浦 まずはスターターを使っていただいてから、ブースターに収録されているカードにも注目してもらえると、よりデッキの個性が高まるかと思います。
河端 ブースターに収録される《フリッグ》は緑を使う上で非常に心強いユニットなのでぜひともデッキに採用してほしいです。なんといってもイラストが美しい(笑)。

※ フリッグ
1コストで「刻印」を1枚加えるだけでなく、捨札にしたカードが「覚醒[BP+10]」だった場合、基本Typeが「アスガルド」のユニット1体のBPを+20にするという攻防一体の効果を持つ緑のユニット。イラストは椋本夏夜先生

杉浦

新たな気持ちで「ドレノ」を遊んでもらうにはもってこいのセットになったので、緑をチョイスしていただけるとカード資産を気にせずに始められると思います。
―― そこで、これから始めようという方にティーチングツアーが行われるという噂を聞いたのですが。
加藤 そうです、ティーチングツアーが予定されています! イベントや生放送で毎度おなじみ剱持P馬原Dと、そして我々3人が全国各地のカードショップにおじゃまさせていただいて、今回の緑デッキを使ったティーチングとなります。
杉浦 日程は『刻印の槍』と『グリンウィンド・サガ』の発売から2日後の5月14(土)15(日)です。開催店舗やイベントの詳細などは公式HPをご覧ください。

ティーチングツアー詳細ページ
https://dreadnought-tcg.com/teaching

河端

そんでもってイベント参加者には特典としてPRカードが配布されます。使いやすいカードなので遊び方を覚えてデッキを手に入れたら、さっそくデッキを改造して緑のバリエーションを楽しんでいただきたいですね。
加藤 さらに今回に合わせたティーチング動画も公開予定なので、ツアーに参加できなくてもいつでも「ドレノ」の遊び方が予習できるのでご注目ください。


気になるストーリーの展開
―― 河端さんが現在「ドレッドノート」公式サイトで連載されている小説ですが、カードセットの発売に合わせて、現在Chapter4まで進んでいますよね。Chapter5ではどのような展開が? やはり緑の勢力「ミズガルズ」の登場も……?
河端 もちろんミズガルズの面々も登場します。Chapter1&2では顔見せ的な個々のストーリーが展開されてきましたが、Chapter3から徐々にシナリオに継続して登場するキャラクターが現われ、登場人物たちが大いに入り乱れてのChapter5となっていきます。
加藤 「ドレノ」が1年経ったということは河端くんの小説も連載から1年経ったってことだもんなぁ。今から読み始めるともうかなり読み応えのある文量になってるよね。
河端 そういう意味でもそろそろ大きな事件を「ドレッドノート」の世界で起こしてより世界観の掘り下げができればと思っています。なんせ超ド級TCGの小説なんでね、超ド級な事件もやらないと。
杉浦 大きく出たなぁ(笑)
河端 いや、実は僕自身、上手くまとまるのか常にひやひやしながら書いています(笑)。
―― KADOKAWAの小説サイト「カクヨム」では「ドレノ」の二次創作小説の投稿もスタートしたようですね。
河端 はい。おかげさまでもうすでに何作か作品投稿をいただいていて嬉しいです。
杉浦 キャスターという「ドレノ」には欠かせない存在がいるおかげか、ユーザーのみなさまのなかには「アイツとコイツが出会ったらどうなるのか」みたいな話題を楽しんでくださっている方も多いようで。
河端 これもまたひとつのこだわりですよね。このキャスターが好きだからデッキ組んでみたというお話もよく聞くので。カクヨムでは思う存分自分の「ドレノ」ワールドを展開してほしいです。今後のストーリー展開でやろうとしてることを先に書かれたら、困るけどそれはそれで面白いよなぁとか考えてちょっとわくわくしています。
加藤 そんなこと言って本当に投稿あったら……それはそれで楽しそうだね。
河端 大丈夫です。みなさんの裏をかいてみせます。これって「ドレノ」っぽいでしょ?(笑) 


最後に一言
―― では改めて最後に、今作または「ドレッドノート」について一言ずついただけますでしょうか。
加藤 Chapter5はこれまでの「ドレッドノート」とは雰囲気の違った、これまで「ドレノ」を楽しんでくれていただいているユーザーのみなさんにも新鮮な気持ちで遊んでいただける作品になっているはずです。ぜひこれからも「ドレッドノート」をお楽しみください!
杉浦 なんといっても「ドレッドノート」はやればやるほどその面白さに気づく作品だと思っています。まずは今作の緑を手にいろんな人とどんどんプレイして自分だけのこだわり抜いたデッキをぜひ見つけてみてください。
河端 やりごたえのあるTCGとして自信を持って世に出しているので、これからもどんどん「ドレノ」が広がっていってほしいです。1戦の内容が濃いので、対戦後の感想戦なんかも楽しんでもらって、「ドレノ」を通して味わい深い時間を過ごせていただけるのなら幸いです。
―― これにてインタビューを終了させていただきます。「ドレッドノート」の新たな展開に1プレイヤーの僕も注目すべき内容でした。ありがとうございました!
まるデ班一同 ありがとうございました!




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