●著者インタビュー ●イベントレポート ●リーダーズサーカス ●エッセイ ●ＴＲＰＧリプレイ

TOP > ユーザーコンテンツ > ＴＲＰＧリプレイ > ソード・ワールド2.0『マージナル・ライダー』外伝　第五話「宝石は妖精とともに」 ←はじめに＆キャラクター紹介 -目次- 第五話_2→ １．宝石運搬依頼 　昼下がり、〈雷神の吐息亭〉でごはんを食べたり、依頼を待っていた４人に、コーネリアスさんが話しかけてきました。 　ちなみにコーネリアスさんは、〈雷神の吐息亭〉の主人で、お姉言葉を話す体格のよいルーンフォークの男性です。ポージングを決めながら話す癖があります。 ＧＭ： 「貴方達に仕事を頼みたいんだけど。アランは知ってるんじゃないかしら？　この人からの依頼よ」 とコーネリアスさんが言うと、店の片隅に座っていた、人間の男女２人が立ち上がります。三十歳前後の身なりのよい男性と、二十代後半のおとなしそうな女性です。 アラン： 僕が知っている人？ ＧＭ： ／ はい。アランさんはこの男性から依頼を受けた事があります。リチャードさんと一緒にアルフォート王国まで宝石を運んだ、あの依頼です。 アラン： あぁ！　ラファル達と初めて会った時に受けていた仕事ですか！ ＧＭ： はい。アルフォート王国に向かう途中にラファル達に会い、馬泥棒を連れてデュボールに引き返した時の、あれです。 アラン： 確か、急ぎの仕事じゃなくて、日数にも余裕があったから戻ったんですよね。 ＧＭ： その時の依頼主がこの人です。 アラン： そうかぁ……でも、僕はそういった事は全てリチャードに任せているから、ぶっちゃけ名前すら覚えていない！ ドレム： おい（笑）。仕方がない、ＧＭ、詳しい説明を頼む。 ＧＭ： はい（苦笑）。男性の名はブルーノ・メローニ。宝石の売買で生計をたてています。実は男爵の位を持つ、アルフォートの貴族で、王宮にも出入りしています。隣にいる女性は、秘書のニサ・ウィルヘルムです。 　メローニは、なぜ冒険者を雇う事にしたのか、その理由から話しはじめます。 　メローニには懇意にしている高貴な方がおり、その人に宝石を流してはアルフォート王国の女王に献上させていました。 　というのも、女王は宝石に目がないので、献上すれば覚えがめでたくなるからです。 　メローニがデュボールに来たのは、かねてから女王が欲しがっている宝石を手に入れるためでした。 　宝石の入手に成功しましたが、その直後から、メローニの周囲でおかしな事が起こり始めます。 　何者かに宝石が盗まれそうになったり、商売敵に情報が漏れていたり、変な視線を感じたりするようになったのです。 　メローニは、自分が高貴な方のために働いている事は秘密にしてきました。それが露見し、その方と女王が仲良くなっては困る者が妨害しているのかもしれません。 　そう考えたメローニは一計を案じます。 　自分はデュボールで集めた10万ガメル相当の宝石を持って街道を行く。 　秘書のニサには女王が欲しがっている宝石を持って川沿いを行ってもらう。 　二手に別れ、確実に宝石を届けようと考えたのです。 　そして、ニサの護衛に選ばれたのが、ドレム達でした。 ドレム： メローニさん、確認したいんじゃが……いざとなったら、このニサさんと宝石、どちらを優先させればいよい？ セレス： そんな事はないようにするけど、選択しなくちゃいけない場面がでてくるかもしれないしね。 ＧＭ： メローニが「それは」と言葉をつまらせていると、ニサさんが、「いざとなれば、私は見捨ててくださってかまいません」と毅然と言いますね。 ドレム： うぅむ。受けてもいいが……護衛には向かないパーティなんじゃがのぉ。 アラン： レンジャーいないですしねぇ。 キャンパス： 街道をはずれて歩くのに！　この依頼をボク達に持ってくるなんて、コーネリアスは何を考えているんだ（笑）。 　シナリオを作っていた時は、１人ぐらいレンジャーがいるだろと思ってたんですよ。 　まさかいないなんて、予想外。 　うん。でも、大丈夫じゃないかなぁ……多分。 　みんなはひとしきりコーネリアスの愚痴を言った後、依頼の話に戻りました。 セレス： で？　どんな宝石なの？ ＧＭ／メローニ： 「妖精石と呼ばれるものです。高名な妖精使いが、妖精郷から持ち帰った物で、妖精の加護を受けていると言われています。10万ガメルの価値があります」 キャンパス： 変な噂とかない？ セレス： 持っている人が次々と不幸になっちゃうとか。 ＧＭ／メローニ： 「そういう噂はありませんね。前の持ち主からも、そういう話は聞いていません」 ドレム： アランよ、【アナライズ・エンチャントメント】をかけてくれ。 セレス： あ。魔法の詳細を調べるやつね。魔法の品にかけた場合、かけられた時期や効果がわかるの。 アラン： へぇ〜、そんな事ができるんですね、僕は。 ドレム： 自分の使える魔法ぐらい知っておかんか！ 　……すいません。ＧＭでありながら、私も知らなかったです。 　この宝石をつかい、護衛中にちょっとしたハプニングやお助けキャラを登場させようと思っていたのですが……。 アラン： （ころころ）はい、かかりました。 ＧＭ： 魔動機文明時代に、とある魔法が付与されたとわかりますね。 アラン： その魔法とは？ ＧＭ： この魔法がかかった宝石を、妖精が凄く好むようになります。 キャンパス： つまり？ ＧＭ： ……（言いたくないなぁ、まぁ、しょうがないか）妖精が、寄ってきます。 一同： ……（沈黙）。 ドレム： ……妖精が寄ってくるのに拙僧達は、川沿いを森の中を通りながらアルフォートに向かうわけじゃな。 ＧＭ： でも、襲ってくるわけではなく、花の香りに誘われて蝶がくるような感じですよ。危害を加えるつもりはないですよ、多分。 キャンパス： 多分て（笑）。 セレス： 危害を加えるつもりがなくても、ハーメルンの笛吹きみたいに、ぞろぞろ引き連れて歩くわけにはいかないわよ。 アラン： 目立ちすぎて、二手に分かれた意味がなくなりますねぇ。 キャンパス： よしわかった。ドレムが飲み込むっていうのはどうかな？　必要になったら エレッ と出してくれたらいいし。 アラン： 凄い！　ドレムさんはそんな事ができるんですね！（尊敬の眼差し） ドレム： できんわ！ ＧＭ： 貴方達がそんな会話をしているとですね、メローニが思い出したように言ってきます。 「前の持ち主は、趣向を凝らした金属製の箱に入れていましたね」 セレス： そうか。妖精は金属、嫌がるものね。 ドレム： それに妖精は自然を好むからの。自然の少ない街中だから寄ってこなかった、というのもあるじゃろう。 キャンパス： メローニさん、金属の箱を用意して。ニサさんのも入れて、人数分。 ＧＭ： そんなの用意して、どうするんですか？ キャンパス： 全部に魔法の品を入れて、１人ずつ持つんだよ。どれに宝石が入っているのか、知ってるのはボク達だけ。ニサさんにも教えないから。 ＧＭ： ……わかりました。 　う〜ん。 「金属の箱に入れておくと、妖精が寄ってくるのを少しだけ防げる」という情報は、もう少し後でわかる予定だったんですが。 　道中、ハプニングを起こして、楽しむ予定だったのになぁ……早々に見抜かれて、対策をたてられてしまいました（涙）。 キャンパス： そうだ、報酬はいくらなの？ ＧＭ： １人3,500ガメル、魔晶石５点を４人分、魔香草も４人分、保存食は片道12日分です。 アラン： あれ？　アルフォートまで歩いて約７日じゃなかったですっけ？ ＧＭ： それは街道の場合です。皆さんは川沿いを行くわけですし、それになにかハプニングに遭って遅れた時のためにと多めに渡されます。 セレス： それは、遅くとも12日後にはアルフォートに到着して欲しい、という事ね？ ＧＭ： できれば。 ドレム： 逆を言えば、12日以内なら、いつ着いてもいいわけじゃ。 ＧＭ： そうなりますね。 キャンパス： ＧＭ、しつも〜ん（挙手）。 ＧＭ： なんでしょう？ キャンパス： 街道を馬車で行った場合ってさ、何日かかるの？ ＧＭ： ５日ですけど、どうしてそんな事を？ キャンパス： メローニさんがどれくらいで着くのかなぁって気になって（満面の笑顔）。 　うわ。うさんく……ゴホゴホゴホ。いえ、笑顔の裏になにかある気がします。 　でも、ここで問い詰めるわけにもいきませんしね。 　このまま進めちゃいましょう。 ＧＭ： では、鉄箱を用意したメローニは、皆さんとニサに宝石を託して、３名の冒険者と共に出発します。 一同： いってらっしゃ〜い。 キャンパス： ＧＭ、メローニさんを乗せた馬車、完全に見えなくなった？ ＧＭ： はい。 キャンパス： よし。みんなぁ〜。日程に余裕あるし、本隊から２日遅れて街道で行かない？ ＧＭ： は？ ドレム： うむ。考えたな。それなら、川沿いを行くより妖精は寄ってこないじゃろうて。 セレス： メローニさんが襲われても、街道を進んでいたら助けられるかも、だしね。 ＧＭ： 確かに。 　さて、どうしましょう。 　プレイヤーの言い分はもっともです。 　それに、メローニが二手に分かれたのは、確実に宝石を届けるためであって、けっして、ドレムさん達に川沿いを歩かせるためではありません。 　ですが、私が用意したシナリオには、街道を歩くルートは存在しません。想定外の出来事なのです。 　ニサが強固に言い張れば、ドレムさん達は川沿いを歩いてくれるでしょう。 　でも、それはなにか違う気がします。 　…………よし！ ＧＭ： ニサさんは「冒険者の皆さんがそうおっしゃられるのでしたら」と言いますね。 キャンパス： ライダーギルドに行って、馬車も借りていこうよ！（ニヤリ） ＧＭ： （それでさっき、馬車の事を聞いたんだ）み、皆さん、ライダー技能持ってませんよね？　御者つきで馬車を借りたら、結構な額になりますよ？　えぇっと具体的には……（計算中）……普通の馬車を御者つきで10日ほど借りれば、14,000ガメルかかります。 セレス： 私、15,000ぐらい持ってるよ〜。人のためなら湯水のようにお金使うから。ポンッ と払っちゃう。 ドレム： 待て。必要経費なんじゃから、みなで分割してだすぞ。ひとり3,500ガメルか。皮肉にも、報酬と一緒じゃな。 アラン： 僕も出しますよ〜。お金なんて、どうしてあるかわからないから（笑）。 キャンパス： ボクも出す。お金なんて、後からついてくるものだしね！ ドレム： 拙僧以外、金に対する価値観がおかしい（笑）。 　川沿いを行かず、しかも馬車を借りるなんて予定外すぎる……。 　……えぇい、しっかりしろ私！ 　街道を行くと決断した時、覚悟を決めたはずだろう！ 　このままセッションを進めます!! ←はじめに＆キャラクター紹介 -目次- 第五話_2→