※地の文とヤナギのセリフは、相談して適切なプレイヤーが、それぞれのセリフは各自が担当してください。ミケと悪魔は、別の誰かが読んだほうがスムーズになるでしょう。
ミケ「願い事を叶えるわね」
クロ「こら、やめんか!」
クロが叫ぶがミケの高笑いは止まらない。
ミケのシルエットは悪魔へと姿を変え、大きく広がっていく。
ブチ「ど、どうなっちゃうの?」
トラ「やべーことになってる」
シロ「ヤナギ、ヤナギ!!」
ヤナギの魂はしゅるんと悪魔の口へと吸い取られていく。
ヤナギ「……おい、悪魔」
薄くなっていくヤナギの魂はかろうじて聞こえる大きさの声だ。
悪魔「なんだい、契約者?」
そこにもうミケはおらず、声も低く恐ろしい。
ヤナギ「三つ目のお願い……、ちゃんと叶えてくれるんだろうな?」
悪魔「悪魔は、“契約は”守るよ」
ヤナギ「それはよかった……」
ヤナギの魂は悪魔に全て吸収された。
クロ「ヤナギー!」
シロ「どうして! どうして!」
トラ「うわーーーん」
ブチ「だめーーー」
猫たちはおのおの泣き叫ぶ。
悪魔「それじゃあなあ。あっ、一つ忘れるところだった」
悪魔はそっと手を掲げると、ミケが現れた。
悪魔が化けていたのではなく本物のミケだ。
悪魔「契約は契約だ。もう一匹忘れてた」
ミケ「なんなの、これ?」
何もわからないミケがてくてくと他の猫たちに近づく。まだ混乱している四匹は身構える。
ミケ「ぼうや、今日は体の調子はいいの?」
ブチに近づき、ぺろりとおでこを舐めるミケ。
ブチ「おかあさん? ほんもの?」
ミケ「あら、偽物じゃないわよ」
ミケにしがみつくブチ。
悪魔は契約を守った。そのためにヤナギが消えてしまった。
他の猫たちは、蘇ったミケとブチを見ながら、今後どうするかを考えた。
翌日、無断欠席をするヤナギの家に会社の上司がやってきた。死んだヤナギを見て悲しみ、一緒に暮らしていた猫たちのために里親を探してくれた。ブラックな会社だったが、上司はネコトモだったのだ。
上司「はて? 猫は二匹と聞いていたのに」
猫たちはそれぞれ他の家に引き取られた。
悪魔の記憶干渉は残り、ヤナギのことは忘れるだろう。残りの猫生は楽しんでほしいとヤナギは願っていたが――。
クロ「はて、どうしたものやら」
クロは完全に二本になった尻尾を見て思った。よみがえった副作用かそれとも元々こういう尻尾だっただろうか?
そんなのどうでもよかった。
他の猫たちは忘れても、クロは忘れない。
クロ「ヤナギよ、おまえさんの仇は討つからな。待っておれよ」
クロはその瞳に激しい炎を宿していた。