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TOP > ユーザーコンテンツ > 著者インタビュー > ソードワールド2.0特集(2013年12月_アシュラウトの工房)
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ソードワールド2.0 特集

ソードワールド2.0は進化を続けている??

 それを象徴するように、2013年7月には基本ルールブックが進化した『ソード・ワールド2.0ルールブックII 改訂版』が、同8月には戦闘特技が進化した『ソード・ワールド2.0ルール&データブック イグニスブレイズ』が出ました。
 登場から5年、常に進化を続ける
ソードワールド2.0
 今回のインタビューでは、ワールドガイド型サプリメントの『
ソード・ワールド2.0サプリメント プレイヤーズ・ハンドブック ユーレリア博物誌』、リプレイ&ミニサプリ集の第二弾『アシュラウトの無限工房』など、ソードワールド2.0(以下SW2.0)の作品群をご紹介します。
 また、12月に大団円を迎えたSW.20リプレイ『
from USA 英雄之剣 ‐アンセルムズソード‐』を始めとした新刊や今後刊行予定の作品も併せてご紹介します!

++ 今回のお品書き ++
  1. SW2.0リプレイ アシュラウトの無限工房 (2013年11月刊行)
  2. SW2.0サプリメント プレイヤーズ・ハンドブック ユーレリア博物誌 (2013年12月刊行)
  3. SW2.0リプレイ from USA 10 (2013年12月刊行) 
  4. SW2.0リプレイ 七剣刃クロニクル 4 (2014年1月刊行)
  5. SW2.0リプレイ 三眼のサーペント 上下巻 (2014年2月3月刊行)
  6. SW2.0リプレイ ルーン・うぉーかーズ 3 (2014年3月刊行)
(いずれも富士見書房) 
 2013年12月某日のSNE分室。
 私、新人の黒井龍は、インタビューを行うべく、2014年3月発売の『カルゾラルの魔動天使』のテストプレイを行っているSW2.0班に突貫してきました。
 次々飛び出すトンデモ話や零れ話。
 とても一度の記事には収まりきらないであろうSW2.0ですが、少しでもその魅力をお伝え出来れば幸いです。作品が多岐に渡りますので、刊行順にご紹介いたします。
2013年12月 発行
記事作成 黒井 龍

 
1.『アシュラウトの無限工房』
◆コンセプトは……世界への導き
―― それでは2013年11月に刊行された『アシュラウトの無限工房』(以下『アシュラウト』)からインタビューを始めます。お話を伺うのはリプレイ部分の著者の大井(雄紀)さんと、サプリ部分の担当を務める田中(公侍)さんです。
大井
&田中
おねがいしまーす。
―― 最初に『アシュラウト』の目玉を教えていただけますか?
大井 大きいのは「合成術」の導入と、巻末のミニサプリメントかな? 「皆で一緒に遊べる超簡単なサプリがついてるよ!」って感じですね。
田中 合成術」については後で説明するとして、基本はリプレイとして楽しんでいただく本です。2012年10月に出た『バウムガルトの迷宮城』(以下『バウムガルト』)という作品が、「ルールブックIだけを使った新米冒険者のリプレイ」に、「そのリプレイを実際に遊べるサプリがついている」という形式だったんです。おかげさまで、その形が非常に好評をいただきました。
大井 それを踏襲して、今回もリプレイを読めば知らず知らずルールが把握でき、サプリ部分は表だけ見れば『アシュラウト』が遊べるようにと思って作りました。『バウムガルト』を遊んだ方にも、これから入る新しい人にも楽しんでいただけるとうれしいです。
田中 SW2.0はたくさんの関連書籍が出ている作品ですから、どれから読めばいいのか迷うと思います。「そもそもSW2.0ってなんだ?」とか「いますぐSW2.0を遊びたい!」という方のために、『バウムガルト』や『アシュラウト』が出た面はあります。
―― では、『バウムガルト』から『アシュラウト』で変化した点はどういうところでしょうか?
大井 単純に対応レベルが増えたことと――田中さんに入ってもらったこと?
田中 そうね(笑)。『バウムガルト』の時は、大井くんが一から十まで企画を立ててリプレイも書いて、ダンジョンに潜って財宝を取って来るというのをやってたんですが、そのまま同じことはできない。それなら今度は複数のフィールドを探索する形にしよう、ということになったんです。フィールド以外では、最初に話に出た「合成術」が『アシュラウト』の大きな目玉であり、『バウムガルト』になかった要素ですね。
大井 ええ、オリジナルアイテムをただ遺跡から発掘するんじゃなくて、素材を持って帰って自分たちで作りたいなと思って作ったのが「合成術」です。
【『アシュラウト』の目玉【合成術】とは?  
 冒険で得た素材を町に持ち帰って「合成窯」に放り込むだけで、欲しいアイテムが完成!
 たとえば炎鉄という素材を2個と、穢れた皮という素材を1個集めれば、かのいずれかが作れるなど、SW2.0の新たな楽しみ方が提供されています。
 この合成術では、なんと、飛行船のコアまで創り出すことが出来るのです!
 サプリ部分にある「合成表」(必要素材をまとめた一覧表)を見ているだけでもわくわくします!


◆個性的なキャラクターがいっぱい! リプレイについて
―― そうして追加された合成ルールを使って、実際に遊んだのがメインのリプレイですね。

工房都市
アシュラウトで小さな工房を営む合成師の少女ルチア。ハイマンの冒険者ミザリィとその仲間たちは彼女のために一肌脱ぐことになり、ルチアが合成を行うための素材集めに奔走する。
 時にルチアをからかいつつ、依頼された素材を集めるミザリィたち。だが、彼女たちはいつのまにやら街全体を襲う大変な事件に遭遇してしまっていた!

―― 今回も非常に大井GMらしいリプレイになっていますね。
大井 どういう意味や(笑)。
―― たとえば個性的なNPCとか……例をあげれば、讃岐弁を操るルチアさん?
大井 なるほど(笑)。リプレイでも書いたんですが、ルチアが焦ると方言になるって設定は初めからあったんです。ただ、それが讃岐弁になってしまったのは完全な想定外でした(苦笑)。PCの思わぬ判定結果に焦って、僕自身のお国言葉が出てしまった。それがそのままルチアの方言になったというわけです(※大井GMは香川県出身)。
田中 そうでなければ、讃岐弁ではなく「だべだべ」言うルチアになってたわけやね(笑)。
大井 偶然やその場にいる面子でGMの想定していない方向に転がるのは、やはりTRPGだけの面白さなので、ルチアは僕だけでは作れない、とてもよいキャラになったと思います。
―― なるほど。では、PCの中では誰がもっとも印象に残っていますか?
大井 それは、やっぱりナイトメアのタスクですね。タスクは経歴表で「恥ずかしい二つ名がある」って出たキャラなんですが、その二つ名って言うのが"漆黒のスケベ野郎"というものでして(笑)。
田中 確かに恥ずかしいよねえ。本人は全く恥ずかしがっていなかったけど(笑)。
大井 タスクはナイトメアの種族特徴である[異貌化]を、スケベなことを考えたら勝手に発動するという演出で使ったんです。[異貌化]がまさかそんな演出に使えるなんて、誰も予想していなかったに違いありません(笑)。
田中 [異貌化]すれば発声なしで魔法を使えるようになるんだけど、よくよく考えれば、タスクは魔法を使うキャラじゃないんだよね。
大井 だから、あの演出をしたいがためにナイトメアになったんじゃないかという疑惑が……(笑)。種族特徴という、超強いプラス効果を無視して己が道を貫いた彼に、憧れを禁じえません。
田中 リプレイはタスクのおかげでだいぶ盛り上がったよね(笑)。
大井 これからSW2.0を遊ぶ方々にも、少しプレイに慣れたらそれぞれに思い入れのあるNPCキャラを作っていってほしいと思います。
―― サプリ部分を使えば、このリプレイみたいな冒険が楽しめるということですね。
大井 ええ。ただ、リプレイはあくまでも「こういう風に遊べばこんなに楽しいんだよ!」という一つの例です。GMをする際は「リプレイではこうだったから」とか「リプレイのNPCはこうだったから」とか固く考えず、「俺は熟女が好きだからお母さんを依頼人に出すぜ!」とか、「今どき飛空船とか古くね? もうさ、巨大ロボット作れちゃうことにしちゃうぜ☆」とか、自由な感じで遊んでもらえれば、これに勝る喜びはありません。いっそ、NPC自体年齢を上げてもいいし、逆に下げてもいい。
田中 うんうん……ってそこ? ロリコンGMで話題の大井くんらしいね(笑)。
大井 あはは……って、ちょっと待て!(笑)
―― そういう感じですね。わかりました。ありがとうございます。
大井 ちょ、おい! スルーすんな!(笑)
◆無限工房のある場所は……地図にない?
―― リプレイやデータ類はもちろん、『アシュラウト』がある場所自体も魅力的な要素の一つですね。
田中 最初の方の打ち合わせで、「フィールドがたくさんある場所にしたいけど、どこにする?」という話が出て、それなら『アシュラウト』は開拓地で行こう、と。
―― 開拓地、ですか。
田中 そう。それで、レーゼルドーン大陸なら開拓地に適した場所があるなってところから決まっていって、最終的に4つのフィールドになったわけです。
大井 この辺は北沢さんのサジェスチョンもいただきつつ相談した結果、ブルーム近くなら行けるだろう、となりました(※ブルーム:大部分が蛮族領であるレーゼルドーン大陸に存在する人族の街)。ここは蛮族から解放されたのが一年前ですしね。ただ、その場所自体はいままでのルールブックの地図の、ちょうど見切れる部分にあるんですよ。正直、ちょっとわかりにくいですよね(笑)。
田中 そういう場所だからこそ、初期の冒険者が入って行って、町と一緒に成長して行くという、フロンティア感がよく出たと思います。
◆クエストは存在しなかった?
―― 『バウムガルト』はダンジョンに潜って探索して帰るゲームでしたけど、『アシュラウト』は達成するメインクエストを選べるようになってますね。

【メインクエストとは】
PCたちは朝、冒険に出る前に仕事を選んで、引き受けることができます。これが「メインクエスト」です。メインクエスト一覧表には対応レベル帯クリア条件報酬ラスボスなどが設定されています。一度クリアした後でも、何度も受けられるものもあります。
田中 一つのダンジョンに潜って、単純にそこを探索するという一本道的なシナリオではなく、いくつか目的を選べるようになっています。ただ、このシステムは最後の最後までなかったんですよ。
―― そうなんですか?
田中 ええ。本来『アシュラウト』は素材を集めて、それらを合成するのを楽しむものとして作ったんですね。けれど、それだとストーリー的な側面がない。
大井 その話が出た段階で、すでにリプレイは書きあがってて、それならリプレイで設定していた「メインクエスト」を利用できるんじゃないかと……。
田中 そうそう、クエストを達成することで成長していく形を大井くんに相談したら、クエストのレベル帯と敵のモンスターぽーんと出て来た(笑)。
大井 クエスト自体は一日で作りましたね。いくつありましたっけ?
田中 最後の飛行船関連を5つに分割したから、総数は25やね。クエストを設定した理由は、プレイヤーがとりあえずの目的にする「冒険的な区切り」が欲しかった、ということがあります。成長するタイミングをどこに置くのかという話になった時に、じゃあクエストにしよう、と。
大井 最初は3日経ったら成長とか、合成を何回やったら成長とか、いろいろなテストバージョンがあったんですが、クエスト形式が一番座りがいい上に、成長と経験点のバランスも取れたので採用されました。普通にGMがシナリオを作って、セッションを遊ぶ形式に寄せた感じですね。ほんとは色々変わった遊び方が出来るようにも考えてたんですが。
田中 SW2.0自体を知らない人に向けての作品ですから、遊びやすさを大切にしました。リプレイを読んで遊びたいなって思ってもらえた時、抵抗なく入れるようにまとめたのがクエストってことですね。
◆お詫びと、追加データについて
田中 『アシュラウト』に関して、読者の皆様に一つお詫びしなければならないことがあります。初版の『アシュラウト』で、合成表にミスがありました。グループSNEのホームページにエラッタが掲載されていますので、そちらを参照して、正しい合成表を使っていただけたらと思います。
大井 本当に申し訳ありませんでした。
田中 そのお詫びの意味と、『アシュラウト』をもっと遊びたいという皆さんの声に応えて、元々アイデアにあった5つ目のフィールドを付録の追加データとして付けました。エラッタを適用した合成表と纏めて、ダウンロード出来るようになっています。
大井 『アシュラウト』を一通り遊んだ方や、建物を全部第三段階まで拡張したという方は、ぜひ新しい第5 フィールドの見たことのない主と戦ってみてください。イベント表もかなり面白いことになっていますよ。
田中 普段は「連続攻撃」なんて持っていないはずのモンスターが持ってるとか、ね(笑)。驚きのイベントが盛りだくさんです。期待以上のものにしようと気合いを入れましたので、ぜひ遊んでいただければと思います。
◆今後について
―― 最後に、『ルールブックII 改訂版』に対応して『アシュラウト』が出たということは、『ルールブックIII I改訂版』が出た際には、次回作の予定もあるのでしょうか?
大井 いまの段階ではなんとも言えないのですけれど、「次があるんだったら、こんなん良いね!」っていう妄想の話はすでにしています(笑)。
―― それが日の目を見る時を楽しみにしています。それでは大井さん、田中さん、ありがとうございました!


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