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TOP > ユーザーコンテンツ > 著者インタビュー > ソードワールド2.0特集(2013年12月_リプレイ)
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ソードワールド2.0 リプレイ インタビュー
  1. from USA 10 (2013年12月)
  2. 七剣刃クロニクル 4 (2014年1月)
  3. 三眼のサーペント 上下巻 (2014年2月3月刊行)
  4. ルーン・うぉーかーズ 3 (2014年3月刊行)
3.『from USA』
◆☆無秩序に支配された街で息づくNPC100人
―― 蛮族(ドレイク)のアンセルムを主人公とするパーティ、愛称ガッデムガーディアンズの冒険も最終巻『from USA』第10巻で、ついに大団円と迎えることとなりました。おめでとうございます!
ベーテ はーい、ありがとうございます。
―― 9巻でアンセルムの兄との戦いは一応の決着を見たわけですが、10巻ではその協力者というか、言ってしまえば黒幕との戦いがメインですね。
ベーテ ラスベートがその黒幕によって占領されてしまいましたので、その奪還が目的でした。街中が占領されたというよりは、主要な箇所やラスベートに入る街道やらを抑えられてしまった感じです。その状況が非常によく機能してくれました。
―― と、言いますと?
ベーテ 簡単に言えば、アンデットに包囲され、隔絶された空間の中で超兵器が動き回り、「欲望のままに動くがよい」という許可を受けた人々が解き放たれる状況です。そうすることで、蛮族の価値観であったりとか、人族のモラルだったりとか、アンデットに対する恐怖とかが浮き彫りになって、その中でPCたちがどう行動するのかが問われるわけです。
―― 色々なシチュエーションをPCが選択できる状況にあったから、シナリオギミックとして非常によく機能したわけですね。
ベーテ まあ、こんなにラスベートハチャメチャにしちゃっていいのかな、と思いながらやってました(笑)。
北沢 (横から)更地にしなければいいだろう、とは言ったね(笑)。
ベーテ それと、リオスは『ソードワールド2.0ツアー(2) リオス』(2010/12刊行)が出てて、100人のNPCが公式で設定されている街でもあります。なので、なるべくそのNPCたちを出そうと頑張りました。この場所にいけばこのNPCがいて、現在こんな状態になっていて、場合によってはPCたちを手助けしてくれるという感じで。設定的に無理があるNPCはさすがに無理でしたが、それでも100人中80人くらいは配置していました。
―― 設定されていたNPCが活用されたわけですね。
ベーテ ただ、本編ではほとんど登場させられませんでしたが(笑)。加えて、リオスに存在する各組織どんな立場でどう動いているのかとかも考えました。こういうことを考えている時間も楽しかったですね。
◆見所と、力を入れた(入れすぎた?)ところ
―― では次に、10巻の見どころを教えてください。
ベーテ あまり酷いネタバレにならないレベルで言いますと、アンセルム達の人間関係総決算とでもいいましょうか。アウトサイダーとして生きてきたアンセルムの至る答え、そして10冊もの間共に冒険してきた仲間達の生き様を、ぜひ見て欲しいですね。
―― 蛮族PCの帰結という意味で楽しみにしていた人も多かったんじゃないかと思います。
ベーテ あとは決戦前夜ですかね。僕は特にイベントを組んでなかったんですけど、プレイヤーさんたちが勝手にイベントを始めてくれました。すばらしいなあ、さすが熟練のプレイヤーだな、と思ってました。
―― GMからは特にイベントを用意してはいなかったんですか?
ベーテ もちろん、起こさなければならないイベントは用意します。いうなれば、物理的な現象は決めているんですが、精神的なことに関しては全てプレイヤーに任せる感じですね。僕は基本的にそういうスタンスでやっています。そもそもキャンペーンの大前提である、アンセルムの兄が攻めてくること自体、プレイヤーからの提案で生まれましたから(笑)。
―― そうだったんですか?
ベーテ 僕が考えていたのは人族と蛮族を混ぜたらどうなるかなってだけでした。そういう意味では、本当にプレイヤーたちに助けられて出来たキャンペーンって感じです。結果的に上手く纏まったと思います。
―― なるほど。では、もっともGMとして力を入れたところは?
ベーテ 情景描写というか、冒険の舞台設定に色々と力を入れたんですが、おかげでリリオラスベート大変なことになってしまいました(笑)。
―― あれは色々と大丈夫なんでしょうか(笑)? 後々の影響とか、周りへの影響とか。
ベーテ 読者のみなさんがすでにラスベートなどで遊んでいる場合は、そちらを優先していただいてもかまいませんが、事件途中や以降でシナリオを作ってみるのも面白いかもしれません。
◆経験点だけじゃない成長を遂げたキャラクター
―― 1巻から10巻までを通して、GMがもっとも印象深いキャラ、どうしてこうなったと思うキャラ、一番成長したなと思うキャラをあげるとしたら誰になるでしょうか?
ベーテ それは全員です。一人として印象的でなかったキャラクターはいませんし、全員「どうしてこうなった……」と思う部分はありますし(笑)、いろんな意味で成長したと思います。
―― 確かに、1巻から全然変わってないキャラは一人もいませんね。
ベーテ この辺りのキャラクターに対する思いに関しては、10巻のあとがきにも書いています。それと、ありがたいことに『from USA』シリーズは好評をいただきまして、後日談として2014年2月、11巻を出せることになりました!
―― アンセルム達の今後については個人的に気になっていたのでとても楽しみです。
ベーテ 11巻ではプレイヤー達との座談会も載せることになりましたので、そちらも是非読んでいただければと思います。
◆ガッデムガーディアンズ再び! 11巻について
―― 11巻についても、少し教えていただけますか?
ベーテ from USAシリーズ』は基本的にリオスを舞台にしてきましたが、せっかくの後日譚ということで、リオスの中でも今まで余り触れられていない場所をフィーチャーしようと思いまして。今回の舞台は"煙る村"ノイという温泉郷です。
―― おお、温泉郷とは。色々な意味サービスが期待できますね(笑)。
ベーテ 内容は、バトルあり、笑いあり、姫騎士ありにカルト宗教ありと、実に盛りだくさんです。時系列は10巻の半年後にあたり、その半年でガッデムガーディアンズの面々がどのように変わり、また変わらなかったかが見所と言えますね。あと、表紙が今までとちょっと違う感じになってますので、それも楽しみにしていてください! 女の子ばっかりの表紙です!(笑)
◆読者の皆さまへのメッセージ
―― 最後に読者の皆様へのメッセージをお願いします。
ベーテ 10巻をもってアンセルム達の冒険は一通りの決着を迎えます。右も左もわからない状態から始まり、まがりなりにもこうして10冊も本を世に出すことができたのは、ファンの皆様の応援あってこそです! 本当にありがとうございました!
そして、ありがたいことに
11巻も刊行出来る運びとなりました。もう少しアンセルム達にお付き合いくだされば、と思います。また、少々気が早い話ではありますが、すでに次のシリーズの企画も始動しています。色々派手なことも考えていますので、是非楽しみにしていてください!

4.七剣刃クロニクル 4
◆『七剣刃クロニクル』4巻は、GMが引いた!?
―― ついで『七剣刃クロニクル』(以下、『七剣刃』)第4巻についてです。非真面目かつ自由奔放な冒険者達が活躍する『七剣刃』も第4巻ということで、いよいよ盛り上がってきましたね。
秋田 そうですね。3巻ではだいぶ理不尽な状況に放りこまれていたと言いますか、嫌な上司にとっ捕まってしまい、それから自由の身になろうとして「軽く足掻いてみようかな」程度の皆さんでしたが、4巻では頑張って逆らっています。そこで、嫌な上司がやってきたことを潰すべく動いていました。……ただ、GMが提示した材料に、PC達が想定外の材料を足しまして、その結果、GMが当初予定していたシナリオとは全く別のシナリオになりました!(笑)
―― 全く変わってしまったんですか?
秋田 ええ、というか、クライマックスに持ってこようと思っていたシーンが練り直しになりましたから(笑)。
―― あらら(笑)。
秋田 あの人達の奔放さには、もう、引くものがあります(涙)。本当に、手綱の取れないキャラクターというかプレイヤーたちですよ(笑)。4巻では私が口を滑らせた、自己責任の面もあるので、あんまりプレイヤーを責めることは出来ないんですけど(苦笑)。
―― 秋田さんはプレイヤーたちが無茶をしても、少々予想外の行動をしても、大丈夫なほどしっかりバックボーンを作り込んでおられますもんね。
秋田 もーっ! 無茶をされるGMの身にもなれーっ!」って毎度思いながら、シナリオを頑張って練り直してます。GMが想定していなかった展開になるのが、TRPGの面白さでもありますしね。
―― そんな秋田GMならではの、GMすら予想していなかったシナリオ展開が、見どころになりそうですね。
秋田 あとは、4巻ではキャンペーンの鍵である神器の伏線とかが明かされます。それに、3巻までは嫌な上司のせいでフラストレーションのたまる展開でしたけど、4巻では多少自由な彼ら……っていうか、「自 由 す ぎ る」彼ら(笑)の行動を楽しんでいただければ、と思います。
◆イチゴーに続く、新たなマスコットが登場?
―― これは個人的に気になっていることなんですが、『七剣刃』におけるマスコットキャラ「イチゴー」は、4巻でも相変わらずですか?(※イチゴー:PC達によって改心した、蛮族の元手下のコボルト。なぜかPC達から全幅の信頼をおかれ、愛されている)
秋田 ええ(笑)。実は5巻の収録もすでに始まっているのですが、やっぱりイチゴーが一番愛されています。
―― 4巻のみならず5巻でも(笑)。
秋田 あれをマスコットにして良かったのかとちょっと思ったりもしますが(笑)。あ、そうそう。4巻にはイチゴーに続くマスコットが出来たりします。そのマスコットがいかにしてマスコットになったのか、という流れも見どころかもしれませんね。決め手はたった一言だったんですが、その一言で皆さん物凄く可愛がってくださって。
―― たった一言で(笑)。どんな一言だったのか気になりますね。
秋田 説明すると長くなるからぜひ本書を読んでいただきたいと思います(笑)。と、いうわけで、一つだけわかったのは――あのパーティーに接するには「誠意」しかないと思いました!(迫真)
―― えっと、なぜか脇でプレイヤーの人たちが爆笑してるんですが(笑)。
秋田 なぜ笑う! 誠実であるべきだと思ったんです! 直球で行ったら、簡単に話を聞いてくれたりするので、「あれ? この人たち結構ちょろくね?」って……
―― それもう誠実な人のセリフじゃないですよ(笑)?
秋田 ……セリフではなく、心の声です(笑)。まあ、今回で「この人たち相手にはこうすればいいんだ」みたいなものがちょっとわかった感じがしてます。怪しい人達は出しますけど、そういう人達はあっという間に片づけられたり無視されたり、ハブられたりしちゃうんです。よし、それなら誠意だ、と。いうなれば、『七剣刃』は「」の物語なんです。
―― 愛と誠意の物語、というとかなりいい話っぽいですね(笑。
◆キーワードはやっぱり「アレ」
秋田 七剣刃』のキーワードは相変わらず「純潔」です。
―― シリーズ通してのキーワードになってますが、最後までこのまま貫き通すんですか?(笑)
秋田 一応、いまのところは保ってますよ?
―― 色々危ういですけどね(笑)。そういえば、本書ではラクシアにTシャツがあることが判明しましたね。
秋田 そうですね。「純潔で何が悪い!」って書かれてる奴が登場しました。
一同 (爆笑)
秋田 もう一つ、彼らはアウトローなので、多少法に触れることをしそうになるんですね。そういう時、覆面代わりにそっと水袋をかぶるのがデフォになってしまって。
―― うわぁ、いいんですか、水袋をそんな用途で使って?(笑)
秋田 いいかどうかはさておき(笑)。4巻はこれまでの道のりを振り返る形ですので、1巻から読んで下さっていた方たちには、いままでの冒険での絆というのを感じていただけるのではないかな、と思います。
―― 実は1巻の頃から密かに築かれていた絆が、ここで一気に表に出るわけですね。
秋田 だといいなー(笑)。
◆今後の展開は、派手な驚きと絶望?
―― すでに5巻の収録をはじめている、ということでしたが、少しお話しいただいてよろしいですか。
秋田 そうですね、これまでちょっと温めていた伏線が、今度こそ明らかになるというか、5巻はちょっと派手な冒険になるはずです。私がやるとどうしてもみみっちくなっちゃうんですが、少なくともヒロイックな感じにしようという展望を持ってやりました……(プレイヤーたちに向かって)ね、派手だったよね?
プレイ
ヤーA
だいぶ派手でしたよ? 秋田さんすごいなー、ってなりました(棒)。
秋田 棒読みやん!(笑)
プレイ
ヤーA
いや、ここで5巻のネタばれするわけにはいかないので、詳しくは言えないんですけど、プレイヤー全員ぽっかーんってなりましたし。
―― ええっ?
プレイ
ヤーA
あと、絶望しましたねー。「これが仮にこうだとするなら……俺たちはもう駄目だ」って(笑)。
秋田 まあ、ちょっと絶望を与えてはみました(笑)。
―― い、一体何が……?
秋田 ふわっとした言い方になっちゃうけど、さっき話した新たなマスコットがすごかったとか、「ニノンのリサイタル」とか……とにかく、5巻はすごく派手な冒険になっているということです(笑)。楽しみにしていてください。

5.『三眼のサーペント』 上下巻
◆『三眼のサーペント』は上下巻構成
―― 次は、現在設定されている冒険者レベルの上限である、15レベルのPC達が色んな意味で大暴れする『三眼のサーペント』についてお伺いします。
清松 リプレイは何を言ってもネタばれになってしまうんですが、今の段階で言えることは、まず『三眼のサーペント』は上下巻構成です。そして、『イグニスブレイズ』を導入しました! 例によって、それに伴うキャラの再構築もしましたよ!
―― おおっ! このレベル帯のキャラ作成は参考にするものが中々ないので、最新版が提供されるのはうれしいですね。
清松 もう、GMは泣きたくなります(笑)。鎧貫きとかクリティカルキャストとか全力攻撃IIIとか流派とか。特に流派はすごいですよ。改訂されて追加された【アゴウ重鎚破闘術】の秘伝の《爆破・神鳴り》とか、防護点を-24してダメージを出すんですが、これってもう防護点ないも同然ですからね?(笑)
―― それ以上は下げても仕方ないってレベルですよね。個人的に一番硬いイメージがある「ミスリルゴーレム」でやっと防護点が30ですよ。それが6点になるって、ほんとどういうことなのかって感じですね(笑)。
清松 ええ、そんな感じで高レベルの流派改定を堪能出来ます。まあ、堪能してるのはプレイヤー読者なんですが(笑)。
―― 一読者として堪能させていただきます(笑)。そういえば、先ほどの『三眼のサーペント』でもユーレリア地方に行ったというお話が出ましたが?
清松 ええ。ただ、恩寵ルールは使用していません。美姫に遭遇はしましたけどね。
―― その理由は?
清松 恩寵ルールを導入しちゃうと『サーペント』シリーズのコンセプトがずれてしまいますから。でも、恩寵ルールは使わないと言ったのに、プレイヤー達は「貢ぐ? どうする?」って盛り上がってましたけどね(笑)。あの人たち、常に金欠なんで。(※アルケミスト技能で使用するカードを使いすぎた結果。カードにはランクがあり、1枚で2万ガメルもの大金が飛ぶこともある)
―― 絶賛カード破産中ですからね。バトエルデンはいつか国庫に穴を開けそうです(笑)。
清松 戦闘でアルケミストがSSカードを使わないといけない場面も多いからね。カード以外にも魔晶石魔符とかポーションとか、消耗品を湯水のように使うし。それはあのレベル帯になってくると仕方のないことなんだけど。
◆その「50点」はどっち?
―― お金に関してもそうですが、達成値という意味でも、SW2.0ではあまり見ない数値が飛び交ってましたね。
清松 毎度のことだけど、あれはもう、本当に数字がおかしいよ! そりゃ、GMもプレイヤーも病気を発症するよ。
―― 前巻の『双頭のサーペント』のインタビューでおっしゃっていた"サーペント病"ですね。
清松 達成値30とか低くね?」ってセリフが飛び交っててね(笑)。達成値30って普通は必ず成功するような数値なんだけど。
―― 逆に、普通のセッションでいう目標値30とかは、「自動成功以外では突破できない」=「事実上突破不可」の障害ですよね。
清松 なのに基本の数値が20を超えてないと無力感が漂い始めたりして。「ごめん、役に立たなくて」ってなってたよ。
―― 20っていつもなら拍手喝采ものの数値ですね。
清松 知力ボーナス6でも少ない気がしちゃうからねぇ。ボーナス6でセージレベルが9あればすごいインテリのはずなんだけどね。
―― その横に知力ボーナスだけで11とかいう人がいたりすると、基準値15からスタートでも霞んじゃいます(笑)。
清松 そういう人は魔法系技能を1レベルだけ取って、基準値12とか言えちゃうからね。アイテムの効果も入れると、技能レベル1なのに魔力15とか言うんだよ?(笑)
―― もう何が起きているのかわからないです(笑)。
清松 メテオ】とか魔法で出るダメージもおかしい。「ダメージ出します! 50点! 50点! 50点! あ、最後の50点ピンゾロです」って訳がわからん!
―― 普通、ダメージ決定時に「50点!」というと、ピンゾロで得られる経験点のことを指す冗談なんですが、それが冗談じゃない(笑)。
清松 いまの50点はピンゾロの方です」とか「いまの50点はダメージの方です」とか言われた後、「50点!」だけ言われると、GMが「どっちやー!」って叫ぶ(笑)。
―― 感覚がいつものセッションに戻るのにちょっとリハビリ期間がいりますね(笑)。
◆オープニングから衝撃展開?
清松 まあ、そんな人達っていうか人外達が活躍している、いつも通りのシリーズということで。あっ、あと、今回は衝撃のオープニング展開だったよ。
―― 『サーペント』シリーズのレベルで衝撃展開って怖いですね。
清松 まあ、この人達の場合は比喩じゃなく、ちょっとした事故で世界の危機に直面しかねないからね(笑)。これ以上はネタばれになるから詳しく言えないので、皆さん自身の目でぜひ確認して欲しいと思います。2014年の2月3月連続刊行予定です。ちなみに、さっきの衝撃のオープニング展開については、あとがきですべてぶっちゃけてるので、それも読んでくれると嬉しいです。

6ルーン・うぉーかーズ 3
◆ついに明らかになる「ミランダ」というキャラクター、の趣味
―― それでは『ルーン・うぉーかーズ』のインタビューを始めます。記憶を失ったルーンフォーク達の物語である『ルーン・うぉーかーズ』は2014年3月に出る3巻で完結ですね。
藤澤 はい。いよいよ全ての謎が白日の元に……と言っても2巻までで、蘇った秘密とか、記憶が失われた期間に何をやっていたのかとか、黒幕の正体などは出ちゃってるんですけど(笑)。
―― あとはそれにどう対処していくかというところでしたね。
藤澤 そうですね。そうそう、3巻ではかつてパーティーの仲間だったはずで、失われた記憶の間にいなくなっていたミランダさんが、実際どんなキャラクターなのかがついに明らかになります! どんな趣味をしているとかもね(笑)。
―― なるほど。確かにその謎はまだ解明されてませんでした(笑)。
藤澤 どんな趣味なのかは、実際に読んでいただく時のお楽しみとして……短かったようで、非常に密度の濃いシリーズでした。最後まで楽しんでいただければと思います。
◆『ルーン・うぉーかーズ』は謎解きの物語d
―― 3巻に限らないんですが、このリプレイシリーズを書く上で一番力を入れた点はどこですか?
藤澤 このリプレイでは、私的には何か「楽じゃないことをしたい」と思っていまして。
―― それは「GMが楽じゃないこと」という意味ですか?
藤澤 はい。基本的に私はシナリオでプレイヤーや読者を驚かせたいんです。それをいつもは「ボケ」でやってるんですね。
―― 『ルーン・うぉーかーズ』で言うと、腰みの族(※2巻第4話に出て来た部族。腰みのを身に付け、とある事情でPCの一人を神と崇めていた)のシーンとかですか?
藤澤 そうそう(笑)。あれがこれまでの「藤澤らしさ」が一番出てたシーンでしたね。でも、今回はそういう驚きを与える方法を、初めて「謎解き」に変えたんですよ。それが『ルーン・うぉーかーズ』のテーマでした。なぜ生き返ったのか、なぜ死んだのか、何をしていたのか、この持ち物はなんなのか、この人達はなんで自分のことを知っているのかとか、といったことですね。そういう意味でチャレンジ作品でした。そういった謎解き要素で楽しんで頂けたらうれしいですね。「あれはこういうことだったのか!」って感じてもらえたら、私的にこのシリーズは成功したと言えると思います。
―― なるほど。そういった意味で考えると、今回の謎解き要素は記憶を失ったルーンフォークじゃないと出来ないことも多かったですね。1巻で登場したダリアさんの正体とか(笑)。
藤澤 そうね(笑)。記憶を失うって本来すごい大変なことなんだけど、その結果わからなくなってた真実が、わかってみると案外下らないことだった――というところで笑ってもらいたかった。下らない笑いは大好きなので(笑)。
―― 記憶があると、「そういえばああだったな」で終わってしまう部分ですね。
藤澤 そうです、単なる一過性のボケで流されかねないところを、記憶がないために、PCたちが「真剣に考えないと!」ってなる状況が楽しかったですね。
―― 1年間もの長い期間の記憶が失われるルーンフォークならではのギミックですね。
藤澤 ルーンフォークが蘇ると記憶をなくすっていうこと自体は、これまでの既存リプレイなどでも結構あったんです。『新米女神の勇者たち』のメッシュしかり、『拳と魔封の物語』のアンしかり。短編集『女神の国の逃亡者』では、清松さんが『我が心は山に消え』ってタイトルで、ルーンフォークが題材の小説を書かれていますし。私も同じ題材で「リプレイをやりたい!」っていう想いは前からあって、それをメインにした企画を提出したんです。その結果、編集さんも北沢さんも快諾してくださいました。嬉しかったですね。
―― なるほど。「謎解き」と種族設定が上手く噛みあった結果、『ルーン・うぉーかーズ』は出来あがったんですね。
藤澤 とはいえ謎のまま引っ張れるのはギリギリ3冊って感じでした。冒険してれば色んな人に会いますし、そこから話を聞いたりして謎がわかっちゃいますからね。そういう意味で、3冊っていうのは自分的には丁度いい長さだったと思います。十分やりきった感覚はありますし。ただ、いつも使わない部分の頭を使ってGMやってたので大変でしたけども(笑)。
◆『ルーン・うぉーかーズ』は『サーペント』を越えた?
藤澤 そうそう、3巻の内容に絡むんですが、『ルーン・うぉーかーズ』が『サーペント』シリーズに勝ってる点が一つあるんですよ。
―― 15レベルレギュレーションの『サーペント』シリーズに、ですか?
藤澤 それはPCが受けたダメージ、すなわち「被ダメージ」です!
―― ああ(納得&笑)。
藤澤 あれは酷かったです。ダメージ計算してる途中で、これもう計算しなくてもいいかなって、ちらっと思ったくらいでしたもん(笑)。
―― 『サーペント』シリーズとは違う方向惨事が起きましたね。他のセッションには真似できない(笑)。
藤澤 っていうか良い子は真似しちゃいけません(笑)。
◆次回作の話
―― 『ルーン・うぉーかーズ』は3巻で終了というのが、本当に残念ではあるのですが、またすぐに藤澤さんの作品を読める企画が進行中ですよね。
藤澤 『ルーン・うぉーかーズ』3巻が出た後、割とすぐ出る予定です。今度の話は『ルーン・うぉーかーズ』ほど特殊なシチュエーションの話ではないです(笑)。
―― セッション風景を見ていると、とても自由なセッションだと感じました。
藤澤 ええ。プレイヤーの皆さんがやりたいことをやっている感覚が、すごく新鮮に感じられました。ゲーム上の強さを追い求めることなく、ただ自分たちがやりたいようにキャラを作って成長させている感がとても強いですね。SW2.0にこなれてしまった人は絶対にやらないであろうことをしている人達ばかりなので、GMをしていて新鮮な気持ちになれました。そちらの新作もよろしくお願いします。


快進撃をつづけるSW2.0、これからも注目作が目白押しです。楽しみに続報をお待ちください。


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