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TOP > ユーザーコンテンツ > 著者インタビュー > 禁書封印譚ブラインド・ミトスRPG(2017年12月)
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禁書封印譚ブラインド・ミトスRPG

 2017年12月20日、グループSNEの新しいRPGがKADOKAWAから発売されました。
 その名も
『禁書封印譚ブラインド・ミトスRPG』

 2015年10月に発売した協力型ストーリーボードゲーム『ブラインド・ミトス』の世界観をより深く掘り下げ、シンプルで遊びやすいシステムのRPGとして再誕した本作は、現代を舞台に世界を汚染し歪める危険な禁書を回収し封印するために自らも禁書の力を使う禁書使いたちの、本にまつわる物語

 お話を伺ったのは、ボードゲーム版のデザイナーでRPG版監修の安田均、RPG版制作の北沢慶西岡拓哉。インタビュアーはゆうみんでお送りいたします!


 とはいえ、うっかりコミケ準備に追われてインタビュー記事が遅れている間に本書は発売され、『GMマガジン』でも発売前から先行情報や紹介リプレイが掲載されているので、RPG大好きっ子の皆さまのなかにはすでに基本情報は把握済みだったり、本書をお持ちだったりする方もいらっしゃることでしょう。

 そんなわけで、今回のインタビューでは基本情報をおさらいしつつ、本作が発売されるに至った経緯などの裏側をメインに聞いてみましたよ!


SNE内サポートページ(RPG/ボードゲーム共通)
富士見書房公式TRPG ONLINE
2017年12月
記事作成:ゆうみん


■■ はじまりはSNEの過去作品復活計画
――:  それでは、『禁書封印譚ブラインド・ミトスRPG』のインタビュー、よろしくお願いいたします!
安田北沢西岡  よろしくお願いします!
―― 『ブラインド・ミトス』といえば、2015年にボードゲーム版が発売されてますよね。
安田  そもそも『ブラインド・ミトス』って何だ? という話からじゃないの?
――:  そこはボードゲーム版のインタビューの時にボスにがっつりご説明いただいたので、読者の皆さまにそちらをご覧いただこうかなー、などと横着しようとしています
 とはいえ、今回初めて本作を知った方もいらっしゃいますので、簡単にご説明しますね。

ブラインド・ミトス

 英語を直訳すると『盲目の神話』
 まあ、‘盲目的進化の神話’、あるいは‘隠された神話’くらいに考えてください。

 世界は無限の分裂と進化をくり返しています。それぞれに新たな神話が刻まれ続けており、人のあずかり知らぬいずこかには、そのすべての記録を保持するアーカイブ(宇宙の図書館ともいえる)場所があります。
 そこはある意味“禁断の知識”の宝庫であり、それを覗き見ることができれば生物としての常識を超越した力を得ることができるでしょう。
 時に人為的に、あるいは偶然にその知識がこの世に持ち込まれることがあり、書物の形をとったそれらは「禁書」と呼ばれています。

 禁書はその圧倒的な力で世界を汚染し、侵食します。
 禁書の回収と封印、管理を専門とする組織“聖ビブリオ”は、禁書の引き起こす災厄を収束させるため、自らもまた禁書を使います
 けれど、禁書の力はとてつもなく強力で、人知を超える力を行使する代償は大きい。そして力と知識を求める人の心はもろく、誘惑に弱い。
 どんな理由であれ、禁書を扱うものはその誘惑と常に戦わなくてはならないのです。

 この作品は、禁書を扱うことのできる特別な存在“禁書使い”たちと禁書との戦いを描いた、禁書をめぐる物語です。

ボードゲーム版インタビュー
 初っ端のボスのおちゃめな冗談発言を含めて、ぜひあわせてご覧ください

――:  ちなみに、何がきっかけで『ブラインド・ミトス』はRPGになったのでしょうか?
安田  実は、SNEがこれまでに発表してきたRPGを蘇らせていこう計画、というのがありまして。
 今夏創刊された『GMマガジン』30年史的なコラム名作再発見というコーナーでもいろいろ紹介して、SNEの過去作品に再び光をあてていきたいと思っているんだ。
――:  それはSNE作品を長くご愛顧いただいているユーザーさんには嬉しいお話ですね。『***』の復活をぜひ、というご要望も定期的に届きますし。
安田  ただ、そのままで復活させるか、システムをさらに改良して違う背景世界とあわせるかは、それぞれの作品次第。
――: 『ブラインド・ミトス』はどちらだったんでしょう?
安田  計画の話をしている時に、北沢くんから『デモンパラサイト(パラサイトブラッド)』システムは広く応用できるんじゃないか、と意見が出て。
『ブラインド・ミトス』は元がボードゲームで背景世界はRPGほど詳細ではないし、細かいシステムもなかったから、『デモンパラサイト』のシステムと組み合わせて世界観を掘り下げれば、面白いものができるんじゃないか、と思ったんだ。
――:  なるほど。
安田  システムは北沢君に、世界観部分はボードゲーム版の制作時に関わってくれた若い人たち――RPG版でも頑張ってくれた西岡拓哉、漫画家として活躍している永田愁、DTPやグラフィック担当で『テストプレイなんてしてないよ』のイラストも描いてくれた松田実愛、ボードゲーム版の背景世界発案者であるっていう学生さん、それらをとりまとめたこあらだまり――に任せて出来上がったのが、この『禁書封印譚ブラインド・ミトスRPG』です。


■■ 足し算も引き算もなし! シンプルな判定システムの根っこには……
――:  そういう経緯だったのですね。あれ? でもこれ『デモンパラサイト』感、あんまりない気が……。
安田  うん、まあ……、最初は『デモンパラサイト』をうまく使うつもりだったんだけど。
北沢  まず、本のサイズが四六版に決まった瞬間に、系統樹システム(キャラクターの成長の分岐一覧表)がとてもじゃないけどページ内に収まらないことに気が付いて、あれ……? ってなって。
 次にボードゲームの要素との整合性をとっていくうちにどんどん『デモンパラサイト』感が抜けていったので、それならもう
いっそ新しいシステムを組んでいこう、と方向転換してまったく別ものに仕上がりました。
――:  なるほど。作っていくうちに最初とは別物になっていくのはよくある話ですね!
北沢  判定システムは僕が作ったんですが、コンセプトは足し算も引き算もさせない、サイコロの出目を見るだけで判定結果がわかる、という形にしました。
 初めてTRPGを遊ばれる方って、足し算一個挟まるだけでもまごついてしまうでしょう。
――:  どれとどれを足すの? どこ見るの? ってなりますよね。
北沢  そして実はこの基本システム、『T&T』リスペクトだったりします。で、昨年のJGCのT&TライブRPGを使って判定がちゃんと回るかどうか実験しました。
安田  え! そうやったんか!?
北沢  あれ? ご報告しませんでしたっけ?
安田  そういう話は聞いてなかったぞ。サイコロたくさん振るしゾロ目使うなーとは思ってたけど。『シャドウラン』だとばっかり思ってたよ(笑)。
北沢 『シャドウラン』や、あと『ゲヘナ』などももちろん参考にしてはいますが、実は根っこは『T&T』なんですよ。
『T&T』の楽しいところはサイコロを振って足していくことですが、ライブRPGは場所が狭いし時間も限られていてRPGの判定そのままでは使えない。
 そこで
4以上の目を成功としてサイコロの数を数える、という形にして、あとはゾロ目を入れれば『T&T』っぽいかな、と。
 ライブRPGの時の経験でざっくり成功・失敗の確率も出たし、いけそうだな、ということでこのシステムになりました。
西岡  ライブRPGでは僕もブースマスターを担当して、判定をしっかり理解していたのでRPG版のルール執筆もテストプレイもしやすかったです。
北沢  そういう意味では、まあまあ入念にやってきましたね。100人規模のテストプレイも実施済み
――:  なるほど~。
 ちなみに、ボードゲーム版も遊んでいるわたしとしては、なんというか、随所にすごいボードゲームっぽさを感じました。特に禁書ビットと禁書ボード
北沢  もちろん、ボードゲーム版の要素もある程度は拾ってほしい、と社長から指示いただいていたので、システムも世界観もボードゲームを踏襲しつつ、TRPGとして遊びやすいように整えていきました。
 結果、そのままの形で残ったのが
禁書ビットを獲得してボードに配置し特殊能力を獲得していく、という構造ですね。
西岡  ボードゲームでも特殊能力を得ることで状況を打開していくのが楽しい部分だったので。
安田  六角ボードは難しいだろうと思っていたから、禁書ボードが残ったのはちょっと意外だったかな。作った本人としては嬉しいけど、あ、これなの? って(笑)。
――:  この禁書ビットと禁書ボードは、ボードゲーム版をお持ちの方ならそのまま使えちゃうんですよね。
北沢  RPG版はキャラクターシートにペンで一筆書きしていくことになりますが、もしボードゲームをお持ちだったりこれからお買い上げいただける方は、ぜひ使ってほしいですね。RPG版だと一種しかないボードが4種類あるし。

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RPG版のサイン本もありますので、ぜひあわせてお楽しみください!

――:  ほかにも、例えば3回堕落でキャラロストとか、協力判定スーパートークンみたいな感じかな、とか。
 もちろんRPGもボードゲームも、それぞれ単体でじゅうぶん楽しいんですが、どちらも知っているとより楽しいし、プレイ感覚が似ているので遊びやすいんじゃないかと思いました。


■■ ぜひこだわりの一冊をお手元に
――:  次は世界観やプレイヤーキャラクターのことなど伺っていきたいと思います。舞台は、基本的には現代ですね。
北沢  はい。ただ、ゲームマスターが用意するシナリオの核になる禁書によって様々なジャンルに変化するので、毎回違うジャンルを楽しめます。
 本のストーリーをちょっといじるだけでもシナリオになるので、いろんなジャンルのいろんな作品から引用していただければシナリオのネタに困ることもないと思います。
安田  基本、ゲームマスターやプレイヤーのやりたい放題です。例えば外伝外史的なものとか、変な聖書とかを参考にするのも楽しいですよ。お好きな方はいくらでも活用してもらえるんじゃないかな。
――:  プレイヤーは禁書が使える特殊な存在――禁書の回収・封印と管理を行う組織“聖ビブリオ”のエージェントであるTBファイラー(禁書取締官)、もしくは“聖ビブリオ”と何らかの繋がりを持つ協力者――として、禁書が引き起こす事件を解決するべく活躍するわけですが、RPG版で実際に不思議な力を使うのは、自分が所持している禁書から呼び出した“象徴体(レトロスペクター)”という存在なんですね。
北沢  このゲームでは、いわゆる本のジャンルがキャラクターのクラスになっています。
 禁書のジャンルはひとつ、またはふたつまで組み合わせることができて、ジャンルによって“象徴体”の能力が変わってきますが、姿は実在の歴史上の人物でも物語の登場人物でも、なんでもOKですよ。
安田  ジャンルはみっつ以上は不可? いわばマルチクラスの上級。
北沢  現在は最大ふたつまでですね。あまりジャンルが重なりすぎても、その本なんやねんってなりますし。
――:  キャラクターは自分の禁書を1冊所持しているわけですが、プレイヤーも、本を1冊手元に実際に持って遊ぶんですよね?
北沢  えーと、発売前のネットでの盛り上がりで、一点だけ若干不安を感じた部分があるのですが……。
 昔、CDからモンスターが出てくるゲームがありましたが、本作は本からキャラメイクをするわけではなくて、
あくまで判定のツールとして使うものなので、本がないとキャラが作れないわけではないし、本の中身に応じて何かすごい物が構築されるわけではありません。
――:  つまり?
北沢  各キャラクターには「守護星」というピンチを脱出する際などの判定に使うヒーローポイント的なもの0~9の数字の中から3つ、設定されています。
 で、
とっさの時に本をばっと開いた時のページ番号の下一桁が合致していると効果が発動する、というもの。ページ番号さえうってあれば、ぶっちゃけ10ページ以上ある本なら何でもいいんです。
安田  まあでも最低限、本になっているものにしてくださいね。あとページ番号がきちんと印字されているもの
 僕が遊んだ時は、『火吹き山の魔法使い』を禁書に設定したらあかんかった。
――:  え、なんでですか?
安田  数字書いてあるぞって言ったら、サイコロマークやからダメって。
――:  なるほど(笑)。あくまでページ番号ということですね。
北沢  ちなみに、この本を使う判定は社長のアイデアです。
安田  やっぱり本をテーマにしたゲームだから、本そのものを使った判定がある方が楽しいでしょ。
――:  たしかに。
 そうそうこの作品、
キャラクターシートにHPとかMPがないんですよね。
北沢  他のRPGでHPとMPに相当するのは、トラウマと記憶の喪失
 禁書の力を使いすぎたり、敵からのダメージを受けると、記憶が歪んだり失ったりします。記憶っていうのは、人を形成する大切なものなので、それが歪んだり消えたりするということは、人の存在の基盤が失われるということでなんです。
安田  ある意味このゲームのもう一つの特徴は、失われていく記憶ゲーム。キャラクターは記憶を失って消えていく。人でなくなるゲーム。
北沢  記憶が失われる部分などは、がっつりロールプレイしたい人なら盛り上げていただけることと思います。
 もちろん、ロールプレイが苦手な方はカジュアルに遊んでいただいて大丈夫です。そこは遊ぶ前に、メンバーで卓のノリを決めていただければと思います。
西岡  あと、このゲームは判定でゾロ目が出たら(1ゾロ以外は)振り足すので、戦闘などで一気に形勢が変わることがあります。
 探索の時点で禁書を使っているので、戦闘は避けるように動く方がいいです。
安田  ところで、NPCリストにボードゲームのキャラクターが3人―天ノ川、レックス、JIN―載ってるけど、あとの5人は? 宅庵はどうなったんや?

宅庵
 作家業を営む青年。
 ボードゲーム版のシステム「イベントカード」で禁書事件と原稿の〆切、どちらを優先するかという選択を迫られる。

西岡  実はですね、今回舞台として終本市(はてもとし)という架空の都市を設定していまして、その説明の中にこっそりボードゲーム版のキャラの小ネタを盛り込んでいます。
 まず神田古書店という古本屋があったり、しので出版という出版社に寄稿している作家がTBファイラーである……などなど、名前が出ているキャラもいますが、出ていなくてもほんのり、こいつ、アレかな? とにおわせています。シナリオフックとしても使えるようにしてありますので、ぜひ活用していただければと思います。


■■ そんなSNEらしさは広めてはいけない
――:  ちなみに、本作のイメージは儚く切ない雰囲気でと聞いていたのですが、SNEでやるとそうならない、とルールブック冒頭で世界観と遊び方を紹介したリプレイの著者、こあらだまりから感想が。
安田  すまん!
西岡  ある意味、切ない……。
北沢  何故かならないですね。
 
あみあみチャンネル『まりえさゆりのオフラインセッション』で本作を取り上げてくださる、ということで収録があったんですが、それもすごかったです。声優さんの作ったキャラがどれもこれも非常に個性的で大変なことになって。
安田  声優さんってかっこよくキメるんじゃないの?
北沢  一人がアスリートだったんですが、競技は相撲で、しかも禁書名をランダムで決めたら『相撲捜査網』って出て。
――:  ランダムなのに韻まで踏んでいる完璧さ。
西岡  相撲協会に鋭くメスを入れる存在として……。
安田  それは儚く切なくならないよ(笑)。
北沢  人間のクズのミュージシャンと、それを追っかけてるボーカルの女の子と、相撲レスラーパパラッチ
安田  人間のクズって『T&T』やないか。そんなSNEらしさは広めてはいけない(笑)。
――:  そんな風にぶっとんだ感じで遊ぶことも、もちろん作品コンセプトである儚く切ない感じに遊ぶこともできるのが、TRPGの醍醐味ですね!(無理やり)
 そんなぶっとんだ声優さんたちのセッションを視聴したい方はこちら!

 人気声優・三宅麻理恵&原紗友里がパーソナリティをつとめ、さまざまな遊びを紹介する楽しい番組
 
あみあみチャンネル
 『まりえさゆりのオフラインセッション』

 https://twitter.com/OFFLINE_SESSION

 12月18日放送第37回で本作をプレイしていただきました!
 GMをつとめているのは、ボードゲーム版のキャラクターカードやルールブック本文のイラストを担当した永田愁です!
 https://www.youtube.com/watch?v=VlZKLYiYT3M


■■ 今後の展開
――:  今後はどういった展開を予定していますか?
北沢  サプリメントやシナリオ集を考えています。
 ジャンルの追加レベルの上昇(現在5レベルまで)、シナリオ作成サポートなどができればいいな、と。
 ルールブックにもシナリオはあるんですが、今回はルールの説明にページの大半が割かれているので、もっと増やしていきたいですね。
安田  今のRPGユーザーさんたちの中には、既成シナリオをたくさん遊びたいという層がいるから、シナリオは喜んでもらえるんじゃないかな。
西岡  webではRPGとボードゲームを繋げるサポートなどをしていきたいです。
 ボードゲームのシナリオをRPGにコンバートしたりできれば、遊びの幅も広がりますし、両方を楽しめるようなコンテンツを考えています。
安田 『GMマガジン VOL.3』こあらだまりのリプレイも掲載されるよ。それとボードゲームとRPGのシナリオをインターチェンジ(交換可能)にしたいね。
――:  盛りだくさんで楽しみですね。最後にユーザーさんにひとことお願いします。
北沢  なるべく初心者でもわかりやすく楽しめるように作りましたので、TRPGを遊んだことがない方もぜひ遊んでみてください。
 判定も、ダイスを振ってぱっと見ただけでわかるので、動画にするのも簡単なんじゃないかな、ということでよかったらぜひ動画も作っていただけると嬉しいです。
西岡  ボードゲームファンの皆さまにも好評をえられる作品になったのではないかと思いますので、初心者の方も今までのファンの方も一緒に楽しんでいただいて、俺の“象徴体”、俺の禁書はこうだ! ていうのをツイッターなどでぜひ紹介していただければな、と思います。
安田  記憶が消えるから、やっぱり儚く切ないプレイもやってくださいね。
一同  (笑)。
北沢  よい言葉をありがとうございます(笑)。
――:  それでは、今回のインタビューはこのへんで。ありがとうございましたー。




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