Group SNE
News
About SNE

Products

User Contents
  ●著者インタビュー
●イベントレポート
●リーダーズサーカス
●エッセイ
●trPGリプレイ
Link
indexに戻る
TOP > ユーザーコンテンツ > 著者インタビュー > 王宮のささやき(2013年10月)
←「著者インタビュー」トップへ 『魔女館からの脱出』iGamebook版インタビュー→


『王宮のささやき』『魔女館からの脱出』iGamebook版
豪華二本立て!!
秋も深まる今日このごろ、みなさま、いかがお過ごしでしょうか。
グループSNEでは10月に『ゴーストハンター13 タイルゲーム』『タルギ 完全日本語版』、そして11月9日には『
王宮のささやき』とボード/カードゲームを発表してきました。

 ◆ゴーストハンター13 タイルゲーム 著者インタビュー (作品ページはこちら)
 ◆タルギ 完全日本語版 著者インタビュー (作品紹介はこちら)

また、11月19日には『スペイン屋敷の恐怖』につづき、『
キャット&チョコレートゲームノベル 魔女館からの脱出』の配信が開始されています。

いずれも自信をもってお贈りする名作、ぜひ秋の夜長の楽しみに加えていただければと思います。
今月は『王宮のささやき』(安田均)、『魔女館からの脱出iGamebook版(秋口ぎぐる)の豪華二本立てです。
2013年10月 発行
記事作成 笠井道子

 
★『王宮のささやき』との出会い
―― それでは『王宮のささやき』について、グループSNEの総帥安田均(以下「ボス」)に話を伺いたいと思います。
安田 はい、よろしく (にっこり)
―― これまでもJGCやゲームマーケットといったイベントのの試遊卓で遊んでいただき、好評を得ていた『王宮のささやき』ですが――
安田 2013年11月9日、ついに正式発売となりました!!
―― おめでとうございます。 じつは『王宮のささやき』オリジナル版(PALAST Geflüster/ Dark Whisperings)の初版は2007年に出ているのですね。
安田 はい、Adlung(アドルング)社というドイツの会社から出ています。
―― 小さなカードゲームをたくさん出しているところですね。
安田 ええ、Adlung社は昔からおもしろいゲームを出すので有名で、年に4つか5つ新作を発表してます。子ども向けのものもありますが、なかに1つは必ず名作、傑作と言われるのがあるんですね。
―― Verräter』(1999年ドイツ年間ゲーム大賞候補作)、『Ebbe & Flut』(英:Ebb and Flow/2001年ドイツ年間ゲーム大賞候補作)など、いまでも印象に残っています。
安田 そうでしょう? ドイツのいろいろな賞にもノミネートされてきたし、知る人ぞ知るカードゲームメーカーです。
―― Adlung社のゲームはすべてこのサイズなんですか。
安田 そう、最初からあの形だったらしい。去年の秋、Essen Spiele2012でAdlung社の社長に話を聞くと、カードの枚数も50何枚かで決まってるって言うんだ。で、調べたら、60枚やら70枚のも普通にある。勝手に社長がそう思い込んでただけなんやね(笑)。
(註:「Essen Spiele」=毎年10月にドイツ・エッセンで開かれるゲーム国際見本市。2013年のレポートはこちら)
―― 2012年のエッセンには、最初から『王宮のささやき』を日本で出したいと提案するつもりで行かれたんですか。
安田 それがね、ゲームマーケットで日本語が堪能で、しかもゲームに詳しいドイツ人の青年がいてね、おもしろいゲームを出している会社があるから紹介したいと言ってくれたんだ。
―― ほう?
安田 それで話を聞くと、その会社というのがどうもAdlung社らしい。だったら、ぜひ話をさせてほしいとなって、三作くらい候補が出ました。
―― 先方から作品の提案があったんですか。
安田 ちゃうちゃう、こっちから「これやりたい、あれやりたい、それやりたい」と名前を挙げて(笑)、両者の条件があったのが『王宮のささやき』やったわけ。
―― adlung社の第一弾として、これを選ばれたということですね。。
安田 そういうこと! ともかく『王宮のささやき』はデザインコンセプトが非常にクリアで、アイディア満ちてるんで、最初から最高だと思ってました。

★日本語版について
―― 面積にして、日本語版はオリジナル版の二倍以上になってますが――
安田 ご存じの方も多いと思うけれど、『王宮のささやき』の共同制作元であるcosaicさんから出ている『キャット&チョコレート』新版がこのサイズなんですよ。なので、それと合わせたいな、と。
―― すぐにOKが出たんですか。
安田 そのあたりはね、各社それぞれにこだわりがある。Adlung社はあの小さいサイズでずっとやってきた。それと同じで、こちらにもこのサイズで印象づけたいという思いがある。
―― 先方もサイズにこだわりがあるからこそ、こちらのこだわりも理解していただけた、と。
安田 そのとおりです。
―― イラストも日本オリジナルのものになっていますね。イラストレーターは『タルギ 完全日本語版』と同じ、秋津たいらさん。
安田 これは『タルギ 完全日本語版』でKosmos社とうまく話がついたので、どうかな、と、Adlung社にもお願いしたんです。「イラストも変えていいか」「うん、いいよ」、「カードサイズも変えていいか」「うん、いいよ」と。
―― そういうのに難色を示す会社、多いような気がするんですけれど?
安田 そういうところもあるでしょうね。Adlung社でも作品によってはダメなものはあると思いますが、『王宮のささやき』については快く認めてもらえました。すごくいい会社でしたね。
―― 今年、Essen Spiele2013で直接、Adlung社に見本を渡されましたが、そのときの反応はいかがでしたか。
安田 Adlung社はおもしろいところで、社長は英語が苦手なんですよ。
―― そうなんですか(笑)。
安田 で、いつも副社長が相手をしてくれるんですけれど、「おお、こんなに大きくなったのか!」と。うちのゲームじゃないみたいという顔をしてましたよ。
―― でしょーねー(笑)。
安田 で、なかのカードを1枚1枚ていねいに見て、とても喜んでくれました。役職がすべて動物に変わっていたので、「おお!」という感じ。
―― そこは秋口さんのアイディアなんですね。デザインもすごくきれいですし。
安田 なにより元々のシステムすばらしいゲームです。それに加えて、イラストも手に取りやすい、楽しい絵柄になりました。
―― ……確かにイラストは可愛いんですが、ゲームのテーマはわりと……。
安田 うん、ブラックやね(笑)。
―― ゲームそのものについては改めてお伺いするとして、先に本作のデザイナー、ミヒャエル・リーネック氏についてご紹介いただけますか。

★デザイナー ミヒャエル・リーネック
安田 リーネックという人は2007年に『大聖堂』でドイツゲーム賞(ドイツのゲームファンが選ぶDeutscher Spiele Preis)を受賞して、次代のエースデザイナーだと話題になりました。そのころ、この『王宮のささやき』を出したんですけれど、小さいカードゲームだったので、それほど注目されなかった。
―― ドイツでは毎年、膨大な数のゲームが発表されますものね。
安田 でも、2008年Games100のベストファミリーカードゲーム賞なども獲得してるし、いいゲームだというのは、みんなわかっていた。当時のリーネックは若き巨匠と言われていましたね。
―― その後の活躍は?
安田 もちろん、いっぱい出してますよ。たとえばワーカープレイスメントの『Cuba』、それを遊びやすくした『Santiago de Cuba』とか、いいゲームをたくさん作っています。
―― 大活躍ですね。
安田 あと『大聖堂』の続編『果てしなき世界(Die Tore der Welt)』もいいゲーム。ちょっと子ども向けになるけれど、『レミングマフィア(Lemming Mafia)』もぼくは大好きです。
―― お話を伺うと、作品の内容がバラエティに富んでいますね。
安田 そう、本格的なものも作るんだけれど、基本は遊びやすくて、ルールがクリア。ライバルにシュテファン・フェルトというデザイナーがいて、常にリーネックと比較されてしまうんですけど、フェルトはまさにゲーム好きの人のためのゲームを作ります。
―― なるほど、ライバルの存在で、よけいにそれぞれの個性が際だつ感じでしょうか。そういうライバル関係って、ご本人たちは大変でしょうけど、ゲームファンとしては大歓迎ですね。

★ゲームシステムについて
―― つづいて『王宮のささやき』のゲームシステムについてお伺いします。簡単に内容をまとめますと――
【概要】
まず最初に、プレイヤーは「自分の色」を決めます。各プレイヤーに該当する色のカードを7枚ずつ(会計士・魔法使い・メイド・執事・衛兵・道化師・将軍の7種の役職)と、各役職が2枚ずつある灰色のカード14枚を混ぜ(4人なら4色×7枚+14枚=42枚)、プレイヤーに6枚ずつ配ります。原則として、この手札6枚で1ラウンドを行います(特殊効果によって手札を引いたり、交換することがあります)。
手番に行うことは、手札からカードを1枚、自分の場に出すだけ。ただし、すでに自分の場に出ているのと同じ役職のカードは出せません。だれかが手札からカードを出せなくなったら、1ラウンド終了。当該プレイヤー以外の全員が1点を獲得します。あるいは、だれかが6種の役職を自分の場に並べてもラウンドは終了。そのときには当該プレイヤーのみ1点(SNEルールでは2点)を獲得します。

ただし、このゲームは
時計回りに進行するのではありません。「いま場に出されたカードの色のプレイヤーが次の手番プレイヤーになる」というのが大きな特徴。カードの特殊能力を駆使して、手番回りを操作できるかどうかが勝利への鍵を握っています。
もう一つ、「将軍」のカードがプレイされるたびに「国王」カードがめくられ、1つの役職が指名されます。指名された役職のカードは、つぎに新たな役職が指名されるまで特殊効果が発動しなくなります)。

詳しくはこちらで! 

安田 このゲームがおもしろいのは3人プレイ5人プレイではゲームの感触まったくちがうことなんですね。
―― と言いますと?
安田 3人だと、考えるゲームに変わります。自分で上がれる(6種の役職を自分の場に並べて上がる)確率が増えます。なぜなら、自分の色がプレイされる確率が上がり、手番が増える可能性が高くなる。そうなると読み合いになって、すごくおもしろいんです。だからといって難しくなるわけじゃなく、4~5人で遊ぶときより操作しやすいゲームになるんですね。
―― なるほど。それが5人プレイになると、どう変わるのでしょうか。
安田 5人になると、ランダム性が高くなるので、自分で上がるのは難しくなります。そうなると、相手をバーストさせる(手札を出せなくする)戦術が多くなる。それでだれかに狙われたりすると、なかなか追いつけないんですね。なので、「自分で上がったときには2点獲得」という逆転要素を入れたのがSNEルールです。
―― 難しいことを達成したご褒美という感じですね。
安田 やりこんでもらえればわかると思うんですが、どちらもいいゲームです。3人だとガチになりやすくて、5人だとわいわいがやがや楽しむゲームになる。
―― 4人プレイはそのあいだぐらいですか。
安田 うん、でも、やっぱり上がるのは難しいかな。なので、ぼくらが遊ぶときにはSNEルールを採用することもあります。
―― ボスがこのゲームでいちばん気に入っておられるところは、どこでしょう.。
安田 それはやはり表裏が構成されているところですよ。
―― 表裏?
安田 自分が上がるか人をつぶすか手札を操作するか場札を操作するか自分が手番をやるか相手に手番を押しつけるか。いろんな意味でがある。ヌル(裏返る要素)のある、そういうゲームはすばらしいゲームだと、ぼくは思っています。
―― あと、国王が出てきて、いろいろ邪魔もしますね。
安田 そう、国王は基本のルールでカバーできないところをカバーしてるんです。たとえば、会計士をプレイしたら人に自分の手札を見せないといけないので、出したくない。けれど、国王に指名されたらその効果が消えるので――
―― いまこそ出しどき! と、みんな我先に会計士をプレイしますね(笑)。
★お気に入りカード
安田 で、どのキャラクターが好きなんですか、と聞いてくれないの?
―― あ……やっぱ、メイドさん?
安田 ちゃうわ(笑)。いや、メイドが好きな人はもちろんいるだろうけれど、ぼくは衛兵
―― (渋っ!)
安田 衛兵の特殊能力は場のカードを減らしてくれるからね。もう一回出せるようにしてくれるので大好きです――というように、みんなそれぞれ、自分のお気に入りのカードが出てくるんじゃないかな。
―― うーん、わたし、魔法使いは他プレイヤーと手札を交換できるから好きなんですけど。
安田 ……けど?
―― ときどき「あーっ」ってなります。「手札、道化師ばっかしで出せへんから、ボスと交換してもらおっ♪」と思ってると、ボスから執事ばっかり3枚返ってきたり……
安田 あるある(笑)。だから、ぼくが魔法使いを使うときはたいてい1枚交換。手札を使いやすく、かつわかりにくくする目的やね。
―― (おお、なるほど!)
安田 このゲームは前半で使いやすいカードと後半で使いやすいカードがあるんだよ。魔法使いは、特に後半まで持ってたら、ひどい目に遭うことがある。いっぽう、会計士は意外と最初で手札をばらしても、どんどん変わるから平気なんですよ。
―― 執事も便利なカードですよね(異なるプレイヤーの場にあるカードを1枚ずつ交換できる)。
安田 そう、執事はとても大事なカード――だけど、ぼくはそんなに得意じゃないんだ。なにがなんだか、わからなくなる(笑)。
―― (ボスでもそういうことあるんだ) 効果がいろいろあってややこしいと思われるかもしれませんが、早見表もありますし、カードの上部にアイコンで記されていますから――
安田 その点は遊びやすくなってると思います。ただ……
―― はい?
安田 カードの役職名の位置だけが――になっています。
―― そうだっ! 役職名がカードの右側にあるから、複数枚を重ねて持つと役職名が隠れてしまうんですよね。
安田 申し訳ありません、再版するときには直したいと思っていますので!
―― これはですね、みなさん、ボスが左利きなため、右利きの我々とカードの重ね方が逆だからなんですよ。
安田 あ、そんな、オレだけのせいにするのはひどいっ!!(笑)

★今後の予定
―― それでは今後のグループSNE/cosaicの予定を教えていただけますか。
安田 おかげさまで、この秋から発表した3点(『ゴーストハンター13 タイルゲーム』『タルギ 完全日本語版』『王宮のささやき』)はいずれも好評をいただき、我々としてはうれしいかぎりです。
―― 『ゴーストハンター13 タイルゲーム』はSNEウェブサイトで随時オリジナルシナリオを募集していますし(第一次募集締め切り12/2 詳細はこちら)、すでにいくつかご応募いただいています。
安田 ありがたいですね! これらについては早い段階で増刷もできそうだし、『ゴーストハンター13 タイルゲーム』は来年早くには拡張版を出せる――と思いますよ。オリジナルボードゲーム第二弾なども漸次つけ加えていきたいな。
―― 翻訳ゲームについては、いかがでしょう。
安田 Kosmos社、Adlung社についても順調ですので、これも願望ですが毎年一作ずつ紹介できるといいな、と思っています。あとね―― (ぱあっと笑顔)。
―― ええ?
安田 もう一つ、おもしろいカードゲームが加わるかもしれません。
―― それはKosmos社やAdlung社とはに、ですか。
安田 ええ、別です。非常におもしろい、変わったゲームですので、期待していてください。
―― そういったゲームについては、いつごろ読者の方に遊んでいただけるでしょうか。
安田 来年1月13日(日)、大阪でやるSNE新春ミニコンベンション(詳細はこちら)や、ゲームマーケット大阪2014(ゲームマーケット公式サイト))などでテスト版を遊んでいただけるようにしたいと考えています。
―― それでは、最後に読者の方々に一言お願いいたします。
安田 いつもグループSNE/cosaicの作品を支えていただいて、ありがとうございますの一言に尽きます。これからも頑張ってやっていきますので、よろしくお願いします。
―― ――本日はありがとうございました!


←「著者インタビュー」トップへ 『魔女館からの脱出』iGamebook版→


TOP